【完結】恋愛に向いていない女性の記録。婚約者との関係改善を目指して記憶喪失のフリをしたら……婚約解消になった編

天冨 七緒

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パーティー

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 屋敷に戻りドレスを着替え、再び公爵家に戻るには早くても一時間は掛かる。
 
「それでもパーティーには間に合う……キャッ……今度は何? 」

 馬車が急停車する。
 道が舗装され馬車移動が基本の貴族街で急停車する事は滅多にない。
 
「お嬢様っ、出てきてはなりません」

 御者の緊迫を知らせる声に、扉を開けようとした動きが止まる。
 状況を教えられたわけではないが、鬼気迫る状況から判断出来た。
 貴族であれば誰もが警戒するべき事……
 襲撃。
 まさか、こんな貴族街で起きるとは予想していない。
 国外に出国する際や、村や町へ移動する際に狙われる。
 安全と言われる貴族街で襲撃に遭うとは微塵も思っていなかった。
 再度扉の鍵を確認し、外から簡単に開けられないよう取っ手を握りしめるしか出来ない。

「誰か……助けて……」
 
 貴族街は騎士が定期的に見まわっている。
 それに私は公爵家から移動しているので、遅刻してやってくる貴族に発見される可能性もある。
 誰かに発見されるのを祈る事のみ。
 
「ギャッ」
「グワッ」
「てめぇっ」

 外から男性の呻き声や叫び声に恐怖が増す。
 どうなっているのか確認したいが、扉を開ける事すら私には出来なかった。
 
「……令嬢……ご無事ですか? 」

 私の無事を確認する声に、外の争いに決着がついてのだと分かる。
 それでも、開けていいのか迷う。
 御者の声とは違い、無事を確認した男性の声に私は聞き覚えがない。
 見回りの騎士か偶然目撃した貴族なのかもしれないが、怖くて体が動かない。

「お嬢様、もう安全です」

 聞き覚えるのある御者の声に硬直が解け、扉の鍵を解く。
 鍵を解いた事で外の人間に扉を開けられる。
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