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269話・お願いの回答

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 友達が少ないか…
 確か、シャーロットも自分の身分のせいで、交友関係の構築に苦労していたと聞いた事があるから、エルマーナさんも、同じ理由だろうと予想出来た。
 それに、エルマーナさんは、呪詛に犯されていたりもしたので、更に作る暇がなかったのだろう。

「えぇ、そうよ。それで、どうかな?」

 真剣な表情のまま、グラディウスさんが聞いてくる。
 僕は、それに、すぐに答えずに、チラッと横を見てみると、不安げな顔のエルマーナさんと目があってしまい、2人して視線をそらす。
 そして僕は、視線を前に戻し、グラディウスさんのお願いに対し、

「すみません、グラディウスさん。」

 僕は、そう答えた。
 一瞬目を見開いたグラディウスさんは、すぐ元の顔に戻り、

「そう… ノーリ君がそう決めたのなら、もうなにも言えないけど、一応、理由だけ聞かせてくれないかな?」

 もう一度、横のエルマーナさんを見た後、僕がそう答えた理由を話し出す。

「はい、大丈夫です。僕がグラディウスさんのお願いを断った理由は、気持ちの問題だからです。」

「気持ちの問題? どういう事なの?」

「僕みたいな、ただの平民が、王女様であるエルマーナさんと友達になるなんて、恐れ多い… 「そんな事ありません!!」」

 ですと、言う前に、横から力強く否定的な声がかかる。

「だって、ノーリさんは…」

 エルマーナさんは、泣きそうな声色でそこまで言って、口をつぐんだ。
 何を言いたかったのかは分からないが、グラディウスさんのお願いを断った事に対し少し心が痛む。
 だけど、まだ僕が断った理由はまだ終わっていない為、エルマーナさんを安心させる理由も追加して、言葉を続ける。

「ですが、僕個人としては、エルマーナさんと仲良くしたいと思っています。」

「「え?」」

 グラディウスさんとエルマーナさんの声が重なる。

「なら、どうして私のお願いを断ったの?」

 不思議そうにグラディウスさんが問いかけてきたので、それに答える。

「それは、先程言った通り、気持ちの問題です。」

「「?」」

 今度は、2人して首を傾げる。

「僕は、本心からエルマーナさんと仲良くなりたいと思ってます。だけど、グラディウスさんからのお願いで、エルマーナさんと友達になってしまうと、お願いを断れずに友達になってくれたとエルマーナさんに思ってほしくなかったからです。」

 そう言ってから、僕は、エルマーナさんの方へと体をむける。

「だから、エルマーナさん。僕と友達になってくれないかな?」

 誰かからのお願いなんかじゃない、僕の本心からの気持ちを伝える。
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