スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ～今度から新たに出来た仲間と頑張ります～

９４話・興味

　茨は、私の指差す方を見て、

「あ！！　星と金も睨んじゃってごめんね…」

　すぐ２人に謝った。

「いえ、姐あねさんが謝る必要はありません！！　な、金！！」

「は…　はい！！　俺たちが、疲れたのが悪いんです！！」

　ビシッと直立不動の体勢のまま、２人はそう答える。

「ありがとう、２人とも。でも、長めに休むように提案したのは私なんだし、それで２人を睨んだんだから、やっぱり私が悪いんだよ。だから、ごめんね。許してくれる？」

　茨は、自分が悪かった事をしっかり認め、頭を下げる。

「全然気にしていませんから、頭をあげて下さい！！」

「俺も、全然気にしていません！！」

「そっか、ありがとう２人とも！！」

「ちゃんと、謝れましたね。偉いですよ、茨」

「えへへ…」

　褒められて喜ぶ茨。
　今では、熊や虎だけでなく、星や金の面倒を見る事によって、随分と性格が丸くなり、見た目が鬼人としては小柄な茨のその喜ぶ姿は、愛らしいと思うが、初めて会った時は、かなり違っていた。
　茨が初めて鬼神化を発動し、ここへ呼んだ時には、かなり粗暴な性格で、顔を合わせた瞬間に殴りかかってきたくらいだ。まぁその時は、軽くボコボコにしてから、呼んだ理由を説明させて貰ったけどね。

「そうだ、お師匠様！！　この子の名前はなんて言うの？」

　そんな昔の事を懐かしく思っていたら、喜んでいた茨が、そう尋ねてきた。

「そう言えば、言っていませんでしたね。彼女の名前は、ラスと言うそうですよ」

「ラスだね、分かった！！　それで、お師匠様から視たラスの強さはどんな感じなんですか？」

「そうですね…　ラス君は少し特殊な人生を歩んできたようで、私や茨たちとは根本的な部分が少し違うようなんですよね…」

「特殊な人生ですか？　それは…　「あ、先に言っておきますが、それは内緒です。後それと、ここに来た際に、無理に聞くのも駄目ですよ」　…はい、分かりました」

「それで、ラス君の強さでしたね。ラス君の強さは、今現在で言えば、ここに初めて来た時の誰よりも、弱いですね」

「そうなんですね…」

　ラス君が弱いと聞き、少し落ち込んだのかと思ったが、

「でも、今現在何ですよね？」

　全く落ち込んだ様子もなく、それどころか目を輝かせていた。

「はい、そうです。どうも、かなり特殊なスキルを持っているようですし、初めて使うからか、まだ全然使いこなせてはいませんが、それでも既に神通力じんつうりきを４種類も使えますからね」

「４つも！！」　「「「「！？」」」」

　それには、茨だけでなく、後ろで聞いていた４人も驚愕の顔を浮かべていた。