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王子の気持ち
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「私達はこのまま進んでもよろしいんでしょうか?」
「あぁ私達は間違っていないよ、あの令嬢は本物の聖女だ」
クレアベールに言われたからではなく私の意思で、学園内ではなるべく一人でいようと心掛けている。サリモンにも護衛するなら少し距離を取ってもらっていた。
行く宛もなくフラフラと歩いていると、王子と一人の男子生徒の会話が聞こえてくる。
聞き耳をたてるのは良くないが「聖女」という言葉につい反応してしまう。
「私は聖女を受け入れるべきか悩んでいます。ジョバルディー公爵令嬢の言う通り他の方法があるのでは?」
「クレアは聖女などを受け入れなくとも我が国の力を信じている。それは長年王家を支えてきた公爵も同じ考えだ」
「でしたら…」
「トーマス、約二十年振りに聖女を発見したんだ。この機会を逃すのは勿体ないとは思わないか?」
勿体無い…王子のその言葉に少し引っ掛かった。
「そのせいで良からぬ噂が流れてます…クリストフ王子とジョバルディー公爵令嬢の関係についてです」
「あぁ、聞こえているよ。言いたい奴には言わせておけば良い、私はクレアと婚約解消なんて考えていない」
「クリストフ王子はそうでしょうが、今のままでは理解していない者達の口は塞げませんよ?」
「いずれ解決する。クレアの方もこの程度で潰されるような令嬢ではないよ」
王子はクレアベールを揺るぎなく信じている。
王子と悪役令嬢の関係って…
なんだろう…私はクリストフ王子とクレアベールを婚約解消させるつもりはないし、二人には幸せになってほしいと思っている…
なのに、こんなにも思われているクレアベールが羨ましい。
攻略対象も友人も私の傍にいるのに、皆クレアベールを悪く言うことはなく、誤解しないでほしいとフォローしてくる。
クレアベールと彼らには長い時間を掛け、私の知らない友情を築きあげてきたのだろう。つい最近貴族になった私とは比べ物にならない何かが…
クレアベールは悪役令嬢なのに、皆に好かれて見守られている…
私の中で醜い感情が生まれだしたのを感じたが、見ないふりをする。
私は聖女…穢れてはいけないと、自分に言い聞かせその場から離れた。
「あぁ私達は間違っていないよ、あの令嬢は本物の聖女だ」
クレアベールに言われたからではなく私の意思で、学園内ではなるべく一人でいようと心掛けている。サリモンにも護衛するなら少し距離を取ってもらっていた。
行く宛もなくフラフラと歩いていると、王子と一人の男子生徒の会話が聞こえてくる。
聞き耳をたてるのは良くないが「聖女」という言葉につい反応してしまう。
「私は聖女を受け入れるべきか悩んでいます。ジョバルディー公爵令嬢の言う通り他の方法があるのでは?」
「クレアは聖女などを受け入れなくとも我が国の力を信じている。それは長年王家を支えてきた公爵も同じ考えだ」
「でしたら…」
「トーマス、約二十年振りに聖女を発見したんだ。この機会を逃すのは勿体ないとは思わないか?」
勿体無い…王子のその言葉に少し引っ掛かった。
「そのせいで良からぬ噂が流れてます…クリストフ王子とジョバルディー公爵令嬢の関係についてです」
「あぁ、聞こえているよ。言いたい奴には言わせておけば良い、私はクレアと婚約解消なんて考えていない」
「クリストフ王子はそうでしょうが、今のままでは理解していない者達の口は塞げませんよ?」
「いずれ解決する。クレアの方もこの程度で潰されるような令嬢ではないよ」
王子はクレアベールを揺るぎなく信じている。
王子と悪役令嬢の関係って…
なんだろう…私はクリストフ王子とクレアベールを婚約解消させるつもりはないし、二人には幸せになってほしいと思っている…
なのに、こんなにも思われているクレアベールが羨ましい。
攻略対象も友人も私の傍にいるのに、皆クレアベールを悪く言うことはなく、誤解しないでほしいとフォローしてくる。
クレアベールと彼らには長い時間を掛け、私の知らない友情を築きあげてきたのだろう。つい最近貴族になった私とは比べ物にならない何かが…
クレアベールは悪役令嬢なのに、皆に好かれて見守られている…
私の中で醜い感情が生まれだしたのを感じたが、見ないふりをする。
私は聖女…穢れてはいけないと、自分に言い聞かせその場から離れた。
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