【完結】ホラー乙女ゲームに転生しちゃった…

天冨 七緒

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悪役令嬢が悪役になりだしている

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あれからクリストフ王子は私と居ることが多くなり、周囲の人間も困惑し始める。これまでのクリストフ王子とクレアベールの関係は良好で、問題など一度もなかったからだ。
それが突然不仲になり、王子は別の…光属性であり聖女と噂される令嬢といるのを目撃される事が多くなる。
今までのように、私へ嫌がらせをする貴族はいなくなったが、代わりにクレアベールに辛く当たられるようになった。
公平で誰もが見習うべき淑女と言われていた令嬢が、人が変わったように罵るようになった。その光景を見た者達は、王子との婚約解消が濃厚なのでは?と考えるようになった。

そうなると、手のひらを返したように私に嫌みや不快な視線を送ってきた者達がすり寄ってきたのだ。
そうなってくると、悪役令嬢としては黙っていられず

「貴方、平民が貴族になったからといって誰もが貴方を認めたわけではないのよ。勘違いしないで」

私の置かれた状況を理解し貴族と認め助言してくれていた彼女に、こんな事を言わせてしまった。
私が見てきたクレアベールは過去よりも今の私を見てくれる人で、言葉はきつくとも私が貴族として生きてくために助言してくれる方だった…
真実かどうか確かめようはないが婚約解消が噂され、婚約者である王子は彼女から離れ光属性と一緒にいる現実を目の当たりにしている。
貴族からの視線や貴族としての矜持、彼女に対しての責務は計り知れないのを誰かは気付いてくれているのだろうか?
私に対する当たりは精神的に追い詰められてからくるものではないかと考えてしまう。

私は今の状況を客観的に整理することにした。
私の周囲には王子とマシューズ、サリモンがいて最近はマシューズの婚約者であるエレンターナも傍にいる。初めての友人のフィリップス子爵令嬢は身分を気にして彼らがいる時は遠慮するが、私が悩んでいるとそっと傍に居てくれる。
私はゲーム通り沢山の人に囲まれていた。
その頃のクレアベールは取り巻きを引き連れる事もなく、常に一人だ。
今の状況は私が望んだ事ではない、こうなってしまう運命に胸が苦しくなる。
どうやってもクレアベールを追い詰めてしまっている。

そして、他人の事を悩む暇が奪われる程私への嫌がらせも過激さを増していく。
当初は貴族令嬢とは~と小言だったのだが、今では小物の紛失から教科書の破損、移動教室の閉じ込めに魔法授業での誤発動による怪我。
全てはゲーム通りに事件が起きている。
教室への閉じ込めや魔法の誤発動など事前に回避するような行動をしても、別のルートに入り結局は場所を変え、同じような事件が起きてしまう。
ゲーム内での犯人は特定されていなかったが、クレアベールが犯人だと思わせるような演出だった。
彼女本人に対峙した今ならクレアベールが犯人ではないと私は予想している。
それに実行犯以外にも同じような事件が起こるように、誰かが裏で手助けしているように感じるのは気のせいなのだろうか?
ゲームを知っている者…もし居たとして、何が目的なんだろう?
今のところ目立つ人物はいないし、ヒロインに成り代わろうとする動きもない。

私の考えすぎか?
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