スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

文字の大きさ
395 / 453

73話・上がる威力

しおりを挟む
 剣を構えたまま、こちらを睨み付けている継ぎはぎに話しかけてみる。

「ねぇ、貴方。話は出来るかしら?」

「「・・・」」

「話さないわね…」

「みたいじゃな」

「やっぱり、あの光魔法がダメだったのかな?」

「どうじゃろな。お、そろそろ来るみたいじゃぞ」

 継ぎはぎは、鉄棍を構えながら私たちの方へと向かってきた。

「マオは援護をお願い」

「了解じゃ」

 私たちは、別々の方向へと距離をとるが、継ぎはぎは、マオに目もくれず、私の元へと一直線に向かってきた。
 私は立ち止まり、それを迎え撃つ。
 勢い良く振り下ろされた鉄棍を先程と同じように受け流そうとしたのだが、

「!?」

 攻撃が先程より強く重くなっていたので、受けきれずにそのまま吹っ飛ばされてしまう。
 すぐ体勢を立て直そうとするが、既に目の前に継ぎはぎが迫ってきており、再び鉄棍を振りかぶっていた。
 躱すには少し遅く、鉄棍を受けようするが、

 ドスドスドスッ

 とマオの射った矢が継ぎはぎに突き刺さった。
 そのお陰で、継ぎはぎの動きが僅かに鈍ったので、その間に鉄棍を受けずに、ギリギリの所で躱し、体勢を立て直す。

「助かったわ、マオ」

「別にいいのじゃ。それより次来るみたいじゃぞ!!」

「分かってるわ!!」

 継ぎはぎは、マオの射る矢を再度受けながらも、私に鉄棍を振ってきた。
 今度は、威力が高い事は把握済みなので、そのつもりで対処に当たる。
 数合打ち合うが、打ち合う度に得物が打ち合う音以外の音が耳に届く。
 更には、顔に飛沫まで飛んでくる。

「シエル避けるのじゃ!!」

 マオからの掛け声と共に、鉄棍を受け流してから蹴りを入れ継ぎはぎの体勢を崩してから距離をとる。

「ファイアーストーム!!」

 距離をとった瞬間、炎の竜巻が継ぎはぎを襲う。
 それを横目にマオの元に向かう。

「大丈夫かの、シエル?」

「怪我はないけど、継ぎはぎの鉄棍の威力が強くて、両手が痺れているわね」

 痺れた手を交互に振りながら答える。

「ん? でも、顔に血がついておるぞ? その血はシエルの血ではないのか?」

「あぁこれ。この血は継ぎはぎの血だよ。あいつ、自分の腕の筋肉が痛もうが骨が折れようが関係なく鉄棍を振ってたからそれが顔まで飛んできたの」

「そうなんじゃな。なら、所々に聞こえていた鈍い音は、やはり骨が折れる音じゃったんじゃな」

「そうね。たぶん、上がった力に耐えれなかったから、あんな事になったんだと思うわ」

「なる程のう。ん、どうやらあれから抜け出すみたいじゃぞ」

 視線を炎の竜巻に向ける。
しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。 俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。 そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。 こんな女とは婚約解消だ。 この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...