【完結】恋愛に向いていない女性の記録。婚約者との関係改善を目指して記憶喪失のフリをしたら……婚約解消になった編

天冨 七緒

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パーティー

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「セラフィーナ」

「……まだ何か? 」

「令嬢はその……記憶を失くして忘れているのかもしれないが、自身より爵位の高い相手の屋敷で粗相をしてドレスを拝借するのは失礼にあたる。屋敷に戻り着替えてくるのが礼儀だ」

 フランツは何を言っている?
 そんな礼儀作法は無い。
 迷惑をかけるのは相手が高位貴族関係なく避けるべき。
 だが、今回のように事故であれば問題ない。
 私が記憶喪失ということでありもしない作法を耳元で囁く。
 
「そうなのですか? 」

 記憶喪失ということなので、フランツを否定する事は出来ない。
 それなら、彼が何故そんな嘘を吐いたのか興味がある。

「あぁ、もし公爵に何か尋ねられた時は俺が交わしておくから早く屋敷に戻れ」

「そうですね……では、父に一言告げてからそうさせていただきます」

「ダメだっ……そんな事したら……侯爵も令嬢の粗相を責める可能性がある」

「何かあればすぐに報告するようにと言われておりますので」

「記憶関係であれば許されるだろうが、ドレスの粗相となれば問題だ」

「そうなのですか? 」

「そうだ。侯爵にも気づかれないよう私がフォローしておく。さぁ、早くっ」

 フランツに急かされるまま会場を離れる。
 強引過ぎる彼に疑念が生れる。
 もしかしたら、彼は既成事実でも作るつもりなのだろうか?
 そうだとしたら、私は一人で馬車に乗り込まなければならない。
 どうにかしてでも一人で馬車に乗車する。

「……どうされました? 」

 見回りの騎士に声を掛けられる。
 パーティーは中盤。
 帰宅するには早い時間。
 不審な行動と思われ声を掛けられたに違いない。

「なんでもありません」

 フランツは私の腕を掴み足早に馬車へと向かう。
 彼の強引さに恐怖が目萎える。

「タドミール令息……タドミール令息」

 私が呼んでも返事もない。
 腕を振り払いたいのに、男性の強さに敵う訳がない。
 
「令嬢、着替えて戻ってくるのを待っている」

 令息は強引に私を馬車に押し込み、御者に合図を送る。
 警戒していたが、彼は馬車に乗り込んでくることは無かった。

「なんだったの? まさか、本当に着替えてこいってだけ? 」

 不可解な令息の行動に振り回されたが、あることを思い出す。
 
「あっ……もしかして……ドレスを着替えろって……俺が贈ったドレスに着替えてこいってこと? 」

 そんなに、私がフランツからのドレスを着なかった事を根に持っていたの?
 過去に私が購入して贈った物は使用していたが、ハンカチなどの手作りは受け取るも使用しを確認した事は無い。
 なんだが、意地でも彼から贈られたドレスの使用は避けたい。
 屋敷に戻る間、クローゼットのドレスを思い浮かべる。

「公爵家のパーティーに相応しく、最近使用していないドレス……」
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