僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

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健やかな心身

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 図書館を後にした奏汰《かなた》たちは相変わらず廊下にいる生徒たちから視線を集めていた。

「すっごい視線感じるねー」
「それだけ静華《しずか》さんたちが人気なんですよ」

「神崎《かんざき》......さん......」
「大丈夫大丈夫、みんな周りにいるからね」
「......うん」

 それにしても目立ちすぎじゃない? るなちゃんも怖がってるし早めに外に出た方が良いかも。

「静華さん、ちょっと早めに外へ出た方が良いかもです」
「そうね、雪希子《ゆきこ》さんちょっと早めに出ましょうか」

 僕がそう静華さんに提案し、静華さんが神崎さんに話しかけた時、僕たちの後ろの方で知っている声が聞こえた。

「すみません騒がしくて」
「あっ、咲苺《わらめ》さん!」
「とりあえず鎮《しずめ》ますね」

 そう咲苺さんが言った後、廊下にいる生徒たち全員が聞こえるように咲苺さんは声を張る。

「迷惑でしょ! 静かにしなさい!」

 さすがは十二光《じゅうにこう》、ざわつきが一瞬にしてなくなった。

「ありがとう、助かった」
「それじゃあ一旦正門側の外に出ましょう」
「そうね、行くよ奏汰くん」
「はい、これでるなちゃんも安心ですね」

 そして僕たちは先導してくれた咲苺さんのおかげでスムーズに外へ出ることが出来た。

「ふぅ、これで一安心ね」

「神崎先生、るなちゃんは大丈夫ですか?」
「るなちゃん、気分はどう?」

 神崎さんはるなちゃんと目線を合わせるためしゃがみ、問う。

「だいじょ......うぶ......かえ......ろ......」 
「そうね、帰ろっか」

 るなちゃんが落ち着いたところで奏汰たちは帰路についた。帰りながら4人で央光《おうこう》についての雑談をし、るなちゃんは少しづつ元気を取り戻していった。

「そういえば愛園さんが選んでくれたあのボロボロの本なんだったんだろ、開いたら所々ページ破けてるし文字は掠《かす》れてるしで読めなかったんだよ」

「また今度来た時に理事長か愛園さんにでも聞いてみましょうか」
「それもそうね」

 読めなかったと言えば『探求者たちの薬屋』も読めなかったなぁ、結構面白そうだったからまた央光大学に来る機会があったら絶対読も!

 こうして央光医療大学への見学は幕を閉じた。


「それじゃあ夜ご飯の時に食堂集合ね!」
「分かった、行こっかるなちゃん」
「うん......後で......ね......奏汰」
「うん! また後で」

 奏汰たちは無事光心《こうしん》病院に帰ることができ、着替えもあるし一旦部屋に戻ろうということになった。

「それじゃあ先に着替えてくるから奏汰くんはゆっくりしててね。決して無理やり着替えようとしないこと! いいね?」
「分かりました、お願いします」

 そう奏汰が答えたら静華さんは踵《かかと》を返し更衣室へと向かった。

「とりあえずお水でも飲もうかな」

 ペットボトルの水を取ろうと冷蔵庫を開けるとそこにはビニール袋に覆われたオレンジ色の何かがあった。

「なにこれ」

 ビニール袋に覆われてるから何か分かんないや、とりあえず触らないでおこ。

「ふぅ」

 お水は......持っとくか、また飲むだろうし。

「楽しかったなぁ」

 みんなの知らない顔を見れたり、面白い本も見つけれたし大満足だよ。

 そんなことを思っていると部屋のドアがノックされた。

「はーい」
「奏汰くんお待たせー!」

「静華さんですか、別にノックしなくてもいいのに」

「一応ここ個室だからノックして入らないといけない事になってるんだよ」
「そうなんですね」

「私の担当は奏汰くんだけだけど、患者さんには平等にしないといけない決まりだから、ヘルプで他の患者さんに行く事もたまにあるしね」

 看護師さんも色んなルールがあって大変だなぁ、覚えるのめっちゃ難しそう。

「そうそう奏汰くん! 着替えるついでに清拭《せいしき》もしちゃおっか」

「え、あっ......はい」

 奏汰がそう答えると静華さんは着々と準備を進めていく。

「着替える服ベッドに置いておくね」
「分かりました」

「......準備出来たよ! 上の服脱ごっか」
「はい......」
「はいはい緊張しなーい! しょうがないでしょ? ベッドで掛物かけながらやったら移動が大変で骨折したところ痛んじゃうんだから」

 そう言いながら痛まないようゆっくりと僕の服を脱がしてくれる。

「じゃあ......この背もたれの無い椅子に座りますね」
「うんお願い!」

 僕はゆっくりと立ち上がり椅子に座る。このぐらいだったら痛みも無く動けるようになったが、横になって起き上がったり、腕を上にあげたりする動作はまだまだ痛い。時々本当に治るのか心配になってくる。

「それじゃあ始めていくよ」
「はい、お願いします」

 こうして着替えついでの清拭が始まった。
 特に変わったことは無く、いつも通り順調に進んでいき下半身のデリケートな部分は僕の意見を尊重してくれ、自分で拭いてもいいことになった。

「大丈夫、ちゃんと拭けてる? 私が拭いてあげてもいいんだよ?」
「ちゃんと拭けてますよ! 早く石鹸拭き取るタオルください」
「はーい」

 静華さんは少し笑いながら僕にタオルを渡してくれた。

「はい、石鹸拭き終わりましたよ」
「お疲れ様、風邪引いたらダメだから服着せるね」
「お願いします」

 こうして着替えついでに始まった清拭は無事終わりを迎えた。

「まだ夕ご飯まで時間あるしゆっくりしよっかー! 疲れたでしょ」

 そう言いながら清拭の後片付けをする静華さん。

「そうですねー......あっそういえば、冷蔵庫に入ってるビニール袋って心当たりあります?」

「あー! あれね......私が入れたの」
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