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第4章 超越者の門出編
第64話 何事も無い移動……暇です
しおりを挟む「それで次の町まではどれ位かかるんだ」
[徒歩では歩き続けて二日程です]
デルク村を出て半日。徒歩で二日という事はスーパーな走りで行けば一時間で行ける距離なのだが、街道でそんな移動をしていて他人に見られたら厄介だ。という事で、普通に歩いて移動している。
まあ、半日歩いてまだ一度も人とすれ違っていないのだが……
〈でもよかったんですか? 村の人達に挨拶もしないで村を出て〉
トモの問いに、苦笑いを浮かべる。
「別にいいだろ。挨拶をしてもどうせ感謝の言葉を長々と聴かされるだけだろうから」
《マスター、照れ屋だから》
「誰が照れ屋だ。面倒くさいだけだよ」
《あはは~ツンデレだねぇ》
「ツンデレって……ちょっと待て、その知識はどっから来てる?」
ツンデレなんて単語この世界にあるとは思えない。あるとすれば俺の記憶の中なのだが……
《あはは……は、は、何処だったかな?》
「おい、何だその反応は! まさか、お前ら俺の記憶を見れるのか!?」
[はい。私達はマスターの意識にアクセスする事が可能です。しかし、基本的にマスターの許可がない限り行いません]
俺の質問に対し、即座にその可能性を認めるアユム。
「ほっほう、つまり裏を返せば許可しなくてもアクセスは可能なんだな」
[はい……あっ! ニア、何処へ行こうとしてるのですか! すいませんマスター。ニアには私からキツく言っておきますので……待ちなさいニア!]
何やら怒った声を徐々にフェードアウトさせていくアユム。
ホント、この念話の向こう側ってどうなってるんだろ?
「ワイバーンの肉を焼いてた時に、俺の心の呟きに突っ込みを入れてたけど、あの時に意識にアクセスしてたんだな」
〈すみませんマスター。アクセス権の管理はしっかりやっておきますので〉
「はぁ……頼むよホント」
ため息を吐き、精神的に疲れてしまって項垂れていると、誰かがローブを掴んでえっちらほっちら背中をよじ登ってくる。まぁ、誰かってここには俺以外一人しかいないけど……
「ティア、何を……」
俺が言い終わる前にティアは肩車のポジションに収まり、上半身を俺の頭頂部に預けてスピーと小さな寝息を立て始めた。
をい! ……俺の肩と頭をベットがわりに使うんじゃない!
次の町に着いたら馬車でも買おうかと悩みながら、俺は誰も通らない街道を歩き続けた。
⇒⇒⇒⇒⇒
街道の脇で夜営を行い、二日目。
デルク村を出てから人は勿論、魔物やモンスターにすら出会わない。
よくよく考えれば、初めてスライムを倒したあの日から、丸一日戦わない日なんて無かった。平和で大変よろしい筈なのだがーー
「……暇だ。何で誰も通らない? そして、何故モンスターや魔物が出てこない」
[デルク村は森の管理の為に作られた村で、村からの街道も今歩いている街道以外、他の町に繋がる街道が無い為、一般の方はまず使用しないのでしょう。それと、街道はモンスターの生息域を極力外して敷きますので、突然産まれた魔物やはぐれたモンスターでもいない限り、滅多に遭遇する事はありません]
「殆ど使わないって……何でそんな所に街道を敷いたんだ?」
[城から勇者を迎えに行く為、でしょうか]
「百年に一回しか使わないのに街道を敷くなんて、なんか勿体無いな」
[それだけ国は勇者を重要視しているのでしょう]
「ははっ、どんな目的で重要視してんだろうね」
[今は目立った魔物の脅威がありませんので、主に政治的、軍事的に重要視してると思われます]
俺の推測が正しければ、神はここの人間を殺す為に勇者を召喚している。そんな自分達を殺す為に召喚された者達を自身の利益の為に利用するなんて、俺には滑稽に見えるのだが、それも知らないから出来る事なのか? それとも知っていても利用する程この世界の人間は強欲なのだろうか?
まぁ、元の世界にもそのレベルの強欲共はわんさかいただろうけど、ただの学生だった俺達とは接点が無い存在だった。しかし、この世界では違う。勇者という肩書きがそんな強欲共を引き寄せる事になるだろう。だとすると、そういった連中と縁を切るにはーー
カナねぇが死を偽装したのは、そういう事なんだろうな……
ってことは健一達との合流はその様な偽装をしないと、一つの国を敵に回すというおまけが付いてくるって事だ……
「ああ、面倒臭い!」
「んっ?」
[何がですかマスター]
思わず口を衝いて出た愚痴に、ティアとアユムが反応する。
「いや、何でも無いよ」
この件は後でアユム辺りと相談しようと思い至り、この場は納めて歩き続けた。
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ばたばたしてて遅れましたが、お気に入りが600を超えました。入れて下さった方々有難うございます。
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