54 / 69
つり目で気さくな彼女は外側から見ても素敵
しおりを挟む
「秘密......あと......これ以上近づ......かないで......」
そう言われた奏汰は戸惑いながらも軽く落ち込んだ様子だった。
「ということだから、ハロウィンパーティー当日までのお楽しみ」
「まあ......そこまで言うなら今日は引こうかな、奏汰くん行くよ!」
「あ......はい」
明らかに落ち込んでいる奏汰を横目に、るなちゃんは料理を続ける。その様子は何か特別なものを手に入れるために。
そして特にやることもなかった奏汰と静華さんは一旦奏汰の部屋へと帰っていた。
「......大丈夫?」
「まあ......はい、大丈夫ですよ」
なんでこんな嫌な気持ちになるんだろ、ただ料理の邪魔になるし、るなちゃんだったら僕に気を使ってくれたのかもしれない。
「料理の邪魔になりますからね、ああ言われても仕方ないと思います」
「じゃあなんでそんなに落ち込んでるのー? るなちゃんなら危ないから来ないでとか、恥ずかしいから見ないでって意味にも変換できるじゃん! そんな落ち込むことないよ」
「なるほど......」
分かっている、分かっているのに嫌な気持ちが僕の心を蝕んでいく。もしかしたら僕は期待していたのかもしれない、僕になら見せてくれる、拒否はされないと。......あーもう! 何考えてんだ、るなちゃんならもっと他の意味で言ったに決まってる。
「それはそうとこの後どうする? 夜ご飯までやることなくなっちゃったけど」
「とりあえず、トイレに行きたいです」
「はーいトイレへごあんな~い!」
「1人で行けますよ......」
僕は何とか静華さんを説得し、1人でトイレに向かった。
「はぁ......」
思った以上にるなちゃんの言葉に同様しちゃってる、あんまり気にしないタイプだと思ってたんだけどなぁ......僕の記憶が戻るのもいつか分からないから気にしてても無駄って思ってたぐらいだし。
まぁ、今はるなちゃんと会う夜ご飯の時間まで待つしかないかぁー......
「とりあえず部屋に帰ろ」
トイレも大分慣れてきたし、これはもう静華さんも文句ないでしょ。車椅子は動かすために腕伸ばしたら胸の辺りがまだ痛むから、静華さんに頼るしかないけど。
そんなことを思いながら奏汰はトイレを後にし、部屋へ戻ろうとした。だがそこには何故か、飾り付けの時に奏汰が持っていたプルフラワーストリップを付けてくれた大人っぽい女の子がいた。
「あっ」
「ん?」
あの子は飾り付けの時にいた......そういえば名前静華さんから教えてもらってないな。
「どうしたの? そんなに私を見つめて」
「いや、前にも会ったことあるなと思って」
「ふーん......それより大丈夫? 肋骨骨折してて車椅子動かすのに苦労してるんじゃない?」
「まあ少しは痛いですけどすぐそこですし」
「それで治るの遅れたら元も子もないじゃない、人を頼りなよ、私がいるでしょ?」
え、なにそれ、車椅子押してくれるの? それだったらありがたいけど......期待はしない方がいい、痛い目を見たばっかだし。
「何迷ってんの、行くよ」
「えぇ?」
奏汰が色々と考えていた間に彼女は奏汰の後ろまで来ていたらしく、流されるがままに車椅子は動いていった。
「それで、部屋はどこ?」
「ここをずっと真っ直ぐ行った所にあります」
「分かった」
この人を見るのは2回目だけど本当に大人っぽい女の子だなぁ......
「......何よ? そんなに見られるとこっちも恥ずかしいんだけど......」
そう言いつつも頬を赤くすることはなく、視界の邪魔になってきていた前髪を耳にかける。
「ああっごめん!」
無意識に見てしまっていた、気をつけないと。
「あっそうだ、私の名前は清水《しみず》千鶴《ちづる》、知らなかったでしょ?」
「清水さんですね、僕の名前は──」
「知ってるよ、灰羽奏汰くんでしょ?」
「......なんで知ってるんですか?」
「御陵《みささぎ》さんに聞いたの、怪我のこともね」
看護主任か。
「ほら、着いたよ」
「ありがとうございます」
清水さんと話していたらいつの間にか着いていたようだ。
「それじゃあ私はこれで」
「はい、ありがとうございました」
「またね」
清水さんがそう言った瞬間、僕の部屋のドアが大きな音を立てないぐらいの勢いで開けられた。
「っ!」
「あっ! 奏汰くん、大丈夫だった?」
びっくりしたぁ......
