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私のせいで…
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二人から忠告を受けるも、私が聖女だと正式に発表されていないので噂は次第に「高位貴族を侍らす女」になっていた。聖女と判定されてからだいぶ時間が経ったが、正式な発表がなく私を聖女と信じていた者も次第に不信に思い始め行動に出し始めた。
何をされたかというと、校舎裏に呼び出しを受けている。
「貴方、光属性は皆聖女だと勘違いしているんじゃなくて?」
私を呼び出したのは悪役令嬢ではなく、ゲームでは名前もない人達…
「聖女でもないのに聖女だと宣言するのは、貴族だけでなく王族を謀る行為であり罰を受けるのよ」
「平民から運良く貴族になって、更に光属性と判定されたのを良いことに高位貴族との距離が近すぎるわよ」
「貴方は知らないかもしれないけれど、王子もマシューズ様もサリモン様も婚約者がいるの。安易に近付いて勘違いされるような行動は控えるべきなのよ」
皆さんの仰ることはごもっともです。
ですが、私にもどうすることが出来ないんです…
「何をしている?」
「「「「へっ?…ぁっ…」」」」
まさにヒーローのように現れたのは攻略対象の一番人気、クリストフ王子。
まさかの王子の登場に、淑女を志す彼女達からは聞こえてはならない声が聞こえた。
「あの…これは…」
「皆さんに貴族の心得を享受して頂いただけです」
どう説明するべきかあたふたしている彼女達を守るわけではないが、間違ったことを言われたわけでもないので、私から真実を伝えた。
「そうですか」
私達を探るように王子と共に現れたクレアベールの鋭い視線が突き刺さった。
「えぇ、そうなんです」
「彼女は貴族のマナーに不馴れなようだったので…」
「私達に出来ることがあればと思い…」
「ほ…他の人の目がある中で注意するのも…ねぇ…」
必死に弁解するも王子だけでなくクレアベールが現れた事で、彼女達は完全に目が泳ぎ声も震えていた。
彼女達の様子から、クレアベールも察してはいたが追求することはなく、彼女達をこの場から立ち去らせた。
「あの…」
ここで「ありがとうございます」と御礼を言うと話が面倒になってしまうのではないかと思い言葉を詰まらせた。
「ワンダーソン男爵令嬢」
「はいっ」
「これで分かったでしょ?貴方の安易な行動が引き起こした結果です、忘れないで。学園は安全なのだから、殿方と二人きりになることは避けるべきよ。相手が護衛だとしても…」
私もクレアベールの意見に頷き、納得する。
「いや、それは困る」
「へっ?」
何故ここで王子が異を唱えたのか分からず、貴族令嬢ではなく私の素が出てしまった。
「聖女と公表していなくても、既に光属性と判定されている。私達が共に行動していることで疑う者もいれば、令嬢を婚約者にと望む者も存在している。令嬢は警護すべき対象であり、護衛はサリモンだ」
「それは男爵家が解決するべきで、王族が一つの貴族に手を貸すのは反対です。そんなことをしてしまえば尚更妬みを買い、狙われ王族への不信感も生まれます」
「既に一度手を貸してしまったのを、途中で投げ出す事は出来ない」
「その様な事を続けては王族が光属性と婚約するのでは?という噂を肯定しているようなものです。そうなれば、今は安定している貴族間の争いも生まれてしまうかもしれません」
「私はクレアと婚約解消するつもりはない」
二人は未成年…日本で考えると未成年でありながら国の事をこんなにも真剣に議論する姿に感心してしまう。その言い争いの原因が何故私なのか…
これはもしや、私の事で喧嘩は止めてってやつなのか?
