スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ～今度から新たに出来た仲間と頑張ります～

１話・プロローグ 1

　カタカタカタ

　薄暗いオフィスの中、俺は期限の迫ったというか、明日使う予定の資料を作成する。

「はぁ…　やっと終わった…」

　数十分後、何とか資料を作り終えた。
　目や肩をほぐし、残っていた缶コーヒーを飲み干す。

「コピーはもう明日でいいか…」

　時間ももう遅い為、手早く帰る準備を終わらせてから帰宅する。
　帰ってくると、途中コンビニに寄って買ったパンで夕食を済ませ、シャワーを浴びてからすぐ眠りにつく。


◆


　ピピピピピッ

「ん…　もう朝か…」

　全然疲れはとれていないが、会議までにやる事をしないといけないので、無理やり体を起こし顔を洗いに洗面台へと向かう。
　やる事を終わらせてからスーツに着替え、昨日パンと一緒に買った栄養補助ゼリーを吸いながら出勤する。
　出勤後は、昨日出来ていなかったコピー等を終わらせてからそれを閉じてから会議室に並べておく。

「ふぅ…　間に合った…」

　何とか会議前に準備出来た。

「ふぁ…」

　気が抜けたのか、大きな欠伸が出る。
　会議中にこんな事をしたらあいつに何言われるか分からないから、自販機で缶コーヒーを買ってから、眠気を覚ましておく。


◆


　会議は順調に進んでいくが、今のところ俺の作った資料は未だ使われていない。
　そして、結局俺の作った資料を使われる事なく会議が終了した。
　俺は、会議室から出て行こうとする部長を呼び止める。

「ん？　チッ…　何だお前か」

　部長は、振り返ると同時に呼び止めたのが俺だと気付き顔を歪める。

「あの、今お時間宜しいですか？」

「チッ…　何かようか？」

「はい」

「チッ…　手短に済ませろよ」

「分かりました。それで…」

　俺は、自分が作った資料を使われていない事を伝える。

「資料？　あぁ、この全然纏まっていないゴミみたいなこれの事か？」

　部長は、俺の作った資料で軽く俺の頬を叩はたきながら聞いてくる。

「…はい。そうです」

「はぁ…　どうしてこれを使わなかったかお前は分かるか？」

「…いえ、分かりません」

「チッ…　お前本当バカだな。さっきも言ったろ？　こんな纏まっていないゴミみたいなもんを使えるわけねぇだろ！！」

　部長は、手に持っていた資料を俺に向けて投げてくる。

「これで用件は終わったな？」

「…はい」

「あ、床に散らばったゴミは片しておけよ」

　俺の返事も聞かず、部長は床に散らばった資料を踏みながら会議室を出ていった。

「クソ…」

　俺は床に散らばった資料を１枚１枚拾い片付ける。


◆


　いつもの業務を終わらせ、帰りの支度をしている所でメールが届いた。
　開いてみると、部長からのメールだった。

「はぁ…　またか…」

　どうせ新しい仕事のメールだろうと思い開いてみると案の定新しい仕事のメールだった。
　今日はもうやる気が起きなかったので、メールを閉じそのまま家への帰路につく。