スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ～今度から新たに出来た仲間と頑張ります～

４３話・戦闘

　魔剣から、黒い何かが伸びてきて切り口に繋がった。しかも、それだけでなく徐々にユーベルの体を覆うように、黒い何かは、広がっていく。

「何か、ヤバそうだな…　殺るか…」

　俺は、再びユーベルの後ろに回り込み、今度は腕ではなく、首をはねようと、一閃するが、

　バキンッ

　首に触れた俺の剣が、先に折れてしまった。

「チッ」

　アイテムボックスから、別の剣を取り出そうとする前に、ユーベルの背中から黒いとげが飛び出してきた。
　俺は、反射的に、後ろに下がる。

「完全に、人間をやめたな…」

　黒い何かは、既に全身を覆っていた。しかも、それだけでなくもとの体格よりふた回りほど大きくなっており見た目は、黒い化け物だ。

「グルゥゥア！！」

　どうやら、言葉まで失ったようだ…
　化け物は、俺に迫りながら、魔剣を振り下ろしてくる。スピードは、完全に上がっているが対応出来ない程ではない。まぁ、躱す必要もないけどね。
　振り下ろされた魔剣は、俺に触れる前に止まってしまう。

「グルゥ？」

　あの時の再現のように、魔剣を手で払いながら、顔面…　は、届かないので、目の前の胸部を殴り付ける。
　化け物は、転がりながらも森まですっ飛んでいった。

「さて、これで終わればいいんだけど…」

　化け物は、ゆっくりとした動作ではあるが、立ち上がろうとしていた。

「マオに、対処法でも聞いとけば良かったな…」

　少し後悔しながらも、

「まぁ、あの剣を壊してみればいいか…」

　俺は、アイテムボックスから剣を取り出す。

「でも、あの魔剣硬そうだな…　はぁ…　しかたないか…」

　武具覚醒の覚醒数を増やす。

「眠れる力ソーン・武具覚醒…　切れ味強化、耐久力強化」

　俺は、化け物に迫る。
　既に立ち上がっている化け物は、迫ってくる俺に対し、魔剣を振り下ろしてくるので、俺はそれに合わせて、剣を降る。

　バキンッ

　俺の剣だけが折れる。

「足りないか…」

　折れた剣をすぐに手離し、次の剣をアイテムボックスから取り出しながら、武具覚醒を行う。

「眠れる力ソーン・武具覚醒…　切れ味強化、耐久力強化、耐久力強化」

　耐久力を更に上げてから、俺から攻撃する。
　今度は剣が、折れる事はなかったが、ヒビが入ってしまい、魔剣の破壊までには至らなかった。

「まだ、足りないか…」

　俺は、１度距離をとる為に、化け物を蹴り飛ばす。
　化け物は、木々をなぎ倒しながら飛んでいく。飛んでいく、化け物を目で追いながら、壊れかけの剣を捨て、次の剣を取り出す。

「眠れる力ソーン・武具覚醒…　切れ味強化、耐久力強化、耐久力強化、耐久力強化」

　更に耐久力を上げてみるが、

　パリーン
　
　武具覚醒の付加に耐えられなかったのか、剣はすぐに壊れてしまった。