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パーティー
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レオミュール公爵のパーティー当日。
朝から入念な準備が行われる。
「お嬢様……本当にこちらでよろしいのですか? 」
「えぇ」
ヴァローナは言葉を飲み込み準備を進める。
「お嬢様、宝石はどうなさいますか? 」
使用人はいくつかの候補を見せる。
「……これにしようかな」
「……畏まりました」
最後ともいえる、装飾品を付けてパーティーの準備を終える。
「準備が整いました。ご確認ください」
鏡で全身を確認する。
「んっ、いいわ。ありがとう」
私は玄関ホールで待つ父と共にパーティーへ向かう。
そして、父のエスコートで馬車に乗り込む。
「セラフィーナ、何かあればすぐに私のところに来なさい」
「はい」
「……彼と約束はしなかったのか? 」
「彼? あぁ、タドミール伯爵令息ですか? 彼とはそんな関係ではありませんよ」
以前と同じ頻度で彼が屋敷に訪れていれば誤解もするだろう。
「本当にそうなのか? 」
「はい。記憶を確認したくて話し相手になって頂いているだけですから」
「そうか」
父は私が再び彼に思いを寄せていると思っているのかもしれない。
話しているとレオミュール公爵家に到着する。
互いに高位貴族であるので割と近い場所に住んでいる。
公爵家のパーティーという事で、以前参加したパーティーより騎士の人数が多い。
父の言葉がレオミュールに変化をもたらしたなんて思っていない。
単純に公爵家と侯爵家では財力が違うのだろう。
馬車の家門を確認し、招待状と人数。
細かいが、招待客の身の安全を考えれば当然の事。
「お待たせいたしました。どうぞ」
再び馬車が走り出す。
レオミュール公爵の屋敷は貴族の中でも群を抜いて大きく圧倒されてしまう。
馬車から降り、会場前には既に多くの貴族が到着していた。
そして、直ぐに私の存在を発見する男がいる。
「セラ……ギャスパル令嬢」
彼が笑顔を向けて私に接触すると、周囲は動揺する。
婚約解消した二人が挨拶を交わしていれば当然の反応と言える。
しかも、男の方は恋人の存在を明かしたばかり。
その後二人は婚約はしなかったものの、関係は知れ渡っている。
「……タドミール伯爵令息、ごきげんよう」
契約書には『人前で話しかけるな』という項目は無い。
なので、彼が私に話しかけても問題は無い……
契約書で言えば。
「……ごきげんよう。今日はその……とても……綺麗なドレスですね」
「えぇ、私はこの色が好きなので」
「……そうだったんですね」
「はい」
私は彼に贈られたドレスを着用しなかった。
それに、宝石や髪飾り靴にも一切彼の色を入れていない。
彼は何を考えているのか、私に贈った生地と同じスーツを着用している。
私達は婚約について検討する為に信頼関係を築いているに過ぎない。
それなのに、私と彼が同じ生地を着用しては周囲を勘違いさせてしまう。
『再婚約したい』と宣言されたが、彼はこんなに強引な人間だったのだろうか?
それに、遠く離れたところから私達を睨みつける金髪の令嬢の存在が視界に入る。
「それでは」
「ま……待ってくれ、後でダンスに誘っても? 」
「……体調が安定していれば、お受けいたします」
「ありがとう」
彼は満足し去って行く。
私は確実に受けるとは言っていない。
寧ろ、断りの方が強いのだが彼には伝わらなかったようだ。
朝から入念な準備が行われる。
「お嬢様……本当にこちらでよろしいのですか? 」
「えぇ」
ヴァローナは言葉を飲み込み準備を進める。
「お嬢様、宝石はどうなさいますか? 」
使用人はいくつかの候補を見せる。
「……これにしようかな」
「……畏まりました」
最後ともいえる、装飾品を付けてパーティーの準備を終える。
「準備が整いました。ご確認ください」
鏡で全身を確認する。
「んっ、いいわ。ありがとう」
私は玄関ホールで待つ父と共にパーティーへ向かう。
そして、父のエスコートで馬車に乗り込む。
「セラフィーナ、何かあればすぐに私のところに来なさい」
「はい」
「……彼と約束はしなかったのか? 」
「彼? あぁ、タドミール伯爵令息ですか? 彼とはそんな関係ではありませんよ」
以前と同じ頻度で彼が屋敷に訪れていれば誤解もするだろう。
「本当にそうなのか? 」
「はい。記憶を確認したくて話し相手になって頂いているだけですから」
「そうか」
父は私が再び彼に思いを寄せていると思っているのかもしれない。
話しているとレオミュール公爵家に到着する。
互いに高位貴族であるので割と近い場所に住んでいる。
公爵家のパーティーという事で、以前参加したパーティーより騎士の人数が多い。
父の言葉がレオミュールに変化をもたらしたなんて思っていない。
単純に公爵家と侯爵家では財力が違うのだろう。
馬車の家門を確認し、招待状と人数。
細かいが、招待客の身の安全を考えれば当然の事。
「お待たせいたしました。どうぞ」
再び馬車が走り出す。
レオミュール公爵の屋敷は貴族の中でも群を抜いて大きく圧倒されてしまう。
馬車から降り、会場前には既に多くの貴族が到着していた。
そして、直ぐに私の存在を発見する男がいる。
「セラ……ギャスパル令嬢」
彼が笑顔を向けて私に接触すると、周囲は動揺する。
婚約解消した二人が挨拶を交わしていれば当然の反応と言える。
しかも、男の方は恋人の存在を明かしたばかり。
その後二人は婚約はしなかったものの、関係は知れ渡っている。
「……タドミール伯爵令息、ごきげんよう」
契約書には『人前で話しかけるな』という項目は無い。
なので、彼が私に話しかけても問題は無い……
契約書で言えば。
「……ごきげんよう。今日はその……とても……綺麗なドレスですね」
「えぇ、私はこの色が好きなので」
「……そうだったんですね」
「はい」
私は彼に贈られたドレスを着用しなかった。
それに、宝石や髪飾り靴にも一切彼の色を入れていない。
彼は何を考えているのか、私に贈った生地と同じスーツを着用している。
私達は婚約について検討する為に信頼関係を築いているに過ぎない。
それなのに、私と彼が同じ生地を着用しては周囲を勘違いさせてしまう。
『再婚約したい』と宣言されたが、彼はこんなに強引な人間だったのだろうか?
それに、遠く離れたところから私達を睨みつける金髪の令嬢の存在が視界に入る。
「それでは」
「ま……待ってくれ、後でダンスに誘っても? 」
「……体調が安定していれば、お受けいたします」
「ありがとう」
彼は満足し去って行く。
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寧ろ、断りの方が強いのだが彼には伝わらなかったようだ。
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