婚約破棄された王女が全力で喜びましたが、何か問題でも?

yukiya

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26,彼は独占欲が強い

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 まだ昼間だというのに、エルステーネはその肩を露わにしてベッドに仰向けになった。そんなエルステーネの上にいるのは当たり前のことながらモランだ。
 さて、どうして私は押し倒されているのか。全く分からないけれどこれだけは言える。
「昼間から何やってるんですか!!!!」



 アスロン王子ーーじゃない、王ともう話すこともないだろうと地下牢を出たエルステーネは、そのまま姉の部屋へ見舞いに行くつもりだった。だがその道すがら、モランに拉致され、モランの執務室の隣にある仮眠室へと連れて行かれたのだ。
「どうして」
「え?」
「貴女、私を忘れるつもりでいたって本当ですか」
 怖い顔をしたモランがそう尋ねてくる。そんなこと言っただろうかと首を捻りそうになるが、咄嗟に先ほどのアスロンと話した内容を思い出す。
「あ、あれは、ファントムに行った頃の話で…」
「ならあの馬鹿が愚かでは無かったら、貴女は私を忘れてあの男を愛していたと?」
 アスロンが愚かで無かったら。ふと考える。あれでまぁ馬鹿でなければ優良物件だったように思える。顔も悪く無いし。
「そういうことに、なる、の…?」
「……許さない」
「っあ…!」
 首筋をがじっと噛まれ、思わず上擦った声を出す。強く噛んだ後、まるで癒すように舌で舐められ、必死に抵抗しようとモランの胸を押すけれど、力の差は歴然だ。
「なに、して」
「なにって、痕を付けてるんです。貴女は私のものだという証明です。…その心に私以外を置いたら許さない」
 そんなことを言われても困る。あの頃はあれがモラン様からの真っ当な拒絶だと受け取り、失恋したと悲しみにくれていたのだ。
「あなたが、ファントムにやったんじゃ、ないの!」
 マーキングされていることは分かるが、これはあまりにも酷いではないか。エルステーネがあの国へ行く時、どんなに辛かったか。それでも一応旦那となるはずだった男に心開こうと決意するのは当たり前だ。
「…後悔している。だから、もう、口に出さないで」
 ーーそんなに切ない声で言われても。
(…かわいいひと)
「独占欲?」
「そうだよ」
「…そっか…」
「貴女が好きだから」
「…私も貴女が好きよ、だいすき」
 だから二度と、この手を離さないで。
 もちろん、と笑ったモランが今度は唇を重ね、優しいキスをした。
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