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第六章
あの日の雨
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「蓮志さんは?」
今日も星空は、&barに来ていた。
「今日は休みだよ」
洋平が、奥の扉から出てきてそう答えた。
「そう、ですか」
「なんだ~?そのがっかりした顔は~。せっかくなら、なんか飲みな」
「じゃぁ、おすすめでお願いします」
冷たいグラスに綺麗な青紫のカクテルが注がれる。
カクテルの名前は、_____ジントニック。
一口飲むと、すっきりとした甘さとライムの香りが爽やかで心がほどけるような味だった。
「蓮志のこと知りたい?」
「はい。もし蓮志さんのことを知って傷つくとしても、俺は蓮志さんのことが知りたいです」
「そうか、わかった」
「あれは、ある雨の日のことだった。蓮志は、小さい時から家庭環境が良くなくて、それから誰にも心を開かなくなった。自分が関わると人のことを傷つけるんじゃないかって思ってる。そういう優しいやつなんだよ」
「そう、だったんですか」
星空は、胸が苦しくなった。自分が蓮志の過去を救えない無力さを感じて情けなくなった。支えたいと思っていたけど、それは浅はかだったのか……。
それでも蓮志の過去の傷に少しでも寄り添いたいと思った。もう自分の中で迷いはなかった。
「これ以上は俺からは話せない。それでも蓮志のことが知りたいなら、蓮志の過去まで背負う覚悟を持つ必要があるし、そうじゃないなら、やめておいたほうがいい」
「わかりました。でも、俺は蓮志さんのことを知りたいと思うし、少しでも蓮志さんの支えになりたいと思っています」
「その言葉が聞けて良かったよ」
「俺こそ、蓮志さんの事少しでも知ることができてよかったです。ありがとうございます。」
「でも、あいつ星空くんのこと大事に思ってると思うよ。」
「本当ですか?」
「ああ、あいつの顔を見ればわかるよ。」
「それなら、少し嬉しいです……」
その頃、蓮志は久しぶりにAlbaで幼馴染の南雲湊(なぐもみなと)とお酒を飲んでいた。
湊は、中性的な雰囲気があり、学生の頃は男性だった。でも今では、明るいブラウンの髪をまとめて、丁寧に手入れされたネイル、高級感のある黒のドレスを身に纏っていた。白い肌に長いまつげと形の整った唇、美しく端正な顔立ちをしている。
「蓮志、最近顔見なかったけど、どうかした?」
「まあ色々忙しくて」
「そっか~でも浮かない顔してない?」
湊には、何も隠せないなと思った。
湊とは、長い間の付き合いで、俺が高校生の時、母親と再婚した父親から、精神的にも性的にもDVを受けていた俺は、嫌気がさし、湊の母親が経営しているく隣町にあるクラブのAlbaまで逃げ込んだ。
湊は、それからの腐れ縁。
「俺は、人と深く関わらないほうがいいと思ってた。傷つけるだけだって思ってた。でも……」
「もしかして、大事にしたいって思える人、できた?」
少し沈黙した後、蓮志は静かに頷いた。
「湊には、何も隠せないな……」
「何年の付き合いだと思ってるの」
「たしかに」
お互い視線を合わせて少し微笑んだ。
「これでも蓮志のことはわかってるつもり。蓮志の過去も知ってるし、踏み出せないのもわかる。でも、その人は過去の傷じゃない。自分のこともその人のことも信じてみてもいいんじゃないのかな」
「そうかな」
「うん、そうだよ」
今日も星空は、&barに来ていた。
「今日は休みだよ」
洋平が、奥の扉から出てきてそう答えた。
「そう、ですか」
「なんだ~?そのがっかりした顔は~。せっかくなら、なんか飲みな」
「じゃぁ、おすすめでお願いします」
冷たいグラスに綺麗な青紫のカクテルが注がれる。
カクテルの名前は、_____ジントニック。
一口飲むと、すっきりとした甘さとライムの香りが爽やかで心がほどけるような味だった。
「蓮志のこと知りたい?」
「はい。もし蓮志さんのことを知って傷つくとしても、俺は蓮志さんのことが知りたいです」
「そうか、わかった」
「あれは、ある雨の日のことだった。蓮志は、小さい時から家庭環境が良くなくて、それから誰にも心を開かなくなった。自分が関わると人のことを傷つけるんじゃないかって思ってる。そういう優しいやつなんだよ」
「そう、だったんですか」
星空は、胸が苦しくなった。自分が蓮志の過去を救えない無力さを感じて情けなくなった。支えたいと思っていたけど、それは浅はかだったのか……。
それでも蓮志の過去の傷に少しでも寄り添いたいと思った。もう自分の中で迷いはなかった。
「これ以上は俺からは話せない。それでも蓮志のことが知りたいなら、蓮志の過去まで背負う覚悟を持つ必要があるし、そうじゃないなら、やめておいたほうがいい」
「わかりました。でも、俺は蓮志さんのことを知りたいと思うし、少しでも蓮志さんの支えになりたいと思っています」
「その言葉が聞けて良かったよ」
「俺こそ、蓮志さんの事少しでも知ることができてよかったです。ありがとうございます。」
「でも、あいつ星空くんのこと大事に思ってると思うよ。」
「本当ですか?」
「ああ、あいつの顔を見ればわかるよ。」
「それなら、少し嬉しいです……」
その頃、蓮志は久しぶりにAlbaで幼馴染の南雲湊(なぐもみなと)とお酒を飲んでいた。
湊は、中性的な雰囲気があり、学生の頃は男性だった。でも今では、明るいブラウンの髪をまとめて、丁寧に手入れされたネイル、高級感のある黒のドレスを身に纏っていた。白い肌に長いまつげと形の整った唇、美しく端正な顔立ちをしている。
「蓮志、最近顔見なかったけど、どうかした?」
「まあ色々忙しくて」
「そっか~でも浮かない顔してない?」
湊には、何も隠せないなと思った。
湊とは、長い間の付き合いで、俺が高校生の時、母親と再婚した父親から、精神的にも性的にもDVを受けていた俺は、嫌気がさし、湊の母親が経営しているく隣町にあるクラブのAlbaまで逃げ込んだ。
湊は、それからの腐れ縁。
「俺は、人と深く関わらないほうがいいと思ってた。傷つけるだけだって思ってた。でも……」
「もしかして、大事にしたいって思える人、できた?」
少し沈黙した後、蓮志は静かに頷いた。
「湊には、何も隠せないな……」
「何年の付き合いだと思ってるの」
「たしかに」
お互い視線を合わせて少し微笑んだ。
「これでも蓮志のことはわかってるつもり。蓮志の過去も知ってるし、踏み出せないのもわかる。でも、その人は過去の傷じゃない。自分のこともその人のことも信じてみてもいいんじゃないのかな」
「そうかな」
「うん、そうだよ」
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