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閑話・決めた合言葉

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 リリーの話を聞き、リリーじゃなくても、少し考えれば分かる内容に、当時の私の行動に呆れる。

「はぁ… 話は分かったわ。」

「それは、よかったです。では、合言葉は、今言ったもので宜しいでしょうか?」

 リリーは、何食わぬ顔で、問題ないかと聞いてくる。

「言い分けないでしょ!!」

 少し声を荒げてその案を却下する。

「もう、どうせさっきしたデコピンの腹いせなんでしょ。謝るから、別の合言葉にしましょ。」

 軽く頭を下げる。

「なんの事かは分かりませんが、グラディウス様が謝る必要はございません。それより、グラディウス様が、お気になられないようでしたら、別の合言葉にしましょうか。」

「はぁ、もういいわ。なら、シンプルに、私が『森』と言うから、リリーは、『エルフ』と答えてちょうだい。」

「かしこまりました。では、レジーナ様をお呼びしてきます。」

「えぇ、お願い。」

 リリーを見送ってから鍵を閉め、部屋の中に常備してある椅子に腰掛け、リリーが帰ってくるのを待つ。
 少しして、扉がノックされ、

「リリーです。レジーナ様をお連れしました。」

 声をかけてくる。

「合言葉を、『森』」

 椅子から立ち上がり扉の近くに移動し、決めた合言葉を尋ねる。

「『エルフ』です。」

 決めていた合言葉が返ってきた為、鍵を開け外を確認すると、リリーとお母さんがいた。

「さ、中へ入って。」

 中へと招き入れる。

「私は、お飲み物の準備をさせて頂きます。」

 リリーはそう言って退室していったので、お母さんには先に椅子に座って貰い、一応鍵をかけておく。
 私も椅子に座った所で、お母さんから話しかけられる。

「おかえりなさい、グラディウス。元気そうで良かったわ。」

「お母さんこそ、元気そうね。」

「えぇ、元気よ。それで、リリーから話は聞いたけど、今一度貴方の口から聞かせてちょうだい。フーリッシュの件に関して、貴方は全く関係ないのよね?」

 またその話かと思ったが、お母さんの目からは、冗談で聞いている雰囲気ではなかった為、

「その件について、私は全く関係ないわ。逆に、帰ってきた所で、そんな事が起こっていた事に驚いたんだから。」

 再度、自分の口から無関係である事を伝える。

「…嘘ではないようね。ふぅ、良かったわ。」

 私から直接関係ないと聞けたからか、お母さんは、安心したのか、先程まであったピリピリとした感じがきえた。

「てか、お母さん。言った事を信じてくれるのは有り難いけど、そもそも娘の事を疑わないでよ。」

 少し呆れぎみに、お母さんにそう言ってしまう。
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