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第3章 人間超越編
第44話 腹を割る……全部じゃないけど
しおりを挟む「それじゃ、言い出しっぺの私達の話からしましょうか」
そう切り出して、かなねぇは自分達の内情を話し始める。
かなねぇの話しでは冒険者ギルドに所属する勇者は七人。その内訳は第三期の勇者で、Lv614の仙人であるレリックさんとLv601の魔人。その他は第四期の勇者でLv436で天人のかなねぇの他に、Lv397の天人、Lv450の鬼人、Lv405の龍人、Lv401の仙人の五人だそうだ。
また、かなねぇ以外の勇者は、六つの国の首都でギルドマスターをしているそうだが、その所持スキルに関しては本人の了承無しに話せないと言われた。まぁ、それは最もな話だと納得する。
「で、私のオリジナルスキルは【年齢詐称】。このスキルのお陰で私は永遠の17歳なのよ」
言いながら両頬に人差し指を当てるかなねぇ。百歳オーバーが何を言ってやがると思っていると、レリックさんが口を開く。
「私のオリジナルスキルは【無心】です。効果は精神力に大きなプラス補正を与える他に、あらゆる精神攻撃を無効にします」
またレリックさんにぴったりのスキルだな。もしかしてオリジナルスキルって取得者の本質に影響するのか?
オリジナルスキルの取得性質について考えてると、かやねぇとレリックさんの視線が次はお前の番だと突き刺さっているのに気付く。
俺は『ふぅ』っと短く息を吐いてから話し始めた。
「俺の事を話す前に俺のオリジナルスキル、能力などの情報は他言無用にしてもらいたい」
「それは当然よ。スキルの情報は戦う者にとって命綱だもの。この世界では他人のスキル情報をベラベラ喋る人は信用を失うわ」
「分かった、信用しよう。俺のレベルは98。オリジナルスキルは【スキルポイントアップ】。効果は……」
俺が【スキルポイントアップ】の説明を始めると、初めは好奇心に満ちていた二人の目が徐々に驚愕に変わっていき、レベルが10の倍数に達する毎に取得スキルポイントが上がると説明した頃には口まであんぐりと開けていた。
「それで……」
「ちょっ、ちょっと待って、まだ効果があるの?!」
驚きすぎて気が動転してるのか、かなねぇがどもりながら聞いてきたのでこくんと頷く。
【スキルポイントアップ】のパーティ効果については話すかどうか迷ったが、後々健一達とパーティを組んだ時に健一達の口からかなねぇに漏れると要らぬ軋轢を生みかねないので話しておく事にした。
「で、パーティ効果で、レベル10までのSPプラス効果をパーティメンバーに与える事が出来る」
「なっ! その様な効果まで……これは情報を漏らす訳にはいきませんね。勇者にとっては喉から手が出る程に欲しいパーティ効果です」
レリックさんの言葉にかなねぇも頷く。
「でも、そうするとひろちゃんの獲得したスキルポイントって……」
「ボスやユニークの討伐ボーナスを除いても21000強だね」
そう言ってやると、かなねぇとレリックさんが天を仰いだ。
「か~~! 料理スキルを最高位まで上げてるわけだわ」
「ですね、という事は他のスキルも……」
「あっ、言っとくけど、半分は進化系スキルで使ってるからそれ程でもないよ」
「「なにぃぃぃぃ!」」
俺の爆弾発言に背もたれに身を預け仰け反っていた二人が、瞬時に身を乗り出して迫って来る。
「ちょ、ちょちょちょちょっ……」
「カナねぇ落ち着いて」
どもりまくるかなねぇに、お茶として出していた紅茶の入ったカップを差し出す。かなねぇはカップを受け取るとガブガブと一気に飲み干し、また迫って来た。
「ちょっと、何よそのふざけた進化系スキルは!」
かなねぇ、興奮して唾を飛ばすのは止めてくれないかな。
顔に飛んで来た唾をお手拭きで拭いてから説明を始める。
「俺の進化系スキルは【超越者】。取得スキルポイントは1000で取得条件はスキルレベル10のスキルを100取得する事」
「それは……博貴殿以外取得は不可能ですね」
考える素振りを見せてから呟いたレリックさんの言葉に、疑問が浮かぶ。
「えっ、俺とパーティを組めば不可能ではないでしょう?」
俺とパーティを組めばレベルアップ毎に58のスキルポイントが入る。計算上はレベル0からパーティを組めばレベル230程で取得出来る筈だ。
そんな俺の反論に、レリックさんは無理な根拠を話し始めた。
「ああ、博貴殿は知らないのですね。人間種、人間はレベル200を過ぎると極端にレベルが上がり辛くなるのですよ。私達はこれを種の壁と呼んでいます」
種の壁……その辺のレベルが人間の限界ってところなのかな?
「計算すると、【超越者】を取得するにはレベル0から博貴殿とパーティを組んでもレベル220から230必要になります。しかし、人間種、人間でそのレベルに達するには、ひたすら戦い続けても百二十年はかかりますからねぇ」
「世知辛いね、経験値を稼ぎ続けても天井知らずに強くなる訳ではないんだ。でも、そうなると他の人種にも壁はあるんですか?」
「ええ、【限界突破】でレベル400。【臨界突破】でレベル500。【転生者】からの派生人種は1000と言われてます」
「成る程、【限界突破】と【臨界突破】が外れスキルと言われる筈だ」
レリックさんから解説を受けて、ボソッと前にアユムに言われたフレーズを口に出すと、それを聞きつけたかなねぇが疑問を投げかけてきた。
「ねぇ、ひろちゃん。さっきから気になってたんだけど、【超越者】の取得条件とか、【限界突破】や【臨界突破】が進化系では外れスキルなんて情報どっから仕入れてきてるの?」
「ん、サポートスキルだけど」
サラッと答える。別にバレても防ぎようの無いスキルだから、言っても問題ないだろう。
「サポートスキルってあの【ナビゲーター】ってやつ?」
「いや、その最上位の【共に歩む者】」
「……噂のパースンシリーズですか」
俺の言葉にレリックさんが反応する。
「パースンシリーズ?」
「ええ、スキルの最上位の物の中に『~者』というスキルが多数有るらしいのです。しかし、取得者がその取得方法や取得した事自体を極秘にする為、その種類や数は知られていません」
へぇ、四つ持ってるけど黙ってた方が良さそうだな。
黙ってると決めた以上、どの様に話をそらすか思案してるとかなねぇがその悩みを解消してくれた。
「そんな事より【超越者】の性能はどうなってるのよ。どうせ私達の人種の性能はサポートスキルで分かってるんでしょ。こっちが分からないのは不公平よ!」
俺がカナねぇ達の能力を分かるのはアユム達の手柄なんだから、それで教えないと不公平っていうのはちょっと横暴な気がするけど……まあ、話をそらすには好都合か。
「【超越者】の能力は……」
解説を始めると、かなねぇとレリックさんは再び口をあんぐりと開けた。
ーーーーーーーーーーーー
3話位の予定だったカナねぇ襲来編が7話目に突入してしまいました。
言葉選びが疲れる腹の探り合いが終わったのだけが救いです。
神尾優でした。
3
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