短編集

天冨 七緒

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私は悪女らしいです

私は悪女らしいです 雑談

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「私、ユジェニー・アルジャーはオーランド・ディコリー様との婚約の解消を願います」

 オーランドはパーティーの三日後には婚約者ユジェニーに呼び出されていた。

「ユジェニー……俺達はやり直せないのか? 」

「今さら何を仰っているんです? 」

「俺にやり直す機会をくれないか? 」

「必要ないように思えますが? 貴方は学園在学中、婚約者である私のことなど一切気にした事などありませんでしたでしょ? あの方に夢中でしたものね? 」

「それは……彼女を勘違いしていたんだ」

「その勘違いでどれ程私が苦しんだか、ご存じないでしょう? 」

「すまなかった……これからはユジェニーを最優先する。騎士に誓う」

「騎士……貴方に騎士は難しいのではありませんか? 」

「いや。心を入れ替え、訓練に励む」

「訓練に励んだところで、貴方の第一優先はニーナ様ではありませんか」

「もう、ニーナとは拘らない」

「いえ、拘る拘らないではありません。貴方はニーナ様の騎士であって、正義の味方ではないでしょ? 誰も貴方に真実を話さないし、貴方に解決を求めたりしないわ。私なら……貴方の事を信用しないもの」

「もう……手遅れなのか? 」

「はい」

 ユジェニー・アルジャーとオーランド・ディコリーの婚約は解消。
 当然慰謝料も支払う事に。
 オーランドはディコリー伯爵家から除籍され、一般騎士の試験を受験するも受かることは無かった。
 実力がないのではなく、オーランドがいくら努力しようと今回の件で誰も彼を騎士の資格を与える事に反対。
 彼の査定の備考欄には『王族に対し虚偽の報告』『平民との不貞』『婚約者への不義理』『公爵令嬢への失態』と書かれていた。
 誰も彼を庇うことなく切り捨てた。

「オーランド、お前がいると弟のガスパールの今後に影響を及ぼす。来月までには出て行きなさい」

 父である伯爵の決定は覆ることが無いのはオーランドも知っている。
 指示通り今月中に屋敷を出る準備をする。
 オーランドとガスパールが廊下ですれ違うも、言葉を交わすことは無く。
 出て行くその日まで家族の会話は無かった。
 だが最後の日、夫人がオーランドの部屋に訪れる。

「オーランド、少ないけどこれを持っていきなさい」

 オーランドに渡されたのは金貨といくつかの宝石。

「ありがとうございます」

 伯爵も夫人の行動に目を瞑る。
 オーランドは荷物を抱え、歩いて伯爵家を去って行く。
 誰も彼を引き止めないし、追いかけなかった。
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