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ウワサ
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学園に併設されているオープンカフェにて。
「魔物討伐の時のグラキアス様凄くなかった?」
「本当に凄かった。」
ここに居る人物は皆、あの日のグラキアスを目撃した者達だった。
「あんな魔法知らないよ。」
今までなら王子を追いかけ第二妃の座を狙っていた人物だが、あの日以降グラキアスに興味を持ち始めた。
「颯爽と現れて魔物退治するとか格好良すぎ。」
グラキアスという人物は長年王子の婚約者と言う立場で知らない者はいない。
貴族にとってグラキエスという人物は好き嫌いではなく、グラキエスはグラキエス。
何があっても王子の婚約者はグラキエスであり、それは変わらない事で、変えてはならない事でもあった。
なので多くの者はグラキアスに対し何かしらの行動を起こすことはなく、王子に気に入られようと水面下で動いていた。
グラキエス自身も他貴族が第二王妃の座を狙っている事に対して目を瞑っていた。
グラキアスは冷徹で鉄壁、他人に興味がなくその事を隠しもしないので誰も不用意に近寄れない人物だった。
「記憶を失ったグラキアス様は少し乱雑だけど、以前より話しかけやすいよね。」
グラキアスが記憶を失ったことで、今までの状況が一変した。
婚約解消に、記憶喪失になった原因は全て王子にあると誰もが認識していた。
平民を見せ付けるように肩を抱き、平民自身も王子の隣にいるのが当然という態度になっていった。
グラキエス自身は彼らに興味がなく、嫉妬に狂う…なんて事はあるわけもない。
するとしても「節度ある行動を」と最低限の注意だったというのに…。
自分のしでかした事の重大さに漸く気付いたのか王子に引っ付いていた平民も今現在は静かになった。
以前は王子という「権力」に庇われ守られ、常識の無い行動をしていたが、今では肩身が狭い思いをしている。
あのグラキアスを記憶喪失に追い込んだ疫病神の男娼と噂されるようになり、王子の方は学園を欠席することが多くなった。
王族にとっては貴族の一人なんて取るに足らない存在かもしれないが、グラキエスはそこら辺の貴族とは価値が違う。
王子の愚行は漸く王家に届いたのであろう。
次第に二人を一緒に見ることはなくなり、不仲なのではと噂が出る始末。
平民は言い返すこともなくじっと耐えていた。
その姿はまるで物語のヒロインのように。
そして今では学園に顔を出さない王子よりもグラキアスのが価値を高め始め、次第に誰もがグラキアスを狙い始めた。
「わかる、ぶっきらぼうでも答えてくれるのが建前じゃなくて本音っぽくて良いよね。」
グラキアスの態度を男らしいや本音で接して貰えていると受け取るようになり、人気が出始めていた。
「…本当、あの人が羨ましい。」
あの人が誰かは言わずとも誰もがわかっていた。
「……ズルいよね。」
これは本音。
「あんな風にグラキアス様に扱われたいよ。」
これも本音。
「キスとか…エロいよね」
これは憧れ。
「「「エロい」」」
官能。
「「「「されたぁい」」」」
煩悩炸裂。
「…だけど、今日はキスしてなくない?」
観察日記でも付けているような鋭さ。
「ん?そうだっけ?」
当然その反応。
「食堂ではしてなかった…。」
そう発言する彼は偶然近くの席に居たと言うものの、最近二人の指定席の周囲は埋まるのが早い…どころか彼らが来る前に陣取られている。
「教室では…わかんない…一緒には来てたよ。」
教室前で彼らを観察することは難しかった。
行き交う人の邪魔はできないし、扉から覗くことも出来ず聞き耳をたてるのが精一杯だった。
「まさか?」
まさかなに?
「えっ?」
えっ?
「それって…」
それって?
「グラキアス様がまともになったとか?」
まとも…?
「記憶が?」
戻った?
「記憶は戻ってないでしょ?態度は以前みたいに鉄壁じゃないし。」
確かに。
以前の完璧グラキアス様ではない。
「なら?」
ということは?
「単純にイグニスに興味が失せたって事でしょ。」
そういうこと?
