53 / 78
私は悪女らしいです
私は悪女らしいです 雑談
しおりを挟む
「スコット君、君と娘との婚約は解消させてもらうよ」
商人の息子、スコット。
平民だがスコットの父の商会は順調で今後は貴族との取引も視野に入れ、コールソン男爵令嬢と婚約していた。
「まっ待ってください、コールソン男爵。息子は確かに間違いました。若気の至りと言いますか、こいつはまだ学生です。一度の失敗で見限るのは早計ではないでしょうか? 」
「早計だと思いますか? 」
「男爵様、私はニーナが『メルヴィン王子との婚約は既に決定している』と話していたので協力したんです」
「だとしたら、尚更君に娘を預けられない」
「どうしてですか? 」
「君は間違った情報に踊らされ公爵令嬢を陥れる事に加担した。そのことは社交界で知らない者はいないだろう」
「これから挽回しますっ、男爵様、お願いします。私に機会をください」
スコットは必死にコールソンに訴える。
「私からも頼みます。息子をどうか見捨てないでやってください」
スコットの父も息子の失態を一緒に頭を下げる。
「君が騙されやすい人間と言うのが知れ渡ってしまった今、シュールマン商会の信用は失墜。貴族も倦厭するだろう」
「ですが、コールソン男爵家の商会と合併すれば……」
「そうなれば、共倒れだな」
「そんな……」
「シュールマン商会は事業拡大することなく、これまで通り続けた方が良いんじゃないのか? 」
「これまで通り……」
「それに、スコット君の口から娘に対しての謝罪もないようだしな」
「シンクレア、すまなかった。これからは誤情報に惑わされぬよう気を付ける。だから婚約解消なんて言わないでくれ」
コールソンの言葉にスコットは婚約者のシンクレアに向き直る。
「スコット様、有益な情報をどこでどう扱おうが商人の自由です。私はスコット様のやり方を否定しません」
「本当か? なら……」
「ですが、私がスコットと今後取引をすることは無いでしょう」
「えっ……」
シンクレアの言葉に一度は希望を抱くも、拒絶された事に愕然とする。
「ニーナ様に騙されたと仰いましたが、学園でニーナ様と仲睦まじい姿を何度も目撃しております。私、二人は恋人関係にあると思っておりましたのよ」
「それは違う」
「違うと否定されても、私はスコット様の言葉を信じる事が出来ないのです」
「こ……これから……信じてもらえるように努力する」
「いえ、結構です。私達の婚約は、両家の事業拡大でしたよね? シュールマン商会は貴族との繋がりが欲しい為の婚約。であれば、私は必要ないのではありませんか? 」
「それは……どういう意味? 」
「貴方はメルヴィン王子の婚約者であるニーナ様と恋人関係……親密なご友人ですもの。私などいなくても王族との繋がりがあるではありませんか」
「いや……二人は……」
「我が家はシュールマン商会と繋がりを持ったとしても、利益を得ることは難しいでしょう。ですので、今回の婚約は解消させていただきます。スコット様のお父様も貴方が次期王妃と繋がりを得た事で私よりも素晴らしい婚約相手を見繕うはずよ」
「シンクレア……」
その後、シンクレア・コールソンとスコットの婚約は解消。
シュールマン商会に戻った親子。
「公爵令嬢を敵に回してどうするっこの無能がっ」
スコットの父は屋敷に到着すると、何度も何度も息子を蹴った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「コールソン令嬢との婚約も駄目にしやがって」
「父さんっごめんなさいっ……」
「ニーナのような平民が次期王妃に成れるわけないだろうがっ。あんなものは王妃の慈悲で生かされる側室だっ。勘違いしおって」
その後も父の怒りは収まらず、スコットが気を失うまで続いた。
シュールマン商会はコールソン男爵との婚約を得てから強引な取引が頻発していた為、婚約解消が知れ渡ると今までの契約者は蜘蛛の子を散らすように去って行った。
何とか事業を続けるも新たにできた商会に残っていた契約も奪われ、結局業績の良い商会に買われ父はスコットを見捨て愛人と去って行った。
一人残されたスコットは行く当てもなく、商会の下働きとして働く事に。
「おい、誰かぁこっちを手伝っくれないか? 」
「俺……手伝いましょうか? 」
「お前に任せたら、価値も分からない平民に渡しちまうだろう。あっちを掃除しとけ。絶対に、商品には触るなよ」
「……はい」
ふとした瞬間に過去の失態が知れ渡り、一目での接客も重要な仕事も割り当ててもらえず掃除ばかりさせられていた。
商人の息子、スコット。
平民だがスコットの父の商会は順調で今後は貴族との取引も視野に入れ、コールソン男爵令嬢と婚約していた。
「まっ待ってください、コールソン男爵。息子は確かに間違いました。若気の至りと言いますか、こいつはまだ学生です。一度の失敗で見限るのは早計ではないでしょうか? 」
「早計だと思いますか? 」
「男爵様、私はニーナが『メルヴィン王子との婚約は既に決定している』と話していたので協力したんです」
「だとしたら、尚更君に娘を預けられない」
「どうしてですか? 」
「君は間違った情報に踊らされ公爵令嬢を陥れる事に加担した。そのことは社交界で知らない者はいないだろう」
「これから挽回しますっ、男爵様、お願いします。私に機会をください」
スコットは必死にコールソンに訴える。
