スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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63話・甘ったれた考え

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 気づけば、緊張で少し硬かった体もほぐれているように感じた。

「それじゃあ、もう少し頑張って、フィア婆様にラスの実力をみせてやれ」

 セウンさんはそう言いながら、笑いかけてくれた。

「はい、頑張ります!!」

 私がそう答えると、セウンさんは満足そうに戻っていく。
 私は、もう一度深呼吸し息を整え、

 バシンッ

 と自分の頬を張り、気合いを入れ直す。

「それじゃあ、再開!!」

 止めていた模擬戦が再開される。
 再開されるも、フィアンマさんは、私の様子を伺うだけでなく、何かをしてくる様子はない為、私も、先程みたいに突っ込んでいく事なくどうするか考える。
 息を整えたとはいえ、体力までが戻った訳ではない為、考えて動かないとすぐにばててしまい、模擬戦がそこまでになってしまう。

「どうしたんだいラス、さっきみたいに突っ込んでこないのかい?」

 動き出さない私にしびれをきらしたのか、フィアンマさんが声をかけてくる。

「さっきみたいに突っ込んでも勝てる気がしないので、作戦をたててただけですよ」

「そうかい。それで、いい作戦は決まったのかい?」

「…まだですね」

「ふふ、そうかい。でも、私も待っているのも飽きてきたから、今度は私から行かせて貰うよ」

 フィアンマさんがそう言ったかと思うと、突っ込んできて攻撃を仕掛けてきた。
 手加減をしてくれていると思うから、何とか対処できているが、それでも私からしたら結構ギリギリだったりする。
 フィアンマさんの攻撃の手が緩んだ所で、後ろへ下がり距離をとる。距離をつめて来ない所を見ると、手を緩めたのもわざとだと思う。

「どうだい、ラス。いい作戦とやらは浮かんだかい?」

 後ろに下がりきった所で、フィアンマさんが声をかけてくる。

「…まだです」

 あんなやり取りをしていのに考えられる訳ないじゃないと少しムッとしながらそう答える。

「不満そうな顔をしてるね」

「うっ…」

 私は、図星をつかれ、言い返す言葉もなかった。

「でもよく考えてみな、ラス。実戦だと更に魔法やスキルなんかを使って今以上に激しいやりあいをしないといけない。そして、そのやりあいの中で相手を倒す算段を考えないといけないんだよ」

「!?」

 私は、一瞬で不満に思っていた気持ちが消えさり、何甘ったれた考えをしていたんだろうと、自分で自分を殴りたくなる気持ちにかられる。
 フィアンマさんの言う通り、そんな事は、前世の空手の試合でもやっていた事だった。

「理解できているようだね。でも、後悔は後でしな。今は、この模擬戦でやれる事をやってあんたの実力をみせてみな」

 そう言った後、再びフィアンマさんはまっすぐむかってきた。
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