僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

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ゲーム

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その時、突然静華さんはこう言い出したのだった。

「じゃあ、私とゲームをしよう!」
「ゲーム?」

突然の事で困惑している僕には目もくれず、看護師さんは、ゲームの説明をしだした。

「ルールは簡単、今日一日中、私を頼って行動出来たら奏汰さんの勝ち。出来なかった数が5回あったら私の勝ち」

「それって僕に良い事無いんじゃ...」

「じゃあイチゴのアイス買ってあげるよ!あと、ご飯にイチゴが出た時、ちょっと多めに入れてあげるよ?」

「これでどう?」
「やりましょう、今すぐやりましょう」

イチゴには目がないね~。これだけイチゴに釣られるなら、ほっといたら悪い人に誘拐されちゃうかも。

「まあまあ落ち着いて?このままじゃ私に利益が無いからー」

「......じゃあ私が勝ったら、私を頼る事に慣れるまで、ずーっと言い続けていい?
あっ!...それと、毎食ご飯を食べさせてあげる」

奏汰は利益が釣り合わないような気がして、聞き返した。

「本当にそれでいいんですか?」

「いいよー」
「分かりました」

「じゃあ決まりで!開始は今から夜の六時まで」

「よーい...スタート!」

「っっ!」
 
看護師さんは僕を見ながら、若干笑い、話しかけてくる。

「っふ、そんな身構えなくてもいいよー。もっと力抜いてさー?」

「まあ...それもそうですね」

「とりあえず、朝ご飯遅れちゃってるからすぐ持ってくるねー!」

「分かりました。ありがとうございます」

看護師さんは急いで部屋を出、朝ご飯を持ってきてくれた。

「はい。どうぞ」

「ありがとうございます」

今日の朝ご飯は、食パンにイチゴジャム、ゆで卵を輪切りにしたやつと、トマトとキャベツのサラダ、そして牛乳。

「それじゃあ20分後また来るねー!」
「はーい」


「いただきます」

僕は、目の前にあったジャムを手に取り、食パンにかけて、久々のパンにかぶりついた。

「...ん?」

久々のパンだからか少し味が違う気がしてならなかった。まあ、気にせず食べた。

あとはサラダと牛乳。

「失礼します!奏汰さーんそのパンですが...」

「ん?どうしました?」

「その朝ご飯に入っていたパンなんですけど、アレルギーの子に渡し間違えで普通のパンを渡しちゃってたみたいで、奏汰さんに渡したのが小麦粉使ってない米粉パンなのよ。だから味がちょっと違......」

「そんな事よりアレルギーの子は!?」

「...っ!」

「大丈夫。食べる前に気づいて、替えてもらったらしいわ」

「よかった...」

「......奏汰さん優しいのね」
「僕はアレルギー反応の苦しさを知ってますから」

「そうなんだ。奏汰さんは確か......お蕎麦とゴマと......」

「バナナです」

「そう!バナナ。看護師してて初めて見たわ」

「僕も僕以外は見たことがありません」


「あっ!......食べさせてあげようか?」

どうしてこんなに食べさせたがるのかが分からない。看護師さんは何を考えているんだか。ここは、優しめに断るに限る。

「これぐらい大丈夫ですよ。あとサラダと牛乳だけですし」

「あらそう?」

随分と警戒されてるようね。食べさせてあげて、可愛い顔見せて欲しかったなぁ~!

「......トマト...好きなの?」

「なんで分かったんですか?」
「見てたら分かりますよ~」

なるほど、トマトも好きと。

「......ごちそうさまでした」

「じゃあ下げてくるねー」

「あっ...ありがとうございます」
「このぐらい大丈夫だよー!」

優しいなぁ、看護師さん。......看護師さんって呼ぶのもなんかぁ...分かりにくいかなぁ。確か名前は......ほうじょう...ほうじょう......

「ほうじょう......」

「なぁーに?」

看護師さんはいつの間にか、奏汰の顔を下から覗き込むように見てきていた。

「っ!うわぁ!!............痛った」

「あっごめん、大丈夫?」

「大丈夫ですよ......それより、口に出てました?」

「出てたよ?それで、なんで私の苗字呼んでたの?」

「僕っていつも看護師さんって呼んでるじゃないですか。それで、分かりにくいかなぁって思って、名前を思い出してたんですよ」

「なるほどねー。それで、思い出せた?私の名前」

「いえ、下の名前が分からなくて......」

「静華だよ、静華。ちゃんと覚えてね?...それと呼び方はなんでもいいからね」

「じゃあせっかくだし、静華さん...って呼んでも?」

「うん!いいよ!」

「あっ......僕も呼び方なんでもいいんで」

「じゃあ......奏汰くんって呼んでもいい?」
「はい!」

「じゃあ奏汰くん!またお昼時に来るからね」

「はい!分かりました」

ちょっと恥ずかしいな。

「あっ...そうだ」
「どうしたんですか?」

「まだお昼まで時間あるし、前軽くしか紹介出来なかったから、今から休憩室まで行って本とかテレビとか見る?」
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