男子校に入学しても絶対そっち側には行かないって思っていたのに、助けてくれた先輩が気になってます

天冨 七緒

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好きになっちゃダメなの?

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あれから先輩の所には行っていない。
最近また、手紙の呼び出しが増えた気がする。
もう、そう言う呼び出しには行かない。

たまに、偶然先輩とすれ違うときがある。
今まですれ違うなんて無かったのに、あの日から空き部屋以外でよく先輩を見るようになった。
前までなら喜んでいたと思うのに、どうして今なんだろう。
すれ違うときに先輩を見てしまう。
先輩は俺なんて一切観てはいなかった。
凄く悲しい。
先輩は今日も空き部屋で知らない人と。
もう、先輩の髪に触れることは出来ないのかな。
やだな。
先輩なんて好きじゃない。
好きじゃない。
視界が徐々にボヤけてくる。
違う、これは涙なんかじゃない。
なのに、どうしてここに来ちゃったんだろう。
もう先輩のことなんて忘れたいのに。
扉の前で立ち尽くしてしまった。

「泣いてんのか」

後ろに先輩がいた。
少しも気付かなかった。

「………」

「また、誰かに襲われたのか」

首をふった。

「ふーん」

先輩は俺を置き去りにして空き部屋へ入っていった。
先輩の後を追った。

「先輩、俺を好きになって」

勢いで言ってしまった。
考えるより先に言葉にしてしまっていた。

「なに、抱いて欲しいの」

きっと先輩は本気に受け取ってない。

「違います、そうじゃなくて俺だけを観て欲しい」

「この場だけならな」

先輩は誠実とは言わないが、嘘は言わない。

「…ずっとはダメなの」

「無理だな」

先輩の表情が真剣なものに変わってく。

「どうして?」

「どうせお前もどっか行く」

「…も、って何?」

「……………」

「ねぇ、先輩教えて」

「………」

「俺、先輩から離れないから。俺だけにして」

先輩に抱きついた。

「……他の奴探せ」

優しく先輩に引き剥がされた。
先輩の方出て行き、俺一人空き部屋に取り残された。
涙が。
涙が溢れて止まらない。
先輩を追いかけることも出来ず、その場でしゃがみこんで泣き続けた。
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