僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

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つり目で気さくな彼女は外側から見ても素敵

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「秘密......あと......これ以上近づ......かないで......」

 そう言われた奏汰は戸惑いながらも軽く落ち込んだ様子だった。

「ということだから、ハロウィンパーティー当日までのお楽しみ」

「まあ......そこまで言うなら今日は引こうかな、奏汰くん行くよ!」

「あ......はい」

 明らかに落ち込んでいる奏汰を横目に、るなちゃんは料理を続ける。その様子は何か特別なものを手に入れるために。

 そして特にやることもなかった奏汰と静華さんは一旦奏汰の部屋へと帰っていた。

「......大丈夫?」
「まあ......はい、大丈夫ですよ」

 なんでこんな嫌な気持ちになるんだろ、ただ料理の邪魔になるし、るなちゃんだったら僕に気を使ってくれたのかもしれない。

「料理の邪魔になりますからね、ああ言われても仕方ないと思います」

「じゃあなんでそんなに落ち込んでるのー? るなちゃんなら危ないから来ないでとか、恥ずかしいから見ないでって意味にも変換できるじゃん! そんな落ち込むことないよ」

「なるほど......」

 分かっている、分かっているのに嫌な気持ちが僕の心を蝕んでいく。もしかしたら僕は期待していたのかもしれない、僕になら見せてくれる、拒否はされないと。......あーもう! 何考えてんだ、るなちゃんならもっと他の意味で言ったに決まってる。

「それはそうとこの後どうする? 夜ご飯までやることなくなっちゃったけど」

「とりあえず、トイレに行きたいです」
「はーいトイレへごあんな~い!」
「1人で行けますよ......」

 僕は何とか静華さんを説得し、1人でトイレに向かった。

「はぁ......」

 思った以上にるなちゃんの言葉に同様しちゃってる、あんまり気にしないタイプだと思ってたんだけどなぁ......僕の記憶が戻るのもいつか分からないから気にしてても無駄って思ってたぐらいだし。

 まぁ、今はるなちゃんと会う夜ご飯の時間まで待つしかないかぁー......

「とりあえず部屋に帰ろ」

 トイレも大分慣れてきたし、これはもう静華さんも文句ないでしょ。車椅子は動かすために腕伸ばしたら胸の辺りがまだ痛むから、静華さんに頼るしかないけど。

 そんなことを思いながら奏汰はトイレを後にし、部屋へ戻ろうとした。だがそこには何故か、飾り付けの時に奏汰が持っていたプルフラワーストリップを付けてくれた大人っぽい女の子がいた。

「あっ」
「ん?」

 あの子は飾り付けの時にいた......そういえば名前静華さんから教えてもらってないな。

「どうしたの? そんなに私を見つめて」
「いや、前にも会ったことあるなと思って」

「ふーん......それより大丈夫? 肋骨骨折してて車椅子動かすのに苦労してるんじゃない?」

「まあ少しは痛いですけどすぐそこですし」

「それで治るの遅れたら元も子もないじゃない、人を頼りなよ、私がいるでしょ?」

 え、なにそれ、車椅子押してくれるの? それだったらありがたいけど......期待はしない方がいい、痛い目を見たばっかだし。

「何迷ってんの、行くよ」
「えぇ?」

 奏汰が色々と考えていた間に彼女は奏汰の後ろまで来ていたらしく、流されるがままに車椅子は動いていった。

「それで、部屋はどこ?」
「ここをずっと真っ直ぐ行った所にあります」
「分かった」

 この人を見るのは2回目だけど本当に大人っぽい女の子だなぁ......

「......何よ? そんなに見られるとこっちも恥ずかしいんだけど......」

 そう言いつつも頬を赤くすることはなく、視界の邪魔になってきていた前髪を耳にかける。

「ああっごめん!」

 無意識に見てしまっていた、気をつけないと。

「あっそうだ、私の名前は清水《しみず》千鶴《ちづる》、知らなかったでしょ?」

「清水さんですね、僕の名前は──」
「知ってるよ、灰羽奏汰くんでしょ?」
「......なんで知ってるんですか?」

「御陵《みささぎ》さんに聞いたの、怪我のこともね」

 看護主任か。

「ほら、着いたよ」
「ありがとうございます」

 清水さんと話していたらいつの間にか着いていたようだ。

「それじゃあ私はこれで」
「はい、ありがとうございました」
「またね」

 清水さんがそう言った瞬間、僕の部屋のドアが大きな音を立てないぐらいの勢いで開けられた。

「っ!」
「あっ! 奏汰くん、大丈夫だった?」

 びっくりしたぁ......

「もちろんですよ、もう1人でも大丈夫です」

 自信ありげに奏汰が静華さんへ言った。それを見た静華さんはやれやれとした顔をし、奏汰の頭を撫でようと手を伸ばしたその時──

「バカ」

 清水さんが奏汰の頭を軽く叩いたのだった。
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