スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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128話・決着

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 私は両手の親指をカリッと噛む。
 すると、噛んだ箇所から血が出だしたので、その指を頬や腕に擦り付ける。
 ある程度、擦り付けた所で構えをとる。
 赤染肌せきせんきが発動したようで、奥底から力が沸き上がってくる。
 それと同時に、回復速度も上がったので先程自分で噛み切った箇所も徐々に回復する。

「…それが例のあれなのか?」

「どれの事を言っているのか知らないけど、これが私の異名の元になったスキルよ」

「そうか」

 フィオーリは、ニヤリと笑った後、すぐ顔を引き締める。

「じゃあ、そろそろ始めようか。あ、先に言っておくけどさっきと同じように、今度も真正面から腹を殴るよ」

 先程同様に殴る位置を事前に教えておく。

「あぁ、こい」

 フィオーリは、今度は油断する事なく完全に治った腕で、私を迎え撃つように構える。

「なら、いくよ」

 私は言い終わると同時に、先程の踏み込みとは比べにならない程の速度でフィオーリの懐に潜り込む。
 そして、いまだ私の速度についてこれず、動いていないフィオーリの無防備な腹目掛けて拳を振るう。

 ドパンッ!!

「ぐふっ!!」

 威力の上がった私の拳は、フィオーリの腹をそのまま突き破る。

「…流石、伝説の鬼人の1人だな。簡単に俺の強化した体を貫くとはな。だが俺もこのまま1発も食らわせずにやられてたまるかよ!!」

 フィオーリは、両拳を合わせそれを勢いよく振り下ろしてくる。
 腕を抜き、一応それを避けようとしたのだが、

「ん?」

 どうやらフィオーリが腹の筋肉に力を込め、私の腕を引き抜けないようにしたらしく、

 ドンッ!!

 その一瞬の隙をつかれ、フィオーリの一撃を食らってしまう。

「ど… どんなもんだ」

「いい一撃だったよ」

「…俺の全力の一撃すら効いてねぇじゃねぇか」

「そんな事ないよ。咄嗟に力を込めて防いだだけよ!!」

 空いてある腕で、振り下ろされたままのフィオーリの腕を下から掬い上げるように弾き飛ばし、筋肉で止められていた腕に力を込め一気に引き抜く。

「ごほっ!!」

 体がフィオーリの血で真っ赤に染まり、更に力が沸き上がる。

「どうやらここまでのようだな。いい闘いだったぜ」

 自分の死を悟ったフィオーリは、最期に笑みを浮かべる。

「じゃあね」

 拳を握りしめ、力を込める。
 そして、大層な技術などないただただ力のみの暴力。その拳をフィオーリに向けて今の全力で殴り付ける。

 パンッ!!

 その一撃がフィオーリの上半身を消し飛ばす。
 下半身のみのフィオーリは、そのまま後ろに倒れ、決着がついた。

「私も少しは楽しめたよ、フィオーリ」

 そう言い残し、くるりと振り返って、ラスの元へと歩き出す。
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