「もちろんですよ、もう1人でも大丈夫です」
自信ありげに奏汰が静華さんへ言った。それを見た静華さんはやれやれとした顔をし、奏汰の頭を撫でようと手を伸ばしたその時──
「バカ」
清水さんが奏汰の頭を軽く叩いたのだった。
そう言われた奏汰は戸惑いながらも軽く落ち込んだ様子だった。
「ということだから、ハロウィンパーティー当日までのお楽しみ」
「まあ......そこまで言うなら今日は引こうかな、奏汰くん行くよ!」
「あ......はい」
明らかに落ち込んでいる奏汰を横目に、るなちゃんは料理を続ける。その様子は何か特別なものを手に入れるために。
そして特にやることもなかった奏汰と静華さんは一旦奏汰の部屋へと帰っていた。
「......大丈夫?」
「まあ......はい、大丈夫ですよ」
なんでこんな嫌な気持ちになるんだろ、ただ料理の邪魔になるし、るなちゃんだったら僕に気を使ってくれたのかもしれない。
「料理の邪魔になりますからね、ああ言われても仕方ないと思います」
「じゃあなんでそんなに落ち込んでるのー? るなちゃんなら危ないから来ないでとか、恥ずかしいから見ないでって意味にも変換できるじゃん! そんな落ち込むことないよ」
「なるほど......」
分かっている、分かっているのに嫌な気持ちが僕の心を蝕んでいく。もしかしたら僕は期待していたのかもしれない、僕になら見せてくれる、拒否はされないと。......あーもう! 何考えてんだ、るなちゃんならもっと他の意味で言ったに決まってる。
「それはそうとこの後どうする? 夜ご飯までやることなくなっちゃったけど」
「とりあえず、トイレに行きたいです」
「はーいトイレへごあんな~い!」
「1人で行けますよ......」
僕は何とか静華さんを説得し、1人でトイレに向かった。
「はぁ......」
思った以上にるなちゃんの言葉に同様しちゃってる、あんまり気にしないタイプだと思ってたんだけどなぁ......僕の記憶が戻るのもいつか分からないから気にしてても無駄って思ってたぐらいだし。
まぁ、今はるなちゃんと会う夜ご飯の時間まで待つしかないかぁー......
「とりあえず部屋に帰ろ」
トイレも大分慣れてきたし、これはもう静華さんも文句ないでしょ。車椅子は動かすために腕伸ばしたら胸の辺りがまだ痛むから、静華さんに頼るしかないけど。
そんなことを思いながら奏汰はトイレを後にし、部屋へ戻ろうとした。だがそこには何故か、飾り付けの時に奏汰が持っていたプルフラワーストリップを付けてくれた大人っぽい女の子がいた。
「あっ」
「ん?」
あの子は飾り付けの時にいた......そういえば名前静華さんから教えてもらってないな。
「どうしたの? そんなに私を見つめて」
「いや、前にも会ったことあるなと思って」
「ふーん......それより大丈夫? 肋骨骨折してて車椅子動かすのに苦労してるんじゃない?」
「まあ少しは痛いですけどすぐそこですし」
「それで治るの遅れたら元も子もないじゃない、人を頼りなよ、私がいるでしょ?」
え、なにそれ、車椅子押してくれるの? それだったらありがたいけど......期待はしない方がいい、痛い目を見たばっかだし。
「何迷ってんの、行くよ」
「えぇ?」
奏汰が色々と考えていた間に彼女は奏汰の後ろまで来ていたらしく、流されるがままに車椅子は動いていった。
「それで、部屋はどこ?」
「ここをずっと真っ直ぐ行った所にあります」
「分かった」
この人を見るのは2回目だけど本当に大人っぽい女の子だなぁ......
「......何よ? そんなに見られるとこっちも恥ずかしいんだけど......」
そう言いつつも頬を赤くすることはなく、視界の邪魔になってきていた前髪を耳にかける。
「ああっごめん!」
無意識に見てしまっていた、気をつけないと。
「あっそうだ、私の名前は清水《しみず》千鶴《ちづる》、知らなかったでしょ?」
「清水さんですね、僕の名前は──」
「知ってるよ、灰羽奏汰くんでしょ?」
「......なんで知ってるんですか?」
「御陵《みささぎ》さんに聞いたの、怪我のこともね」
看護主任か。
「ほら、着いたよ」
「ありがとうございます」
清水さんと話していたらいつの間にか着いていたようだ。
「それじゃあ私はこれで」
「はい、ありがとうございました」
「またね」
清水さんがそう言った瞬間、僕の部屋のドアが大きな音を立てないぐらいの勢いで開けられた。
「っ!」
「あっ! 奏汰くん、大丈夫だった?」
びっくりしたぁ......
「もちろんですよ、もう1人でも大丈夫です」
自信ありげに奏汰が静華さんへ言った。それを見た静華さんはやれやれとした顔をし、奏汰の頭を撫でようと手を伸ばしたその時──
「バカ」
清水さんが奏汰の頭を軽く叩いたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる