スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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閑話・ラスの過去 13

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 私たちは、連携をとりながら、全力の一撃を放つ。
 ドルフの一撃は、みえない何かに止められてしまうが、僅かにずらして放った私の一撃で、そのみえない何かを叩き割り、勢いを殺されながらも人族に振り下ろす。
 人族は、それを躱そうとするが、ドルフが躱す方に体を割り込ませてくれたので、上手く躱せずに片腕を斬り落とせた。
 そのまま、私たちは続けて攻撃を繰り出そうとするが、爆炎が襲ってきて吹き飛ばされてしまう。

「大丈夫か、ドルフ?」

 吹き飛ばされた先で、体を起こしながら尋ねる。

「当たり前よ」

「そうか…」

 ドルフはあぁ言ってはいるが、たぶん私と同じで、かなり疲労しているだろう。
 だけど、相手も片腕を失ったのでこのままいけばいけるかと思って矢先、目の端に、ラスの姿をとらえた。





 お父さんが心配になり走り出した私は、何度か転げながらも、大きな音のする近くへとやって来た。
 そして壊れかけている家の間から、傷だらけのお父さんとドルフさんを見つけた。
 私は考えもなくすぐに手当てをしないとと、お父さんたちの方へ駆け出した。
 お父さんも私に気づいたようで、驚いた顔をしながら、

「来るな!!」

「!?」

 突然怒鳴られた事で、足が止まってしまう。
 すると、お父さんとドルフさんが私の方へと駆け出してきたので、怒られると目をギュッと閉じてしまう。

「カイマス!!」

 ドルフさんの大きな声で目を開けると、私の前にお父さんが立っていた。
 しかも、その胸からは、燃え盛る何かがはえていた。





 急いでラスを追ってきたと思ったが、少し遅かった…
 私は、すぐにカイマスに駆け寄り、

「いっ…」

 胸を貫いてある火槍を掴み、引き抜きながら状態を確認すると、涙で顔を濡らしながら、ラスも近寄って来て、一緒に体を支えてくれる。
 カイマスの胸の傷は、穴は小さいながらも貫通している。ただ、幸いと言う訳ではないが、傷痕が焼けており、血は出ていなかった。

「時間を稼ぐから、逃げろ」

 ドルフは、そう言いながら、カイマスを貫いた火槍を放ったであろう人族に攻撃を仕掛けてくれる。
 私は言われた通り、カイマスに肩を貸しながら、ラスに先に逃げるように伝える。
 だけどラスは、泣きじゃくり私たちから離れようとしなかった。





 何故ここにいるのか分からないが、3人が逃げる時間を稼ぐ為、俺は人族へとむかって行く。
 だけど人族は、どこからか取り出した瓶をあおると同時に、腕の出血が止まっているように見え、傷口を押さえていた手を俺にむけ、魔法を放ってきた。躱そうと思えば、躱せたのだが、これを躱すと、後ろにいる3人に当たってしまう可能性があったので、咄嗟に腕を交差させその衝撃に備えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

 人族の求めている素材は、鬼人の角です。
 また、子どもに比べ、大人の角の方が良い素材なので、腕を斬り落とされた怒りもあって、突然現れたラスを殺す気で魔法を放ってます。
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