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午前最後の授業は自習だったのですぐに終わった。そこでシルヴィンは久しぶりにディアスを迎えに行こうと考えた。いつもディアスが迎えにきてくれるのも嬉しいが、自分もディアスを喜ばせたいという気持ちもあった。
「ディー、迎えにきたよ。ご飯食べに行こう」
「シル!シルから迎えにきてくれるなんて珍しいな。早く行こう。」
ディアスは顔を綻ばせる。
「俺も一緒に食べたい!」
少し高めのボーイソプラノの声が響く。
ざわざわとしていた教室が一気に静まり返った。そんなことにも気づいていないのか、はたまた気づいているのか、フィンリスは発言を続ける。
「いつもディアスを誘っても断られるんだよなー。お前と食ってんの?」
「うん。そうだけど…」
「俺も一緒に食べていいだろ?お前ばっかりずるいよ。」
「昼餐会は僕たちが婚約者として親睦を深める目的もあるんだ。だから、申し訳ないけど2人で食べてもいいかな。」
シルヴィンは眉を下げて断る。
「え!!お前らって婚約者なの?男同士なのに?」
「うん、そうだよ。小さい頃からそうなんだ。」
「へぇ~。あ!政略結婚ってやつ?愛のない結婚をしなきゃいけないなんて身分のあるやつは大変だな~。俺は絶対に好きな人と結婚したいけど。不満に思ったこととかねぇの?
ディアス、いつでも相談乗るからな!」
フィンリスがニカッとディアスに笑顔を向ける。
愛ならある、お前が考えてるよりずっと。お前に僕たちの何がわかるんだ。
思わずそう言ってしまいたくなった。
「すまないが時間がないから行く。」
ディアスがシルヴィンの腕を掴んで歩き出す。
「男でも結婚できるんだ…。」
フィンリスが後ろで小さく呟いた。フィンリスの目はあつく熱を帯びていた。
シルヴィンはフィンリスのことを考えるとモヤモヤとして気分が晴れなかった。彼はディアスに馴れ馴れしすぎやしないか。なぜディアスもあんなに許しているのだろう。もっと諌めてくれてもいいのに。
モヤモヤとマイナスな思考が溜まっていく。
「あはははははっ!ディアスって本当に面白いやつだな~!」
フィンリスは細い腕でディアスの肩をバンバンと叩く。
「お前も面白いな。」
ディアスもフィンリスに笑顔を見せている。
シルヴィンとデレクは廊下の曲がり角からその様子を見ていた。
「あいつら、ちょっと距離感近くねぇか?」
「本当にね。」
シルヴィンの表情を見てデレクはハッとする。
「いや、でも、殿下の婚約者はシルヴィンだし、殿下はシルヴィンのこと溺愛してるし…」
「うわっ。今日もあの2人一緒にいる。」
「本当だ。最近いつも2人でいるよね。いくら殿下がお優しいからといってアレは馴れ馴れしすぎないか?」
「殿下の愛人候補って噂があるぞ。」
「えぇ~、それはないだろ。あの眼鏡野郎モサいし。」
「でも、今の婚約者だってパッとしない顔じゃないか。良くも悪くも平凡すぎるというか…。だから殿下はB専って噂がある。」
「あははっ!それならあのモッサリ緑野郎が愛人になってもおかしくないな。」
2人の男子学生は意地汚い笑みを見せる。
「あいつら…。好き勝手言いやがって。ちょっと締めてくる」
「別にいいよ。僕が冴えない見た目なのは事実だし。
でも、ちょっと…いや、かなりディーには怒っているかな。」
シルヴィンは目を好戦的に輝かせた。
「いつでも相談なら乗るぜ。」
デレクがシルヴィンの肩に手を置いて、ポンポンと慰めた。
「シル!奇遇だな、こんなところで会うとは。」
ディアスがこちらに気がついたようだ。こちらへと歩いてくる。後ろからフィンリスもついてきている。
「移動教室だったから。でも僕もう行かないと。行こう、デレク」
