【完結】嫌いなアイドルを人気者にしたのは……私?

天冨 七緒

文字の大きさ
10 / 26

本番

しおりを挟む
「ここは以前まで両親が住んでいたのですが亡くなりました。それから、なんだかおかしなことが起きるように……」

「△△さんは、今もこちらに住まわれているのですか?」

 現場に到着し不機嫌さを隠さない島上だが、カメラが回れば一変。

「いえ、私は別の場所に住んでいます」

「では、お母様がお一人で?」

「そうです」

「それで、ここにはどんな現象が?」

「誰もいないのに二階から足音が聞こえたり、物の位置に違和感を感じたり……取り壊す前に思い出として映像に記録したら……」

 彼は携帯の映像を島上に見せる。

「えっ……動いた? 誰の声? きゃっ」

 その映像はネットに投稿されていたもの。
 それを観て私達もこちらに決めた。
 島上の反応は過剰に怯えているようにも見えるが、許容範囲だろう。
 アップが多いと感じるのは、先程までカメラマンに甘えるように声を掛けていた彼女の成果ともいえる。
 
「では、中を案内します」

「本当に行くんですか? 怖い……」

 放送は家の周辺と家主にはモザイクを掛ける。
 編集での手間を考え、タレントが中心となり動く。
 現場に来て、家の前でネットに投稿された映像を観て終わり……なんて、ここまで来た意味がない。
 そんな事をすれば、視聴者に総ツッコミされるだろう。
 カメラの後ろでスタッフ達が『行け』とジェスチャー。
 島上は一度マネージャーに視線を送るも、助け船を出す様子はない。
 諦めて島上は家主に案内されるまま家に足を踏み入れる。

「ひぃっ……」

 古い建物なので、歩く度にギシギシとなる。
 その音に反応する島上。
 家主の家は物は多いが片付けられ、生活していたそのまま。

「二階に上がりましょう」

 家主が大半を過ごし、命を絶った部屋。
 離婚してから家主の母親に育てられた。
 離婚の原因は父親の浮気。
 ある日突然、別の女性と通帳を持って消えてしまったらしい。
 それから身なりも気にせず母親が必死に働き子供を育てた。
 そんな母親が、なんの前触れもなく二階の部屋のベランダで首を吊った。
 それから、この家では不可思議な現象が起こるらしい。

「この部屋のベランダでお母様が亡くなられた?」

「そうです。あの手すりで首を……」

 窓のカーテンは閉められている。
 カメラマンの奥にいるスタッフが『開けろ』と指示。
 島上にもその指示は伝わっているが、一向に開ける気配がない。

「カーテン……開けますね」

 家主が気を使いカーテンを開く。
 身構えるも異常はない。 
 何も起きらなければ起きるまで様々な方法を試す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった

神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》 「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」 婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。 全3話完結

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

処理中です...