「私からも頼みます。息子をどうか見捨てないでやってください」
スコットの父も息子の失態を一緒に頭を下げる。
「君が騙されやすい人間と言うのが知れ渡ってしまった今、シュールマン商会の信用は失墜。貴族も倦厭するだろう」
「ですが、コールソン男爵家の商会と合併すれば……」
「そうなれば、共倒れだな」
「そんな……」
「シュールマン商会は事業拡大することなく、これまで通り続けた方が良いんじゃないのか? 」
「これまで通り……」
「それに、スコット君の口から娘に対しての謝罪もないようだしな」
「シンクレア、すまなかった。これからは誤情報に惑わされぬよう気を付ける。だから婚約解消なんて言わないでくれ」
コールソンの言葉にスコットは婚約者のシンクレアに向き直る。
「スコット様、有益な情報をどこでどう扱おうが商人の自由です。私はスコット様のやり方を否定しません」
「本当か? なら……」
「ですが、私がスコットと今後取引をすることは無いでしょう」
「えっ……」
シンクレアの言葉に一度は希望を抱くも、拒絶された事に愕然とする。
「ニーナ様に騙されたと仰いましたが、学園でニーナ様と仲睦まじい姿を何度も目撃しております。私、二人は恋人関係にあると思っておりましたのよ」
「それは違う」
「違うと否定されても、私はスコット様の言葉を信じる事が出来ないのです」
「こ……これから……信じてもらえるように努力する」
「いえ、結構です。私達の婚約は、両家の事業拡大でしたよね? シュールマン商会は貴族との繋がりが欲しい為の婚約。であれば、私は必要ないのではありませんか? 」
「それは……どういう意味? 」
「貴方はメルヴィン王子の婚約者であるニーナ様と恋人関係……親密なご友人ですもの。私などいなくても王族との繋がりがあるではありませんか」
「いや……二人は……」
「我が家はシュールマン商会と繋がりを持ったとしても、利益を得ることは難しいでしょう。ですので、今回の婚約は解消させていただきます。スコット様のお父様も貴方が次期王妃と繋がりを得た事で私よりも素晴らしい婚約相手を見繕うはずよ」
「シンクレア……」
その後、シンクレア・コールソンとスコットの婚約は解消。
シュールマン商会に戻った親子。
「公爵令嬢を敵に回してどうするっこの無能がっ」
スコットの父は屋敷に到着すると、何度も何度も息子を蹴った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「コールソン令嬢との婚約も駄目にしやがって」
「父さんっごめんなさいっ……」
「ニーナのような平民が次期王妃に成れるわけないだろうがっ。あんなものは王妃の慈悲で生かされる側室だっ。勘違いしおって」
その後も父の怒りは収まらず、スコットが気を失うまで続いた。
シュールマン商会はコールソン男爵との婚約を得てから強引な取引が頻発していた為、婚約解消が知れ渡ると今までの契約者は蜘蛛の子を散らすように去って行った。
何とか事業を続けるも新たにできた商会に残っていた契約も奪われ、結局業績の良い商会に買われ父はスコットを見捨て愛人と去って行った。
一人残されたスコットは行く当てもなく、商会の下働きとして働く事に。
「おい、誰かぁこっちを手伝っくれないか? 」
「俺……手伝いましょうか? 」
「お前に任せたら、価値も分からない平民に渡しちまうだろう。あっちを掃除しとけ。絶対に、商品には触るなよ」
「……はい」
ふとした瞬間に過去の失態が知れ渡り、一目での接客も重要な仕事も割り当ててもらえず掃除ばかりさせられていた。
285
あなたにおすすめの小説
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
婚約破棄が聞こえません
あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。
私には聞こえないのですが。
王子が目の前にいる? どこに?
どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。
※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!
皆様覚悟してくださいませ。偽聖女の義妹から全て取り戻します。今まで受けた仕打ちは倍にしてお返し致します。
くろねこ
恋愛
「殴られても、奪われても、祈れば治るから大丈夫」
――そう思い込まされて育った公爵令嬢オリビア。
しかし、偽聖女を名乗る義妹に階段から突き落とされた瞬間、
彼女の中で“何か”が完全に目覚める。
奪われた聖女の立場。
踏みにじられた尊厳。
見て見ぬふりをした家族と神殿。
――もう、我慢はしない。
大地そのものに影響を与える本物の加護を持つオリビアは、知略と魔法で屋敷を制圧し、偽りを一つずつ洗い流していく。
敵意を向けた者は近づけず、逆らった義母は“環境”に叱られ、王太子は腹を抱えて大笑い。
「奪われたなら、取り戻すだけです。倍……いえ、一万倍で」
これは、偽りの聖女からすべてを奪い返し、本物が“正しい場所”に立つ物語。
ざまぁ好き必読。
静かに、確実に、格の違いを見せつけます。
♦︎タイトル変えました。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる