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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
第1話 婚約破棄? ありがとうございます!
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「ソフィア、すまない。僕は君という婚約者が居ながら、別の女性を好きになってしまったんだ。だから、君との婚約は無かった事にして欲しい」
目の前に居る私の婚約者であり、この国の第五王子でもあるバティスト王子が何か言い、その言葉を理解するよりも早く、
「すみません。ソフィア様」
その背後から現れた二歳年下のシャルロットが、ニヤニヤしながら頭を下げる。
つまり、シャルロットが私からバティスト王子を奪い取り、婚約破棄に至ったという事かしら?
なるほど……よくそんな事をしてくれたわね、シャルロット!
ありがとう! 本当に感謝するわ!
「バティスト王子。つまりこれは、王子が不義を働いたという事ですね?」
「あぁ、見ての通りだ。僕は君との婚約を破棄して、シャルロットと婚約する事にしたんだ」
やったぁぁぁっ!
……おっと、危ない危ない。
まさかこんな事態になるとは思ってもおらず、笑みが零れそうになるのを必死に我慢していると、
「ソフィア様……本当に申し訳ありません」
シャルロットが口では申し訳なさそうにしつつも、王子に見えない位置に居るからか、満面の笑みを浮かべていた。
教会の代表で顔とも言える聖女になれなかった腹いせか、それとも王子と結婚して王族になれると喜んでいるのか。
だけど、違う。違うのよ、シャルロット。笑いたいのは私の方なの。
そんな心境を悟られないように気を付けながら、静かに口を開く。
「何という事でしょう。聖女である私と王子は、古来より続くしきたりによって結婚の約束をしていたというのに」
「その通りだ。だから僕から教会にお願いして、今日からシャルロットを聖女にしてもらった」
古くから、王子は聖女と結婚するというしきたりが有るのは本当だけど、どうしてそんなしきたりがあると思う?
普通、王子は他国の王女を娶ったり、有力貴族の娘と結婚するわ。
だけど凄く出来が悪くて、どこからも結婚を断られるような王子が生まれる事だってある。
そんな王子に結婚相手をあてがうために、このしきたりが有る訳で。
つまりバティスト王子は……バカで無能なのよ!
話はつまらないし、剣も魔法も使えない。その上、王族らしい気品も無ければ、簡単な算術も出来ないし、人を惹き付けるものや特技を何一つ持っていない。
それだけではなくて、何か都合の悪い事があれば、全て他人のせいにして、自分のせいではないと言い張る。それが、バティスト王子の正体なのよ。
「……侍祭のシャルロットが、聖女になるという事は、私が侍祭になるという事でしょうか?」
「いや、王族の面子もあって、君には……教会を出て行ってもらいたいんだ」
「そうですか。私としては、王子様の寵愛を受けたかったのですが、もはやそれも不可能なのでしょう。畏まりました。私は教会を出ていきます。……しかし私は教会の外で暮らした事がありません。ですから、傷心の私が暫く生活していけるだけの金銭をいただけないでしょうか」
「もちろんだ。不義を働いたのは僕なのだから、しっかり手切金――失礼。慰謝料を支払わせてもらおう」
王子がそう言うと、従者が小さな箱を運んで来て……白い金貨が十枚入っていた。
白金貨は一枚で金貨百枚と同等だから……節約すれば三年は生活出来るじゃない!
ふふっ。好きでもない王子と離れられた上に、無駄に目立って、言動が激しく制限される聖女からも解放された。
面倒な祈祷や治療といった聖女としての公務は、今後全てシャルロットがしてくれるみたいだし。
……ただ、シャルロットは聖女の勤めに必須の神聖魔法があまり得意ではなかったような気がするけど。
まぁそれはさておき、シャルロットありがとう!
これからは私、自由に生きていくわ!
目の前に居る私の婚約者であり、この国の第五王子でもあるバティスト王子が何か言い、その言葉を理解するよりも早く、
「すみません。ソフィア様」
その背後から現れた二歳年下のシャルロットが、ニヤニヤしながら頭を下げる。
つまり、シャルロットが私からバティスト王子を奪い取り、婚約破棄に至ったという事かしら?
なるほど……よくそんな事をしてくれたわね、シャルロット!
ありがとう! 本当に感謝するわ!
「バティスト王子。つまりこれは、王子が不義を働いたという事ですね?」
「あぁ、見ての通りだ。僕は君との婚約を破棄して、シャルロットと婚約する事にしたんだ」
やったぁぁぁっ!
……おっと、危ない危ない。
まさかこんな事態になるとは思ってもおらず、笑みが零れそうになるのを必死に我慢していると、
「ソフィア様……本当に申し訳ありません」
シャルロットが口では申し訳なさそうにしつつも、王子に見えない位置に居るからか、満面の笑みを浮かべていた。
教会の代表で顔とも言える聖女になれなかった腹いせか、それとも王子と結婚して王族になれると喜んでいるのか。
だけど、違う。違うのよ、シャルロット。笑いたいのは私の方なの。
そんな心境を悟られないように気を付けながら、静かに口を開く。
「何という事でしょう。聖女である私と王子は、古来より続くしきたりによって結婚の約束をしていたというのに」
「その通りだ。だから僕から教会にお願いして、今日からシャルロットを聖女にしてもらった」
古くから、王子は聖女と結婚するというしきたりが有るのは本当だけど、どうしてそんなしきたりがあると思う?
普通、王子は他国の王女を娶ったり、有力貴族の娘と結婚するわ。
だけど凄く出来が悪くて、どこからも結婚を断られるような王子が生まれる事だってある。
そんな王子に結婚相手をあてがうために、このしきたりが有る訳で。
つまりバティスト王子は……バカで無能なのよ!
話はつまらないし、剣も魔法も使えない。その上、王族らしい気品も無ければ、簡単な算術も出来ないし、人を惹き付けるものや特技を何一つ持っていない。
それだけではなくて、何か都合の悪い事があれば、全て他人のせいにして、自分のせいではないと言い張る。それが、バティスト王子の正体なのよ。
「……侍祭のシャルロットが、聖女になるという事は、私が侍祭になるという事でしょうか?」
「いや、王族の面子もあって、君には……教会を出て行ってもらいたいんだ」
「そうですか。私としては、王子様の寵愛を受けたかったのですが、もはやそれも不可能なのでしょう。畏まりました。私は教会を出ていきます。……しかし私は教会の外で暮らした事がありません。ですから、傷心の私が暫く生活していけるだけの金銭をいただけないでしょうか」
「もちろんだ。不義を働いたのは僕なのだから、しっかり手切金――失礼。慰謝料を支払わせてもらおう」
王子がそう言うと、従者が小さな箱を運んで来て……白い金貨が十枚入っていた。
白金貨は一枚で金貨百枚と同等だから……節約すれば三年は生活出来るじゃない!
ふふっ。好きでもない王子と離れられた上に、無駄に目立って、言動が激しく制限される聖女からも解放された。
面倒な祈祷や治療といった聖女としての公務は、今後全てシャルロットがしてくれるみたいだし。
……ただ、シャルロットは聖女の勤めに必須の神聖魔法があまり得意ではなかったような気がするけど。
まぁそれはさておき、シャルロットありがとう!
これからは私、自由に生きていくわ!
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