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第4章 超越者の門出編
第63話 出立……結局最後までこき使われた
しおりを挟む俺は今、何故か宿の厨房に立っている。
まぁ、理由は分かってるんだけど……
あの後、やはり恥ずかしくて俺に料理を出せないと言うおじさんに促され、厨房に放り込まれた俺は、渋々調理を始めた。おじさんとおばさんまで食堂で座って待っているのは解せないが……
ティアは二日酔いのくせに頭が痛いだけで胸焼けなどは無いと言う。どんだけ胃腸が強いんだ?
そう言えばこの村の人も飢餓状態で普通に肉を食ってたよな、普通はあんな状態になったら、離乳食みたいなのしか受け付けないんじゃなかったっけ?
全く、この世界の人の胃腸は恐ろしい。
まあ、それはさて置き……献立はどうしようか?
昨日宣言した通り、肉を焼く気は無い。しかし、食材は肉と葉物野菜ばかり。
大体、あそこのダンジョンで取れる食材は偏り過ぎなんだよなぁ。少しは魚介類を入れとけって言うんだ。
ダンジョンへの不平を垂れ流しながら、鍋でクレイジーホーンの肉と骨を煮込んでいく。
クレイジーホーンは牛型の魔物だけあって、本当にいい出汁が出てくれる。
出汁が出たところで骨を取り出し、未完成の醤油で味付け。本当は味噌の方が好きなんだけど、味噌はまだ開発中だから今日のところは諦めよう。
味が整ったところで今度は米を投入。蓋を閉めて暫し待つ。
二日酔いの奴にはおじやで充分。
そんな事を考えながら、食堂の方に目を向けるとーー
……人が増えてる。
あれ? おじさんとおばさんとティアだけだった筈だけど……
今、食堂には十人位の人が座っている。などと思ってるうちに、更に三人外から入って来て席に座る。
あれあれ? 何で皆さん食堂の席に座るの?
困惑してるとおばさんがこちらにやって来る。
「御免なさいね、皆食料が無いから匂いに釣られたみたいで……」
そういう事。昨日の炊き出しの続きという訳ですか……
俺は厨房の奥にあった大きな寸胴を取り出した。
⇒⇒⇒⇒⇒
「結局のんびり出来なかった……」
「ご苦労だったな命の恩人殿」
村人情報網で集まって来た村人全員分のおじやを作り上げ、やっと人がいなくなった食堂でぐったりとしていると、宿のおじさんが笑いながら近づいて来た。
「しかし、本当に命の恩人殿の料理はうまいな。ところで、あの料理に入ってた白い粒は一体何だったんだ?」
「これですよ。米って言います」
言いながら、初めて稲を見つけた時に取っていた稲の状態の物と、加工された米を見せる。
「これは……たしか、森の沼地に生えてたな」
なんと、この世界では稲が自生してるのか。確かにダンジョン内でも勝手に生えてて、収穫しても直ぐに再生してたけど……まさか、この世界の全ての稲がそういう植物って事は無いよな?
「これにスキルの【収穫】を使えば米になるんですけど……」
「この村の人間の半分は農家だ【収穫】も使える奴は結構いる。よし! 善は急げだ」
言うや否やおじさんは宿から出て行った。
行動力のある人だ。だけど調理法はいいんだろうか?
米を手に入れた後のおじさんに一抹の不安を覚えたが、まあ、米料理を一度は食べているのだから何とかするだろう。多分……
「ティア、じゃあ行こうか」
「ん、行く」
村人に挨拶しても感謝されて最悪引き止められるのが関の山。どうせこの村には元々一泊の予定だったし、俺達はこっそり村を出る事に決めていた。
結構良い人がいっぱい居た村だったけど、そういう人達との別れも旅ってものだ。
こうして俺達はこっそりデルク村を後にした。
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すいません。今回すっごい短いです。
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