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三章 幸運の猫
46.八の月の連絡船-2
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八の月の連絡船がアイラナに到着した。
港には市が立ち並び、多くの人が集まっている。
ルルティアはアミルを誘って一緒に屋台を練り歩いた。
屋台で買い物をしながらこっそりとアミルの顔を覗き見ると楽しんでいる様子で、とりあえずアミルに二日後のウトビア行きの船に乗る様子は見えなかった。
ルルティアが内心ドキドキしながらアミルと歩いていると、連絡船から降りて来た人々の声がそこかしこからしていた。
「大陸統一の二十年記念式典がもうすぐだが……」
「各地で不満が……」
「あの皇帝ではダメだ」
何やら大陸ウトビアの不穏な話が流れ聞こえてくる。
アイラナは海流のおかげもあって、今のところ外の世界の治安の悪さとは無縁でいられた。
すると突然、大きな声で呼ばれた。
「アミル!!」
「お前は……!」
二人がふり返ると、遠くから赤い髪の上背のある男がアミルに駆け寄ってきた。
アミルは男を見て少し驚いた顔をしたが、男はアミルに駆け寄るとその左肩をガッとつかんでまくし立てた。
「やはり生きていたか。お前が死んだって話も聞こえてきたがそう簡単にくたばるはずがないと思っていた。心配したぞ」
「相変わらずうるせぇな、エクウス」
アミルは赤毛の男をエクウスと呼んで、その大きな声に顔をしかめて迷惑そうにした。
エクウスはヌイよりも年上に見えるので、年の頃は三十くらいだろうか。
旅装束をしているがアミルのような旅芸人には見えず、むしろその立派な体躯は軍人のようにも見えた。
ルルティアはあわててアミルの右腕を胸にかき抱いた。
「アミル……!」
「ルー、大丈夫だ。コイツは敵じゃない」
心配そうに上目遣いで見てくるルルティアに、アミルは口の端をわずかに上げて安心させるようにルルティアの腕をポンポンと叩いた。
「ま、味方でもないけどな」
そう言って肩をすくめると、エクウスは不満げな顔をしていた。
「言ってくれるな、アミル。コレはいらないのか?」
エクウスはガサゴソと鞄から茶色い包みを取り出してアミルに見せた。
「それ! 手に入ったのか?」
「死んだはずのお前から連絡が来た時は驚いたが、お前の頼みだからな。ただコレを渡す代わりに少し話がある」
「チッ、仕方ねーな」
アミルは頭をガシガシとかいてからルルティアの方を見た。
「ルー、悪いけど俺はコイツと話があるから」
「アミル」
「大丈夫だから」
まだ不安げな顔をしているルルティアに向かって、安心させるようにアミルは笑った。
そうしてアミルはルルティアを置いて行ってしまった。
ルルティアはひどく胸騒ぎがしながらも、去っていく二人の後ろ姿を見送っていた。
港には市が立ち並び、多くの人が集まっている。
ルルティアはアミルを誘って一緒に屋台を練り歩いた。
屋台で買い物をしながらこっそりとアミルの顔を覗き見ると楽しんでいる様子で、とりあえずアミルに二日後のウトビア行きの船に乗る様子は見えなかった。
ルルティアが内心ドキドキしながらアミルと歩いていると、連絡船から降りて来た人々の声がそこかしこからしていた。
「大陸統一の二十年記念式典がもうすぐだが……」
「各地で不満が……」
「あの皇帝ではダメだ」
何やら大陸ウトビアの不穏な話が流れ聞こえてくる。
アイラナは海流のおかげもあって、今のところ外の世界の治安の悪さとは無縁でいられた。
すると突然、大きな声で呼ばれた。
「アミル!!」
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二人がふり返ると、遠くから赤い髪の上背のある男がアミルに駆け寄ってきた。
アミルは男を見て少し驚いた顔をしたが、男はアミルに駆け寄るとその左肩をガッとつかんでまくし立てた。
「やはり生きていたか。お前が死んだって話も聞こえてきたがそう簡単にくたばるはずがないと思っていた。心配したぞ」
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ルルティアはあわててアミルの右腕を胸にかき抱いた。
「アミル……!」
「ルー、大丈夫だ。コイツは敵じゃない」
心配そうに上目遣いで見てくるルルティアに、アミルは口の端をわずかに上げて安心させるようにルルティアの腕をポンポンと叩いた。
「ま、味方でもないけどな」
そう言って肩をすくめると、エクウスは不満げな顔をしていた。
「言ってくれるな、アミル。コレはいらないのか?」
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「チッ、仕方ねーな」
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「ルー、悪いけど俺はコイツと話があるから」
「アミル」
「大丈夫だから」
まだ不安げな顔をしているルルティアに向かって、安心させるようにアミルは笑った。
そうしてアミルはルルティアを置いて行ってしまった。
ルルティアはひどく胸騒ぎがしながらも、去っていく二人の後ろ姿を見送っていた。
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