【完結】恋愛に向いていない女性の記録。婚約者との関係改善を目指して記憶喪失のフリをしたら……婚約解消になった編

天冨 七緒

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パーティー

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 扉を開けたのは私の知っている侯爵家の御者だ。
 彼の手を取り外を確認すると、数名の騎士が男性を取り押さえているところだった。
 私は助けられたよう。

「貴方達は……」

「我々はレオミュール公爵家の騎士です」

「レオミュール公爵の騎士様がどうして? 」

「公爵よりギャスパル令嬢の護衛を承っております」

「公爵様が……」

 確かにレオミュール公爵が我が家に訪れた際、私が記憶喪失でありパーティーで何かしら粗相をしてしまう可能性を明かした。
 それはパーティー会場内での粗相の話で、屋敷を離れたら公爵が気にすることではないというのに。
 騎士を手配してくれ、お世話になってしまった。
 もし、襲撃などなければ私はレオミュールがそこまでしてくれていた事にも気が付かなかっただろう。
 こんなにも気を配ってくれたのは家族以外にいない。
 親しくもなく、恋人でも友人でもない格下の令嬢にここまでしてくれるなんて……

「この度はありがとうございました。レオミュール公爵様には後ほどお礼させて頂きます」

「畏まりました」

「助けていただきながら、このようなお願いは申し訳ないのですが公爵様と父に伝言をよろしいでしょうか? 」

「はい、なんでしょう」

「レオミュール公爵様には『ドレスを着替えパーティーに再度戻る予定だったのですが、このまま屋敷に戻りたいと思います。最後に挨拶出来ぬまま、申し訳在りませんでした』とお伝えいただけますか? 」

「はい」

「それと、父には『ドレスが汚れてしまい着替えて再びパーティーに参加予定だったのですが、このまま屋敷に戻ります』と伝えて頂けますか? 」

「畏まりました……私から一つお尋してもよろしいですか? 」

「はい」

「ワインでドレスを着替える為に屋敷に戻ると聞きましたが、公爵家の使用人からは何もありませんでしたか? 」

 社交界のパーティーマナーとして、招待客の衣装に問題があった場合主催者側が着替えを手配しておくもの。
 主催者本人が気が付かなくても、会場内にいる使用人が配慮すべきこと。
 その能力がある者が、会場の使用人に選ばれる。
 騎士も公爵家に仕えている身として誇りを持っているので、仕事は違えど使用人の行為は失態と言える。

「いえ、使用人の方には替えのドレスの提案されたのですが……」

「何か粗相でもありましたか? 」

「使用人の方は速やかな対応をして頂きました……私の元婚約者が……」

「差し支えなければ、元婚約者がどうされたのか聞いても良いですか? 」

「あの方に『爵位の高い方のパーティーに参加し粗相した際は、相手側のお世話になってはいけない』と告げられたもので」

「なんですか、それ。そんなことはありません。パーティー会場での粗相は主催者がフォローするもので、出来なかった場合は主催者側の失態となります。『お世話になってはいけない』なんて事はありません」

「……やはり、そうですよね……私も疑問に思ったのですが、令息の気迫に押されてしまい使用人の提案をお断りさせていただきました」

「そうだったのですね、分かりました。犯人ですが、公爵家の騎士が連行いたします。令嬢は私が屋敷まで送らせて頂きます」

「いえっ、そんな。助けて頂いたのに護衛までしていただくなんて」

「令嬢の身の安全をというのが公爵の命令ですので、無事に屋敷まで送り届けるのが私の役目となります」

「それでは、お言葉に甘えて……よろしくお願いいたします」

 レオミュール公爵の騎士に護衛され無事に屋敷に到着した。

「騎士様、ありがとうございました」

「いえ、仕事をしたまでです」

 騎士は私が無事に屋敷に入り、事の経緯を執事に報告をする。
 執事や使用人が冷静に対応するのを確認後、私を護衛してくれた騎士はレオミュール公爵家へと戻って行く。
 それからしばらくして、父が屋敷に戻って来た。
 公爵家のパーティーと途中で切り上げて戻ってきてくれたようだ。
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