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検証
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何も起こらなかったので、一度撮影を中断したようにみせて……
「何も起きないな……これじゃぁダメだ」
「どうします? あれだ検証の為、島上さん一人でこの場に滞在してもらいスタッフは別室で待機だな」
急遽決まったように聞こえるが、台本通り。
「えっ、ちょっと待って。そんなの聞いてない。私、無理。出来ない。そういうのは、男性スタッフがするべきでしょ」
島上の言葉も台本通り。
この後、怖がりながらも亡くなった部屋に島上が一人残り検証に入る。
「本当に、私一人なんですか? 誰か残りませんか? カメラは? 誰が私を撮影するんですか」
スタッフ達は据え置きのカメラやマイクを設置。
全ては事前に説明済みである。
「ここから先は島上さん一人でここに残って頂き、カメラお渡しするので撮影をお願いします」
「私、本当に無理で……誰か一緒にお願いします……」
島上は諦め悪くスタッフに縋る。
交渉を粘る島上。
雰囲気が悪くなる現場。
「……分かりました」
渋々一人で部屋に残ることに承諾する島上。
予定外の島上の行動に時間はかなり押している。
そして検証。
「怖いよ……怖いよ……何も起きないで。私は仕事でここにきているだけなので、呪うなら別の人にお願いします」
怯えながら訴える島上。
イヤフォンをして、スタッフの指示を仰ぐ島上。
「あの……もう、充分ですよね? 戻って良いですか?」
始まって三分も経っていない。
『島上さん、異常がないか調べてください』
「異常はありません。もう、戻りますね? 聞こえてます? あの? ヤダ、故障? ねぇ、誰か聞こえてる?」
調べる様子もなく、戻ろうとする島上。
島上はずっと喋っているので、不審な音などの判断が付きにくい。
彼女の行動に苛立ちを見せるディレクターは、次第に島上に返事をすることを止め他の音に集中する。
『あれ、今のなんだ?』
スタッフの一人が何か気が付いた様子。
『どうした?』
『今、タンスと壁の間に何か落ちませんでした?』
『そうか? なら、確認させるか……島上さん聞こえますか?』
「はいっ、もう帰りますね」
『違います。確認してほしい事があります』
「嫌です。もう帰りたいです」
『島上さん? 島上さん……』
島上との連絡が途絶える。
『島上さんっ』
「もう、終わりで良いですよね?」
スタッフの指示を無視して島上は撮影を切り上げ戻って来た。
「島上さん、確認してほしいことがあるので戻ってもう一度お願いできますか?」
「もう、無理です。限界です。他の誰かにお願いします」
島上はスタッフがいくら説得しても離れる様子が無かった。
「はぁ……俺が行ってきます」
しびれを切らした男性スタッフが一人で確認に向かう。
異変に気が付いた彼だ。
彼はその異変を確認するべく、一人カメラを持って二階の例の部屋へ上がる。
全員が、彼の映像に注目。
「先程のはこれです、これ……なんですかね?」
二階に到着し、先程の異変の確認する男性スタッフ。
「開けてもいいですか?」
スタッフは別室にいる家主に確認を取る。
『はい、構いません』
「開けます……うわぇっ」
『どうした?』
男性スタッフの声に別室にも緊張感が走る。
「これ……髪の毛です……」
和紙に包まれていたのは、束ねられた長い髪。
見ただけで不気味。
『それ……』
何か気が付いたような家主。
『どうしました?』
『母は、昔は髪が長かったんです……』
その言葉で、察するスタッフ。
「もう、戻ります」
確認に向かった男性スタッフは発見したモノを元の状態に戻して部屋を去る。
「何ですか? もう一度お願いします……あの……よく聞こえないので、もう一度言ってください」
こちらでは何も指示をしていないのに、男性スタッフが指示を求める。
『すぐに、戻れ……聞こえてるか? すぐに戻れ』
何度も『戻れ』と指示するも、男性スタッフが戻って来ることがない。
『おい、誰かアイツを迎えに行け』
『はい』
一人が男性スタッフを迎えに行く。
「大丈夫か?」
男性スタッフに持たせたマイクに向かえに向かったスタッフの声が入る。
「……良かった。なら戻るぞ……お前、何持ってんだ? それはおいて行けよ。映像だけで充分だから」
迎えに行ったスタッフの言葉がマイク越しに届く。
暫くして二人が戻って来た。
「撮影は終了」
状況を確認し、撮影は終了。
スタッフは設置されていたカメラやマイクの撤去作業へ移る。
「はぁ……マジ、最悪。こんな仕事、二度としたくない」
周囲に気付かれないよう呟いたのだろうが、マイクの存在を忘れている様子。
新人のうちは、マイクを付けているのを忘れがちになり一人と勘違いして感情を吐き出すことがよくある。
島上の言葉は、マネージャー、偶然通りかかった私、そして音声を担当している者の耳に。
「本日はお疲れさまでした」
「お疲れ様です、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします」
マネージャーが挨拶しているというのに、島上はロケバスの中に入って行く。
大抵のタレントはそうなので、誰も気にしない。
「……機会があれば」
