男子校に入学しても絶対そっち側には行かないって思っていたのに、助けてくれた先輩が気になってます

天冨 七緒

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事件は突然に

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ある日移動教室の帰りに突然、空き教室に押し込められた。
あまりに突然で身体が硬直してしまった。
普段は功刀と行動を共にしていたが、先生からの呼び出しにより、俺一人で移動していた。
タイミングを見計らっていたような出来事。

「どうして俺の呼び出しには来てくれないんだ」

見しらぬ男は荒い呼吸で、見るからに興奮している。
両肩を掴まれ机に押し倒された。
何の事を言っているのかすぐには理解出来なかった。

「……や、ヤダ、…た…たすけって」

怖すぎてか細い声しか出せず震えが大きくなる。
怖い、誰かたすけてお願い。
男の顔が近づいていくる。
目を瞑り顔を背けるので精一杯だった。 

「………」

扉が開いた後、誰かの走り去る音が響いた。

「……………オイ…オイっ」

男の声で目を開けると先ほどまでに感じていたあの男の圧迫が消えていた。
目の前には先程の男とは違う別人がいた。
頭が理解できず胸の前で手を握りしめながら震えていた。

「さっきの奴ならどっか行った」

ぶっきら棒な男だったけど、あの男の後だと安心できた。
助けてくれたんだよね?

「あのぐらいで泣いてんじゃねぇよ」

男に言われて初めて自分が泣いてることに気付いた。気付いたのに涙を止めることが出来ない。
怖かった。
この人が居なかったら今頃…考えたくない。

「あ…あ…ありがとう…ございます」

あまりの恐怖で上半身を起こすも足に力が入らずヘタリ込んでしまった。床に手を着き漸く深呼吸が出来た気がする。
落ち着いた時には先程助けてくれた男の人は居なかった。




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