つい、現実逃避していた。
「あの…私も、学園では一人でも大丈夫だと考えています…ですので…」
二人の言葉に割って入るのは…勇気がいるが、婚約者の仲を悪くさせるのは気が引けた。
「ダメだっそれは許されない」
「クリスッ、本人が良いと言っているのだから私達が介入するべきではないわ」
「これは王命でもある。私は王族として最後まで遂行する義務がある」
クレアベールはそれ以上クリストフ王子の言葉に言い返すことはなく、この日から二人の仲には誰が見ても分かる程に亀裂が入っていた。
何をされたかというと、校舎裏に呼び出しを受けている。
「貴方、光属性は皆聖女だと勘違いしているんじゃなくて?」
私を呼び出したのは悪役令嬢ではなく、ゲームでは名前もない人達…
「聖女でもないのに聖女だと宣言するのは、貴族だけでなく王族を謀る行為であり罰を受けるのよ」
「平民から運良く貴族になって、更に光属性と判定されたのを良いことに高位貴族との距離が近すぎるわよ」
「貴方は知らないかもしれないけれど、王子もマシューズ様もサリモン様も婚約者がいるの。安易に近付いて勘違いされるような行動は控えるべきなのよ」
皆さんの仰ることはごもっともです。
ですが、私にもどうすることが出来ないんです…
「何をしている?」
「「「「へっ?…ぁっ…」」」」
まさにヒーローのように現れたのは攻略対象の一番人気、クリストフ王子。
まさかの王子の登場に、淑女を志す彼女達からは聞こえてはならない声が聞こえた。
「あの…これは…」
「皆さんに貴族の心得を享受して頂いただけです」
どう説明するべきかあたふたしている彼女達を守るわけではないが、間違ったことを言われたわけでもないので、私から真実を伝えた。
「そうですか」
私達を探るように王子と共に現れたクレアベールの鋭い視線が突き刺さった。
「えぇ、そうなんです」
「彼女は貴族のマナーに不馴れなようだったので…」
「私達に出来ることがあればと思い…」
「ほ…他の人の目がある中で注意するのも…ねぇ…」
必死に弁解するも王子だけでなくクレアベールが現れた事で、彼女達は完全に目が泳ぎ声も震えていた。
彼女達の様子から、クレアベールも察してはいたが追求することはなく、彼女達をこの場から立ち去らせた。
「あの…」
ここで「ありがとうございます」と御礼を言うと話が面倒になってしまうのではないかと思い言葉を詰まらせた。
「ワンダーソン男爵令嬢」
「はいっ」
「これで分かったでしょ?貴方の安易な行動が引き起こした結果です、忘れないで。学園は安全なのだから、殿方と二人きりになることは避けるべきよ。相手が護衛だとしても…」
私もクレアベールの意見に頷き、納得する。
「いや、それは困る」
「へっ?」
何故ここで王子が異を唱えたのか分からず、貴族令嬢ではなく私の素が出てしまった。
「聖女と公表していなくても、既に光属性と判定されている。私達が共に行動していることで疑う者もいれば、令嬢を婚約者にと望む者も存在している。令嬢は警護すべき対象であり、護衛はサリモンだ」
「それは男爵家が解決するべきで、王族が一つの貴族に手を貸すのは反対です。そんなことをしてしまえば尚更妬みを買い、狙われ王族への不信感も生まれます」
「既に一度手を貸してしまったのを、途中で投げ出す事は出来ない」
「その様な事を続けては王族が光属性と婚約するのでは?という噂を肯定しているようなものです。そうなれば、今は安定している貴族間の争いも生まれてしまうかもしれません」
「私はクレアと婚約解消するつもりはない」
二人は未成年…日本で考えると未成年でありながら国の事をこんなにも真剣に議論する姿に感心してしまう。その言い争いの原因が何故私なのか…
これはもしや、私の事で喧嘩は止めてってやつなのか?
つい、現実逃避していた。
「あの…私も、学園では一人でも大丈夫だと考えています…ですので…」
二人の言葉に割って入るのは…勇気がいるが、婚約者の仲を悪くさせるのは気が引けた。
「ダメだっそれは許されない」
「クリスッ、本人が良いと言っているのだから私達が介入するべきではないわ」
「これは王命でもある。私は王族として最後まで遂行する義務がある」
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