マネージャーとの挨拶も終える。
私達は局へ戻りVTRの編集作業。
そしてその後、スタジオでの撮影。
「何も起きないな……これじゃぁダメだ」
「どうします? あれだ検証の為、島上さん一人でこの場に滞在してもらいスタッフは別室で待機だな」
急遽決まったように聞こえるが、台本通り。
「えっ、ちょっと待って。そんなの聞いてない。私、無理。出来ない。そういうのは、男性スタッフがするべきでしょ」
島上の言葉も台本通り。
この後、怖がりながらも亡くなった部屋に島上が一人残り検証に入る。
「本当に、私一人なんですか? 誰か残りませんか? カメラは? 誰が私を撮影するんですか」
スタッフ達は据え置きのカメラやマイクを設置。
全ては事前に説明済みである。
「ここから先は島上さん一人でここに残って頂き、カメラお渡しするので撮影をお願いします」
「私、本当に無理で……誰か一緒にお願いします……」
島上は諦め悪くスタッフに縋る。
交渉を粘る島上。
雰囲気が悪くなる現場。
「……分かりました」
渋々一人で部屋に残ることに承諾する島上。
予定外の島上の行動に時間はかなり押している。
そして検証。
「怖いよ……怖いよ……何も起きないで。私は仕事でここにきているだけなので、呪うなら別の人にお願いします」
怯えながら訴える島上。
イヤフォンをして、スタッフの指示を仰ぐ島上。
「あの……もう、充分ですよね? 戻って良いですか?」
始まって三分も経っていない。
『島上さん、異常がないか調べてください』
「異常はありません。もう、戻りますね? 聞こえてます? あの? ヤダ、故障? ねぇ、誰か聞こえてる?」
調べる様子もなく、戻ろうとする島上。
島上はずっと喋っているので、不審な音などの判断が付きにくい。
彼女の行動に苛立ちを見せるディレクターは、次第に島上に返事をすることを止め他の音に集中する。
『あれ、今のなんだ?』
スタッフの一人が何か気が付いた様子。
『どうした?』
『今、タンスと壁の間に何か落ちませんでした?』
『そうか? なら、確認させるか……島上さん聞こえますか?』
「はいっ、もう帰りますね」
『違います。確認してほしい事があります』
「嫌です。もう帰りたいです」
『島上さん? 島上さん……』
島上との連絡が途絶える。
『島上さんっ』
「もう、終わりで良いですよね?」
スタッフの指示を無視して島上は撮影を切り上げ戻って来た。
「島上さん、確認してほしいことがあるので戻ってもう一度お願いできますか?」
「もう、無理です。限界です。他の誰かにお願いします」
島上はスタッフがいくら説得しても離れる様子が無かった。
「はぁ……俺が行ってきます」
しびれを切らした男性スタッフが一人で確認に向かう。
異変に気が付いた彼だ。
彼はその異変を確認するべく、一人カメラを持って二階の例の部屋へ上がる。
全員が、彼の映像に注目。
「先程のはこれです、これ……なんですかね?」
二階に到着し、先程の異変の確認する男性スタッフ。
「開けてもいいですか?」
スタッフは別室にいる家主に確認を取る。
『はい、構いません』
「開けます……うわぇっ」
『どうした?』
男性スタッフの声に別室にも緊張感が走る。
「これ……髪の毛です……」
和紙に包まれていたのは、束ねられた長い髪。
見ただけで不気味。
『それ……』
何か気が付いたような家主。
『どうしました?』
『母は、昔は髪が長かったんです……』
その言葉で、察するスタッフ。
「もう、戻ります」
確認に向かった男性スタッフは発見したモノを元の状態に戻して部屋を去る。
「何ですか? もう一度お願いします……あの……よく聞こえないので、もう一度言ってください」
こちらでは何も指示をしていないのに、男性スタッフが指示を求める。
『すぐに、戻れ……聞こえてるか? すぐに戻れ』
何度も『戻れ』と指示するも、男性スタッフが戻って来ることがない。
『おい、誰かアイツを迎えに行け』
『はい』
一人が男性スタッフを迎えに行く。
「大丈夫か?」
男性スタッフに持たせたマイクに向かえに向かったスタッフの声が入る。
「……良かった。なら戻るぞ……お前、何持ってんだ? それはおいて行けよ。映像だけで充分だから」
迎えに行ったスタッフの言葉がマイク越しに届く。
暫くして二人が戻って来た。
「撮影は終了」
状況を確認し、撮影は終了。
スタッフは設置されていたカメラやマイクの撤去作業へ移る。
「はぁ……マジ、最悪。こんな仕事、二度としたくない」
周囲に気付かれないよう呟いたのだろうが、マイクの存在を忘れている様子。
新人のうちは、マイクを付けているのを忘れがちになり一人と勘違いして感情を吐き出すことがよくある。
島上の言葉は、マネージャー、偶然通りかかった私、そして音声を担当している者の耳に。
「本日はお疲れさまでした」
「お疲れ様です、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします」
マネージャーが挨拶しているというのに、島上はロケバスの中に入って行く。
大抵のタレントはそうなので、誰も気にしない。
「……機会があれば」
マネージャーとの挨拶も終える。
私達は局へ戻りVTRの編集作業。
そしてその後、スタジオでの撮影。
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