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実食、そして事件の始まり
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「どう⋯⋯? ほかの3人⋯⋯も⋯⋯美味しい?」
ゆるいハロウィンパーティーに参加していた奏汰、静華さん、神崎さん、るなちゃん、千鶴は、バイキング形式だった晩御飯に驚きつつも食べたいものを取り、5人座れる机に集合した。
その時机の真ん中にあったのは、るなちゃんが練習を重ねて作ったカボチャグラタンだった。
「美味しいよ」
「これ料理初めてだよね? 美味しい!」
「初めてなんだ、すご」
静華さん、神崎さん、千鶴の3人はカボチャグラタンを頬張りながら評価してくれる。
「結構⋯⋯頑張った⋯⋯」
「バイキングにある料理もるなちゃん手伝ってくれたし、偉すぎ」
神崎さんは僕の目の前でるなちゃんの頭を撫でた、もしかしたら神崎さんも大概子供好きなのかもしれない。
「ていうか料理班の負担大きすぎない?」
「確かに、結構な量作らないと足りないもんね」
「後で院長にガツンと言っとかないと!」
「その院長急な用事でこの病院に居ないけどね」
落ち着いている神崎さんはそう言いながらスプーンを口に持っていき、奏汰やるなちゃん、千鶴がちゃんと食べているか確認する。
「どこ行ったんだろね」
「院長って前言ってた行事ごとが好きな?」
「そうそう」
本当だったらハロウィンパーティーにも来たかっただろうに、相当な用事なんだろうなぁ⋯⋯。
「看護師長か看護部長に聞けばどこに行ったか分かるんじゃない?」
「じゃあ看護部長かなぁ、看護師長に聞くと面倒な仕事押し付けられそう」
首を縦に振る神崎さんを横目に千鶴は食べる手を止めた。
「看護部長って御陵《みささぎ》影子《えいこ》さん?」
「千鶴ちゃんよく知ってるね! 看護主任のお姉さん、姉妹揃って看護師の凄い人たちだよ!」
僕はまだ会ったことないな、看護主任の御陵陽子さんなら会ったことあるんだけど。そう考えればこの病院で会ったことない人結構多いかも、挨拶とかした方がいいのかな?
「看護師の中では地位が1番上の人、でも優しい」
「たまに四季条《しきじょう》さんと一緒に様子を見に来てくれるから、それで名前覚えた」
あっ、お水なかったんだった。取りに行こうにも1人で行ったら静華さんに怒られそうだし、誰かに頼もうにもみんな楽しそうに話してる空気壊したくないし、どうしよ⋯⋯。
「あっ奏汰くんお水取りに行く?」
「あ、ありがとうございます」
助かったー⋯⋯ほんとよく見てる、ちょっとの異変でもすぐ気づいてくれるの凄い。一緒にいればいるほど最終的には考えてること全部読んできそう⋯⋯。
「私も⋯⋯行く⋯⋯」
「じゃあ一緒に行こっか、奏汰くんゆっくり車椅子乗ってね」
いつものように静華さんに支えてもらいながら車椅子に乗り、3人でお水を取りに行く。
「清水さんに1つ聞いていい?」
「いいですよ」
残された2人は特に気まずくなることも無く会話を始め、千鶴は気にせず食事を続けた。
「るなちゃんといつそんなに仲良くなったの?」
「うーん⋯⋯気づいたら?」
「気づいたらって⋯⋯」
箸を置き頭を抱える神崎さん。
「私の苦労返してくれる? 何日も何日も話しかけに行って、無視されてはまた話しかけに行って、るなちゃんの読んでた本を自分用に本屋で買って読んで話しかけに行って、やっと興味持ってくれたぐらいなのに⋯⋯今の若い子には敵いませんわ」
「今まで何回か話す機会はあったんだけど、私に興味なんてなさそうだった。宮咲さんから話しかけてくれたのはつい最近、灰羽さんの部屋に居た時かな」
その人誰? って言われただけだけど。
「灰羽さんもるなちゃんと仲良くなるの早すぎなのよ、人と関わる達人よ。感謝もあるけどそれ以前に嫉妬よ嫉妬」
「嫉妬って何の話ー?」
水を取りに行っていた静華さんがコップを2つ持って歩いてきていた。
「るなちゃんと灰羽さんはどうしたの?」
「あっちあっち!」
机に水を置きながら椅子に座った静華さんは、人差し指を前に出してるなちゃんの居場所を指し示す。
「お水⋯⋯こぼさないように⋯⋯ゆっくり⋯⋯押すから⋯⋯」
「うん、ありがとう」
灰羽さんの車椅子を押していたのか、良かった。
