36 / 52
王子の気持ち
しおりを挟む
「私達はこのまま進んでもよろしいんでしょうか?」
「あぁ私達は間違っていないよ、あの令嬢は本物の聖女だ」
クレアベールに言われたからではなく私の意思で、学園内ではなるべく一人でいようと心掛けている。サリモンにも護衛するなら少し距離を取ってもらっていた。
行く宛もなくフラフラと歩いていると、王子と一人の男子生徒の会話が聞こえてくる。
聞き耳をたてるのは良くないが「聖女」という言葉につい反応してしまう。
「私は聖女を受け入れるべきか悩んでいます。ジョバルディー公爵令嬢の言う通り他の方法があるのでは?」
「クレアは聖女などを受け入れなくとも我が国の力を信じている。それは長年王家を支えてきた公爵も同じ考えだ」
「でしたら…」
「トーマス、約二十年振りに聖女を発見したんだ。この機会を逃すのは勿体ないとは思わないか?」
勿体無い…王子のその言葉に少し引っ掛かった。
「そのせいで良からぬ噂が流れてます…クリストフ王子とジョバルディー公爵令嬢の関係についてです」
「あぁ、聞こえているよ。言いたい奴には言わせておけば良い、私はクレアと婚約解消なんて考えていない」
「クリストフ王子はそうでしょうが、今のままでは理解していない者達の口は塞げませんよ?」
「いずれ解決する。クレアの方もこの程度で潰されるような令嬢ではないよ」
王子はクレアベールを揺るぎなく信じている。
王子と悪役令嬢の関係って…
なんだろう…私はクリストフ王子とクレアベールを婚約解消させるつもりはないし、二人には幸せになってほしいと思っている…
なのに、こんなにも思われているクレアベールが羨ましい。
攻略対象も友人も私の傍にいるのに、皆クレアベールを悪く言うことはなく、誤解しないでほしいとフォローしてくる。
クレアベールと彼らには長い時間を掛け、私の知らない友情を築きあげてきたのだろう。つい最近貴族になった私とは比べ物にならない何かが…
クレアベールは悪役令嬢なのに、皆に好かれて見守られている…
私の中で醜い感情が生まれだしたのを感じたが、見ないふりをする。
私は聖女…穢れてはいけないと、自分に言い聞かせその場から離れた。
「あぁ私達は間違っていないよ、あの令嬢は本物の聖女だ」
クレアベールに言われたからではなく私の意思で、学園内ではなるべく一人でいようと心掛けている。サリモンにも護衛するなら少し距離を取ってもらっていた。
行く宛もなくフラフラと歩いていると、王子と一人の男子生徒の会話が聞こえてくる。
聞き耳をたてるのは良くないが「聖女」という言葉につい反応してしまう。
「私は聖女を受け入れるべきか悩んでいます。ジョバルディー公爵令嬢の言う通り他の方法があるのでは?」
「クレアは聖女などを受け入れなくとも我が国の力を信じている。それは長年王家を支えてきた公爵も同じ考えだ」
「でしたら…」
「トーマス、約二十年振りに聖女を発見したんだ。この機会を逃すのは勿体ないとは思わないか?」
勿体無い…王子のその言葉に少し引っ掛かった。
「そのせいで良からぬ噂が流れてます…クリストフ王子とジョバルディー公爵令嬢の関係についてです」
「あぁ、聞こえているよ。言いたい奴には言わせておけば良い、私はクレアと婚約解消なんて考えていない」
「クリストフ王子はそうでしょうが、今のままでは理解していない者達の口は塞げませんよ?」
「いずれ解決する。クレアの方もこの程度で潰されるような令嬢ではないよ」
王子はクレアベールを揺るぎなく信じている。
王子と悪役令嬢の関係って…
なんだろう…私はクリストフ王子とクレアベールを婚約解消させるつもりはないし、二人には幸せになってほしいと思っている…
なのに、こんなにも思われているクレアベールが羨ましい。
攻略対象も友人も私の傍にいるのに、皆クレアベールを悪く言うことはなく、誤解しないでほしいとフォローしてくる。
クレアベールと彼らには長い時間を掛け、私の知らない友情を築きあげてきたのだろう。つい最近貴族になった私とは比べ物にならない何かが…
クレアベールは悪役令嬢なのに、皆に好かれて見守られている…
私の中で醜い感情が生まれだしたのを感じたが、見ないふりをする。
私は聖女…穢れてはいけないと、自分に言い聞かせその場から離れた。
20
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
私、魅了魔法なんて使ってません! なのに冷徹魔道士様の視線が熱すぎるんですけど
紗幸
恋愛
社畜女子だったユイは、気づけば異世界に召喚されていた。
慣れない魔法の世界と貴族社会の中で右往左往しながらも、なんとか穏やかに暮らし始めたある日。
なぜか王立魔道士団の団長カイルが、やたらと家に顔を出すようになる。
氷のように冷静で、美しく、周囲の誰もが一目置く男。
そんな彼が、ある日突然ユイの前で言い放った。
「……俺にかけた魅了魔法を解け」
私、そんな魔法かけてないんですけど!?
穏やかなはずの日々に彼の存在が、ユイの心を少しずつ波立たせていく。
まったりとした日常の中に、時折起こる小さな事件。
人との絆、魔法の力、そして胸の奥に芽生え始めた“想い”
異世界で、ユイは少しずつ——この世界で生きる力と、誰かを想う心を知っていく。
※タイトルのシーンは7話辺りからになります。
ゆったりと話が進みますが、よろしければお付き合いください。
※カクヨム様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる