スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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閑話・マレン(過去編) 20

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 ルナさんが考えた案とは、私の能力下にある虫さんを街に無数に放ち、情報を集めて、その情報を売ると言うものだった。
 確かに、その案を考えなかった訳ではないけど、やはり勝手に覗く事に抵抗がある。その旨をルナさんに伝えた所、なぜかと理由を聞かれたので、父親の件を話した。

「なるほどね… まぁ、でもそれなら、尚更やった方がいいと思うよ」

「何故ですか?」

 理由を尋ねると、何でも私の抱いている感情は、トラウマとやらに近いのものではないかとの事で、それを克服する為に、使うべきだと言われた。
 ルナさんが、そこまで私の事を考えてくれているのかと、少しウルっときたのだが、

「それに、情報によっては、高く買い取って貰える可能性があり、それで、美味しい物をたくさん食べられるよ、マレン!!」

 その言葉で、涙も引っ込んでしまった。

「ルナさん… それって、絶対後者の理由の方が本命ですよね…」

「ま… まぁ、違うとは言わないわね」

 そこまで、きっぱり言われると文句を言う気も起きず、それどころか笑いしか出てこなかった。

「…分かりました。そこまで言われるのなら、やってみたいと思います」

「そうこなくてわね。なら、早速マレンの能力を試してみようか!!」

 ルナさんが、珍しく本やご飯以外に、やる気をみせる。この時のルナさんは、かなり頑固になる。まぁでも、能力を試す事には賛成だ。

「だけどルナさん。能力を試すのはいいんですけど、能力を使う相手がいませんよ?」

「それなら、大丈夫よ」

 ニヤリとルナさんが笑うと、足下に魔法陣が浮かび上がり、数匹の小さな蜘蛛が現れた。

「1匹だけではなかったんですね…」

 私は、自分の影を見ながら、そう呟く。

「まぁね。召喚時に、魔力を使うけど、数の制限はないわね。しかも、このこの子たちは、アサシンスパイダーと言って、隠密に優れた蜘蛛だから、今回やる事にぴったりだと思うよ」

「そ… そうですね」

 改めて、ルナさんの凄さを感じながら、私は自分の能力を試していった。
 数日試した結果、たぶん私の能力も制限なく使える事が分かった。ただ、使えるのはいいのだが、記憶を遡る際、何度も使うとかなり疲れる事が分かった。しかも、何故か私の能力は、ルナさんにも使う事が出来てしまった。ルナさん的に大丈夫なのかと尋ねると、どこにいても話が出来るから便利とだけ返ってきたので、そのままにしてある。
 能力を試す事も終わったので、今日1日休んでから、明日から旅に出る事になった。





 旅に出てから、近くの町や村だけでなく、色々な国も見回り、ルナさんの召喚した数多くの蜘蛛を放ち、私は自分の街に戻り、情報屋を開いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より(捕捉)

・ マレンの母親は生きてますが、マレンとルナは情報屋で、寝泊まりしてます。

・ ルナの召喚は、同族召喚というスキルで、MPを消費し様々な蜘蛛型モンスターを召喚する事が出来ます。召喚された蜘蛛は、死ぬか召喚者が消すかしない限りいつづけます。
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