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悪役令嬢は格好いい
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「我が国に聖女は必要ないわ」
今日もまたクレアベールに見つかり、酷い言葉を浴びている。
「聖女の力など無くとも我が国は問題なくやってこれました。これからも貴方のような人の力を借りずとも乗り越えていけます」
彼女の言葉に私も共感する。
異世界から聖女を召喚する類いの話はあまり好きではない。
大人達が解決できないのを、何も知らない異世界の少女に丸投げして解決してもらおうと言う他力本願な考えが嫌いだった。そして、同意なく呼び出しておきながら帰り方は分からないのでこちらに住んでくださいというのは無責任すぎるのではないだろうか。
聖女様と讃えてはいるが召還という名の人拐いですよね?と私は以前から思っていた。
少女にだって家族がいれば将来の夢だってあるのに、それを本人の許可なく拐い国の行く末を押し付けるなんて勝手すぎる。そして、聖女が聖女として役割をこなせない場合「偽物」と罵られる。
自分の国は自分達でどうにかしろよ、というのが私の考えだ。
なので、私はクレアベールの意見に同意する。
他人の力に頼らず自分達で国を導く、彼女こそ王妃に相応しいと納得させられる。
「クレアベール様、我が国に聖女が誕生したということはこれから必要となる事が起きるという暗示です」
クレアベールの意見を正そうとするのは、エレンターナだった。
「貴方達も婚約者の行動を改めさせ、注意するべきではありませんか?」
「ワンダーソン令嬢がただの貴族であれば注意しますが、令嬢は聖女様です。聖女様であれば如何なる場所でも安全とはいきません。身の安全第一に考えれば、常に護衛を傍に置き一人でいるのは避けるべきです。これから国の為に身を捧げてくださる方、それ相応の扱いを受けるべきです」
「…貴方も、彼らと同じ考えということなの?」
「勿論です。我が国に聖女様は必要です」
美しく公爵令嬢として気品を兼ね備えたクレアベールが、エレンターナの発言に苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
彼女のあまりの形相に驚きを隠せなかった。
「…ワンダーソン令嬢、聖女とは人々に崇められるだけの生易しいものではないのよ」
クレアベールは去っていった。
彼女の言う「聖女の役割」については私も知らないことが多すぎて不安だった。
「聖女様、クレアベール様は常に第一線で私達を導いてくださいました。私達が間違った道へ行けば、身を挺して止めてくださる方です。ですが人間、常に完璧で正しい答えを選択できるものではありませんわ。間違ってしまう時もあります。今のクレアベール様は何十年ぶりの聖女様について真剣に悩んでおられます。その分クレアベール様は覚悟をもって口にしているので、口調も厳しいものになります。それは全て国を思っての事。いつかは聖女様を受け入れ分かってくださいます…」
「…はい。ジョバルディー様は、突然聖女となった私の負担を思ってくださっての事だと伝わります」
聖女という特別な力など無くともやっていけると断言する悪役令嬢は格好良かった。
今日もまたクレアベールに見つかり、酷い言葉を浴びている。
「聖女の力など無くとも我が国は問題なくやってこれました。これからも貴方のような人の力を借りずとも乗り越えていけます」
彼女の言葉に私も共感する。
異世界から聖女を召喚する類いの話はあまり好きではない。
大人達が解決できないのを、何も知らない異世界の少女に丸投げして解決してもらおうと言う他力本願な考えが嫌いだった。そして、同意なく呼び出しておきながら帰り方は分からないのでこちらに住んでくださいというのは無責任すぎるのではないだろうか。
聖女様と讃えてはいるが召還という名の人拐いですよね?と私は以前から思っていた。
少女にだって家族がいれば将来の夢だってあるのに、それを本人の許可なく拐い国の行く末を押し付けるなんて勝手すぎる。そして、聖女が聖女として役割をこなせない場合「偽物」と罵られる。
自分の国は自分達でどうにかしろよ、というのが私の考えだ。
なので、私はクレアベールの意見に同意する。
他人の力に頼らず自分達で国を導く、彼女こそ王妃に相応しいと納得させられる。
「クレアベール様、我が国に聖女が誕生したということはこれから必要となる事が起きるという暗示です」
クレアベールの意見を正そうとするのは、エレンターナだった。
「貴方達も婚約者の行動を改めさせ、注意するべきではありませんか?」
「ワンダーソン令嬢がただの貴族であれば注意しますが、令嬢は聖女様です。聖女様であれば如何なる場所でも安全とはいきません。身の安全第一に考えれば、常に護衛を傍に置き一人でいるのは避けるべきです。これから国の為に身を捧げてくださる方、それ相応の扱いを受けるべきです」
「…貴方も、彼らと同じ考えということなの?」
「勿論です。我が国に聖女様は必要です」
美しく公爵令嬢として気品を兼ね備えたクレアベールが、エレンターナの発言に苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
彼女のあまりの形相に驚きを隠せなかった。
「…ワンダーソン令嬢、聖女とは人々に崇められるだけの生易しいものではないのよ」
クレアベールは去っていった。
彼女の言う「聖女の役割」については私も知らないことが多すぎて不安だった。
「聖女様、クレアベール様は常に第一線で私達を導いてくださいました。私達が間違った道へ行けば、身を挺して止めてくださる方です。ですが人間、常に完璧で正しい答えを選択できるものではありませんわ。間違ってしまう時もあります。今のクレアベール様は何十年ぶりの聖女様について真剣に悩んでおられます。その分クレアベール様は覚悟をもって口にしているので、口調も厳しいものになります。それは全て国を思っての事。いつかは聖女様を受け入れ分かってくださいます…」
「…はい。ジョバルディー様は、突然聖女となった私の負担を思ってくださっての事だと伝わります」
聖女という特別な力など無くともやっていけると断言する悪役令嬢は格好良かった。
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