58 / 65
聖女候補時代
聖女候補 卒業後
コルテーゼ侯爵様の領地に滞在するようになり、毎日教会と森に出向く。
教会では掃除と領地が平和であるように祈り、森では花の手入れをして祈る。
数か月が経過すると、僅かに生きていた芽から葉が生き生きと成長し始める。
「だいぶ成長したな」
「はい。ですが、蕾の気配はありませんね」
「そうだな。今年は咲かなくとも来年には蕾を見せるだろう」
コルテーゼ侯爵の屋敷に滞在するようになり噂は静まりだすも、不穏な気配が顔を見せ始める。
「今日、領地の外れの森に魔獣を確認と報せが届いた」
「魔獣ですか……」
「調べたところ、隣の領地にも魔獣の存在を度々確認しているらしい」
聖女候補として祈っても、多少は出てしまう。
それでも近年は減少したと聞いていた。
それなのに度々確認されるというのは、聖女の結界に綻びがあるということになる。
ソミールの祈りの実力だけは本物だ。
「あの方に何かあったのでしょうか? 」
「どうだろうな。聞いたところによると、王宮に移り住み王妃教育も始まったとか」
「王妃教育ですか……」
ルードヴィックに聞いてからフローレンスは両親に手紙を書き王都の近況を訪ねた。
『ソミール・イリノエ侯爵令嬢は聖女として活動しながら、王宮で王妃教育を受けている。翌年にコルネリウスとの婚約を視野に動いている』
「婚約を視野に……」
ソミールは聖女候補紹介時に貴族の作法を学んでいた。
王族との謁見も平民という事で大目に見られていたが、貴族となれば許されない程お粗末なもの。
その状態から王子の婚約者となるべく教育を受けるとなれば、そうとうな時間を要する。
なのに、期限は一年。
間に合うはずがない。
そのせいで祈りが疎かになったに違いない。
聖女の祈りが無ければ結界は弱体化。
そのせいで今、各地で魔獣が目撃されている。
父の手紙には続きがある。
『聖女候補を卒業した者達に王宮から手紙が届き始めている。フローレンスにも手紙が届いているので同封する。噂によると、内容は今代の聖女補佐を頼めないかというもの。コルネリウス王子がパーティーで「補佐は必要としない」と宣言した為、王都にいる卒業した聖女候補達は補佐を断っていると聞く。フローレンスも立場など気にすることなく、決断して構わない』
「……今更、聖女補佐を依頼なんて……」
あるわけがないと思いつつ、父の手紙に同封されていたコルネリウスからの手紙を確認する。
『この度、ソミールが聖女となり王宮で教育を受けている。だが慣れない環境の為、聖女候補時代のような能力が発揮できないでいる。ソミールの意向で気心の知れた者達に補佐・世話を頼みたいと言っている。今の聖女候補達は聖女としても令嬢としても未熟であり、王宮での補佐には心もとない。その為、卒業していった聖女候補達に声を掛けている。令嬢達には受けてくれると有り難い。今後は「聖女補佐」という立場で、王宮への滞在を許可する。ソミールが王妃教育に専念し無事に終え聖女と両立できるまでの間、聖女補佐に任命したいと思っている。一度直接話したい』
「何よこれ……」
あれだけ、聖女補佐は必要ないと言っていたのにこうもあっさり自身の発言を覆すとは……
「それにしても王族らしい内容」
『聖女補佐に任命したい』だなんて……
「お断りだわっ」
父に断る旨の手紙を認めた。
教会では掃除と領地が平和であるように祈り、森では花の手入れをして祈る。
数か月が経過すると、僅かに生きていた芽から葉が生き生きと成長し始める。
「だいぶ成長したな」
「はい。ですが、蕾の気配はありませんね」
「そうだな。今年は咲かなくとも来年には蕾を見せるだろう」
コルテーゼ侯爵の屋敷に滞在するようになり噂は静まりだすも、不穏な気配が顔を見せ始める。
「今日、領地の外れの森に魔獣を確認と報せが届いた」
「魔獣ですか……」
「調べたところ、隣の領地にも魔獣の存在を度々確認しているらしい」
聖女候補として祈っても、多少は出てしまう。
それでも近年は減少したと聞いていた。
それなのに度々確認されるというのは、聖女の結界に綻びがあるということになる。
ソミールの祈りの実力だけは本物だ。
「あの方に何かあったのでしょうか? 」
「どうだろうな。聞いたところによると、王宮に移り住み王妃教育も始まったとか」
「王妃教育ですか……」
ルードヴィックに聞いてからフローレンスは両親に手紙を書き王都の近況を訪ねた。
『ソミール・イリノエ侯爵令嬢は聖女として活動しながら、王宮で王妃教育を受けている。翌年にコルネリウスとの婚約を視野に動いている』
「婚約を視野に……」
ソミールは聖女候補紹介時に貴族の作法を学んでいた。
王族との謁見も平民という事で大目に見られていたが、貴族となれば許されない程お粗末なもの。
その状態から王子の婚約者となるべく教育を受けるとなれば、そうとうな時間を要する。
なのに、期限は一年。
間に合うはずがない。
そのせいで祈りが疎かになったに違いない。
聖女の祈りが無ければ結界は弱体化。
そのせいで今、各地で魔獣が目撃されている。
父の手紙には続きがある。
『聖女候補を卒業した者達に王宮から手紙が届き始めている。フローレンスにも手紙が届いているので同封する。噂によると、内容は今代の聖女補佐を頼めないかというもの。コルネリウス王子がパーティーで「補佐は必要としない」と宣言した為、王都にいる卒業した聖女候補達は補佐を断っていると聞く。フローレンスも立場など気にすることなく、決断して構わない』
「……今更、聖女補佐を依頼なんて……」
あるわけがないと思いつつ、父の手紙に同封されていたコルネリウスからの手紙を確認する。
『この度、ソミールが聖女となり王宮で教育を受けている。だが慣れない環境の為、聖女候補時代のような能力が発揮できないでいる。ソミールの意向で気心の知れた者達に補佐・世話を頼みたいと言っている。今の聖女候補達は聖女としても令嬢としても未熟であり、王宮での補佐には心もとない。その為、卒業していった聖女候補達に声を掛けている。令嬢達には受けてくれると有り難い。今後は「聖女補佐」という立場で、王宮への滞在を許可する。ソミールが王妃教育に専念し無事に終え聖女と両立できるまでの間、聖女補佐に任命したいと思っている。一度直接話したい』
「何よこれ……」
あれだけ、聖女補佐は必要ないと言っていたのにこうもあっさり自身の発言を覆すとは……
「それにしても王族らしい内容」
『聖女補佐に任命したい』だなんて……
「お断りだわっ」
父に断る旨の手紙を認めた。
あなたにおすすめの小説
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜
恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」
不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。
結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、
「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。
元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。
独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場!
無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。
記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける!
※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる
物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!