そう話す彼の顔は綺麗なはずなのに、何処か醜さを感じた。
「ふふ、そうだよね。」
醜さって伝染する。
「イグニスって家柄だけで魅力なんて…」
今はグラキアスに愛されているイグニスはすごく綺麗になったのを誰も認めたくなかった。
その立場を奪う為に決し口にしたくなかった。
「魔物討伐の時のグラキアス様凄くなかった?」
「本当に凄かった。」
ここに居る人物は皆、あの日のグラキアスを目撃した者達だった。
「あんな魔法知らないよ。」
今までなら王子を追いかけ第二妃の座を狙っていた人物だが、あの日以降グラキアスに興味を持ち始めた。
「颯爽と現れて魔物退治するとか格好良すぎ。」
グラキアスという人物は長年王子の婚約者と言う立場で知らない者はいない。
貴族にとってグラキエスという人物は好き嫌いではなく、グラキエスはグラキエス。
何があっても王子の婚約者はグラキエスであり、それは変わらない事で、変えてはならない事でもあった。
なので多くの者はグラキアスに対し何かしらの行動を起こすことはなく、王子に気に入られようと水面下で動いていた。
グラキエス自身も他貴族が第二王妃の座を狙っている事に対して目を瞑っていた。
グラキアスは冷徹で鉄壁、他人に興味がなくその事を隠しもしないので誰も不用意に近寄れない人物だった。
「記憶を失ったグラキアス様は少し乱雑だけど、以前より話しかけやすいよね。」
グラキアスが記憶を失ったことで、今までの状況が一変した。
婚約解消に、記憶喪失になった原因は全て王子にあると誰もが認識していた。
平民を見せ付けるように肩を抱き、平民自身も王子の隣にいるのが当然という態度になっていった。
グラキエス自身は彼らに興味がなく、嫉妬に狂う…なんて事はあるわけもない。
するとしても「節度ある行動を」と最低限の注意だったというのに…。
自分のしでかした事の重大さに漸く気付いたのか王子に引っ付いていた平民も今現在は静かになった。
以前は王子という「権力」に庇われ守られ、常識の無い行動をしていたが、今では肩身が狭い思いをしている。
あのグラキアスを記憶喪失に追い込んだ疫病神の男娼と噂されるようになり、王子の方は学園を欠席することが多くなった。
王族にとっては貴族の一人なんて取るに足らない存在かもしれないが、グラキエスはそこら辺の貴族とは価値が違う。
王子の愚行は漸く王家に届いたのであろう。
次第に二人を一緒に見ることはなくなり、不仲なのではと噂が出る始末。
平民は言い返すこともなくじっと耐えていた。
その姿はまるで物語のヒロインのように。
そして今では学園に顔を出さない王子よりもグラキアスのが価値を高め始め、次第に誰もがグラキアスを狙い始めた。
「わかる、ぶっきらぼうでも答えてくれるのが建前じゃなくて本音っぽくて良いよね。」
グラキアスの態度を男らしいや本音で接して貰えていると受け取るようになり、人気が出始めていた。
「…本当、あの人が羨ましい。」
あの人が誰かは言わずとも誰もがわかっていた。
「……ズルいよね。」
これは本音。
「あんな風にグラキアス様に扱われたいよ。」
これも本音。
「キスとか…エロいよね」
これは憧れ。
「「「エロい」」」
官能。
「「「「されたぁい」」」」
煩悩炸裂。
「…だけど、今日はキスしてなくない?」
観察日記でも付けているような鋭さ。
「ん?そうだっけ?」
当然その反応。
「食堂ではしてなかった…。」
そう発言する彼は偶然近くの席に居たと言うものの、最近二人の指定席の周囲は埋まるのが早い…どころか彼らが来る前に陣取られている。
「教室では…わかんない…一緒には来てたよ。」
教室前で彼らを観察することは難しかった。
行き交う人の邪魔はできないし、扉から覗くことも出来ず聞き耳をたてるのが精一杯だった。
「まさか?」
まさかなに?
「えっ?」
えっ?
「それって…」
それって?
「グラキアス様がまともになったとか?」
まとも…?
「記憶が?」
戻った?
「記憶は戻ってないでしょ?態度は以前みたいに鉄壁じゃないし。」
確かに。
以前の完璧グラキアス様ではない。
「なら?」
ということは?
「単純にイグニスに興味が失せたって事でしょ。」
そういうこと?
そう話す彼の顔は綺麗なはずなのに、何処か醜さを感じた。
「ふふ、そうだよね。」
醜さって伝染する。
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