2人の元から離れる時、フィンリスがシルヴィンのことを睨みつけているのをシルヴィンは見逃さなかった。
「ディー、迎えにきたよ。ご飯食べに行こう」
「シル!シルから迎えにきてくれるなんて珍しいな。早く行こう。」
ディアスは顔を綻ばせる。
「俺も一緒に食べたい!」
少し高めのボーイソプラノの声が響く。
ざわざわとしていた教室が一気に静まり返った。そんなことにも気づいていないのか、はたまた気づいているのか、フィンリスは発言を続ける。
「いつもディアスを誘っても断られるんだよなー。お前と食ってんの?」
「うん。そうだけど…」
「俺も一緒に食べていいだろ?お前ばっかりずるいよ。」
「昼餐会は僕たちが婚約者として親睦を深める目的もあるんだ。だから、申し訳ないけど2人で食べてもいいかな。」
シルヴィンは眉を下げて断る。
「え!!お前らって婚約者なの?男同士なのに?」
「うん、そうだよ。小さい頃からそうなんだ。」
「へぇ~。あ!政略結婚ってやつ?愛のない結婚をしなきゃいけないなんて身分のあるやつは大変だな~。俺は絶対に好きな人と結婚したいけど。不満に思ったこととかねぇの?
ディアス、いつでも相談乗るからな!」
フィンリスがニカッとディアスに笑顔を向ける。
愛ならある、お前が考えてるよりずっと。お前に僕たちの何がわかるんだ。
思わずそう言ってしまいたくなった。
「すまないが時間がないから行く。」
ディアスがシルヴィンの腕を掴んで歩き出す。
「男でも結婚できるんだ…。」
フィンリスが後ろで小さく呟いた。フィンリスの目はあつく熱を帯びていた。
シルヴィンはフィンリスのことを考えるとモヤモヤとして気分が晴れなかった。彼はディアスに馴れ馴れしすぎやしないか。なぜディアスもあんなに許しているのだろう。もっと諌めてくれてもいいのに。
モヤモヤとマイナスな思考が溜まっていく。
「あはははははっ!ディアスって本当に面白いやつだな~!」
フィンリスは細い腕でディアスの肩をバンバンと叩く。
「お前も面白いな。」
ディアスもフィンリスに笑顔を見せている。
シルヴィンとデレクは廊下の曲がり角からその様子を見ていた。
「あいつら、ちょっと距離感近くねぇか?」
「本当にね。」
シルヴィンの表情を見てデレクはハッとする。
「いや、でも、殿下の婚約者はシルヴィンだし、殿下はシルヴィンのこと溺愛してるし…」
「うわっ。今日もあの2人一緒にいる。」
「本当だ。最近いつも2人でいるよね。いくら殿下がお優しいからといってアレは馴れ馴れしすぎないか?」
「殿下の愛人候補って噂があるぞ。」
「えぇ~、それはないだろ。あの眼鏡野郎モサいし。」
「でも、今の婚約者だってパッとしない顔じゃないか。良くも悪くも平凡すぎるというか…。だから殿下はB専って噂がある。」
「あははっ!それならあのモッサリ緑野郎が愛人になってもおかしくないな。」
2人の男子学生は意地汚い笑みを見せる。
「あいつら…。好き勝手言いやがって。ちょっと締めてくる」
「別にいいよ。僕が冴えない見た目なのは事実だし。
でも、ちょっと…いや、かなりディーには怒っているかな。」
シルヴィンは目を好戦的に輝かせた。
「いつでも相談なら乗るぜ。」
デレクがシルヴィンの肩に手を置いて、ポンポンと慰めた。
「シル!奇遇だな、こんなところで会うとは。」
ディアスがこちらに気がついたようだ。こちらへと歩いてくる。後ろからフィンリスもついてきている。
「移動教室だったから。でも僕もう行かないと。行こう、デレク」
2人の元から離れる時、フィンリスがシルヴィンのことを睨みつけているのをシルヴィンは見逃さなかった。
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