【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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授業後

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 授業が終わる。

「先生、本日も授業ありがとうございます」

「はい。ではまた明日、皆さんも」

「はい、本日はありがとうございました」

 エンヴァーナを見送り、令嬢達は午後の大聖堂までの時間一度屋敷に戻り準備を行う。

「聖女様、この後の予定はどうなっているのですか? 」

 イニアスの言葉に令嬢達全員が振り返る。 

「この後ですか? 食事を頂き大聖堂に向かいますが? 」

「食事は……お一人ですか? 」

 令嬢は何か期待したような眼差しを向ける。

「はい」

 私としては何故そんな事を尋ねるのか令嬢の真意が分からない。

「では、どなたかとお茶などしたりしないのですか? 例えば……ジェイコブ王子とか……」

「王子様とお茶などした事はありませんね」

 呼び出しを受けて会話をしたことはあるが、令嬢の言う『お茶』はこの事ではないだろう。

「……そうなんですね。それでは、大聖堂でお待ちしております」

 イニアスの質問に他の令嬢達も落胆した様子を見せる。

「……はい」

 令嬢達は私にどんな返答を期待していたのかわからぬまま、屋敷へと戻っていく。
 食事を終え、大聖堂に向かう。
 私が到着すると日課となっている掃除が始まる。
 高位貴族に仕える使用人を各三名に厳選したとはいえ、一人一人優秀なので手際よく掃除が進んでいく。
 ふといつもと違う事に気が付く。

「……ワーグナー……令……嬢……」

 令嬢だけは、箒をもって床を掃いている。
 ぎこちないというより、ごみを左右に移動させているだけなのだがその行動だけでも驚きだった。
 他の令嬢はいつもと変わらずチャーチチェアに座っている。
 令嬢にどんな心境の変化があったのだろうか?
 
「ワーグナー令嬢、箒は一定方向に向かってごみを集めてください」

「はい」

 令嬢の心情を追及することはせず、掃除の仕方を教えた。
 掃除など令嬢には必要ない知識なのだが、私の教えを嫌な顔せず聞き入れる姿に好感を持った。
 この光景を他の令嬢がどのような反応を見せるのか確認すると、案の定令嬢達は掃除を行うワーグナーを見下したような表情を見せる。
 掃除することは『悪』とでも思っているのだろうか?
 掃除を終え祈りに移る。
 その姿にも変化が起きた。
 私は神の前で膝をついて祈るのだが、衣服を汚したくない令嬢達は立ったまま祈る。
 以前までは令嬢全員立っていたのだが、今日のワーグナー令嬢は私と同じ態勢で祈っていた。
 令嬢の変化はただの気まぐれかと思っていたが、それからも掃除や膝をついての祈りを続けている。
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