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閑話・フーリッシュ 4

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 呪詛対策の為に、常に魔道具《腕輪型》を身に付け出してから、早数日が経過した。
 だが、魔道具が反応した様子がない事から、私がかけた呪詛はまだしっかりと継続していると判断出来る。
 ニヤリと口角を上げながら、私のかけた呪詛は完璧であると自画自賛する。

「さて、それでこの数日で分かった事は、本当に、この国の中にはいなかったという事と、どうやら教育係である王妃の姉の姿も消えているというか… 居場所くらい知っておきたかったが、外だと見つかる可能性は低いか…」

 念の為に、見つけ出しておきたかったが、外でのつてが殆どない為、諦める事にした。




 いつものように寝る前に、お酒を嗜みながら、あいつの顔を思い出す。

「くくく… あの顔を見る限り、大分呪詛が進行しているみたいだな」

 娘が呪詛に侵されている事は隠しているようで、何も知らない振りをしながら、それとなく娘の事について聞いてみる。
 すると、何でもない風を装ってはいるが、呪詛に侵されている事を知っている私から見れば、不安や怒りを全然隠しきれていなかった。
 初めてやった呪詛の経過を見れないのは残念だが、この顔を見れるだけで満足しておく事にする。

「ん、もうないのか…」

 近くに置いてあったベルを鳴らし、追加の酒とツマミを持ってくるよう伝え、持ってきた酒を追加で飲んでいく。

「ふぁ… さて、そろそろ休もうかね…」

 再び、ベルを鳴らし、片付けるよう伝え立ち上がった所で、

「おっと…」

 視界がぼやけ、足元がふらついてしまい、勢い良く座ってた椅子に腰かけてしまう。

「大丈夫ですか、フーリッシュ様?」

「あぁ… 大丈夫だ…」

 ついつい、いつもよりも早いペースで、量も飲んだ事で、酔ってしまったようだ。

「左様ですか。では寝所までお連れしますので、どうぞ、私の肩にお捕まり下さい。」

「あぁ、分かっ… 痛っ…」

 手を伸ばそうとした所で、ズキッと痛みが走る。

「どうされました!?」

 痛みが走った手首を見てみると、少し赤くなっていた。

「フーリッシュ様?」

「いや… さっきふらついて座った時に、少し腕を打っただけみたいだ…」

「治療士をお呼びになりますか?」

「いや、いい… それより肩を」

「かしこまりました。」

 今度こそ執事の肩を借り、ベッドに腰かけた後横になる。

「では、失礼します。」

 片付けを済ませた執事が退室するのを朧気に見ながら、眠りについた。





「ぁ!!」

 突然の痛みで目を覚ます。

「ぁ… あ…」

 誰かを呼ぼうにも、声が出せないほどの痛みが次から次へと襲ってきて、体を動かすのもままならない。
 その痛みが治まってきたかと思った瞬間、今度は強烈な眠気が襲ってきて、抵抗も出来ずに、意識が遠のいていった。
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