奏汰は無事席に着き、るなちゃんは髪をふわりとなびかせながら奏汰の前に来る。
「お水⋯⋯先に⋯⋯」
「あっ、お願い」
るなちゃんがお水を机に運んでくれている間に、車椅子から椅子に移動しようとしたら、静華さんが支えに来てくれた。
「はい! 無理しない無理しない」
「ありがとうございます」
1つの移動にもこんなに時間がかかると思ってもみなかったなあ⋯⋯今じゃもう慣れちゃったけど。赤信号を無視してきた車に轢かれるとか災難すぎる。
「ゔっ⋯⋯」
「どうしたの!?」
「一瞬頭痛が⋯⋯でも今はもう大丈夫です」
今一瞬だけど何か頭の中に⋯⋯。ダメだ、思い出せない。
「今夜は一応氷枕用意するわ、あと痛くなったら飲めるように薬も机に用意しとくから」
「分かりました、もし酷かったらナースコール押しますね」
僕はそう決意し、自分の席に座った。
「うん、お願い!」
一応看護主任に伝えとこう、そしたら夜勤の人たち全員に伝わるからこれで夜中でも安心。
「奏汰⋯⋯大丈夫⋯⋯?」
「大丈夫か?」
「大丈夫?」
「うん! 全然平気」
「なら良かった⋯⋯」
静華さんとるなちゃんも席に着き、食事を再開する。
「それで雪希子さん、私が戻ってきた時言ってた嫉妬って何に嫉妬してたのー?」
「いきなりだな」
「さっき聞けなかったからねー!」
静華さんは一言でその場の空気を変えて、話題を一転する。
「それは清水さんと灰羽さんが──」
千鶴を交えた食事はとても楽しく、かなりの時間が経過してしまっていた。
時刻は8時、晩御飯を食べ終えた5人は食堂を出てその日は解散となった。各自部屋に戻り、消灯時間までそれぞれ暇を潰した。
1人はアニメを看護師さんに布教したり、1人は看護師さんに頭を撫でられたりと、意外にも早く時間は過ぎていった。
2日後、11月2日。
神崎さんと夏凛が央光《おうこう》へ行く日の朝、神崎さんのスマホに一通のメールが届いた。
「神薙《かんなぎ》美琴《みこと》が今朝、部分的記憶喪失になっただと⋯⋯!?」
ゆるいハロウィンパーティーに参加していた奏汰、静華さん、神崎さん、るなちゃん、千鶴は、バイキング形式だった晩御飯に驚きつつも食べたいものを取り、5人座れる机に集合した。
その時机の真ん中にあったのは、るなちゃんが練習を重ねて作ったカボチャグラタンだった。
「美味しいよ」
「これ料理初めてだよね? 美味しい!」
「初めてなんだ、すご」
静華さん、神崎さん、千鶴の3人はカボチャグラタンを頬張りながら評価してくれる。
「結構⋯⋯頑張った⋯⋯」
「バイキングにある料理もるなちゃん手伝ってくれたし、偉すぎ」
神崎さんは僕の目の前でるなちゃんの頭を撫でた、もしかしたら神崎さんも大概子供好きなのかもしれない。
「ていうか料理班の負担大きすぎない?」
「確かに、結構な量作らないと足りないもんね」
「後で院長にガツンと言っとかないと!」
「その院長急な用事でこの病院に居ないけどね」
落ち着いている神崎さんはそう言いながらスプーンを口に持っていき、奏汰やるなちゃん、千鶴がちゃんと食べているか確認する。
「どこ行ったんだろね」
「院長って前言ってた行事ごとが好きな?」
「そうそう」
本当だったらハロウィンパーティーにも来たかっただろうに、相当な用事なんだろうなぁ⋯⋯。
「看護師長か看護部長に聞けばどこに行ったか分かるんじゃない?」
「じゃあ看護部長かなぁ、看護師長に聞くと面倒な仕事押し付けられそう」
首を縦に振る神崎さんを横目に千鶴は食べる手を止めた。
「看護部長って御陵《みささぎ》影子《えいこ》さん?」
「千鶴ちゃんよく知ってるね! 看護主任のお姉さん、姉妹揃って看護師の凄い人たちだよ!」
僕はまだ会ったことないな、看護主任の御陵陽子さんなら会ったことあるんだけど。そう考えればこの病院で会ったことない人結構多いかも、挨拶とかした方がいいのかな?
「看護師の中では地位が1番上の人、でも優しい」
「たまに四季条《しきじょう》さんと一緒に様子を見に来てくれるから、それで名前覚えた」
あっ、お水なかったんだった。取りに行こうにも1人で行ったら静華さんに怒られそうだし、誰かに頼もうにもみんな楽しそうに話してる空気壊したくないし、どうしよ⋯⋯。
「あっ奏汰くんお水取りに行く?」
「あ、ありがとうございます」
助かったー⋯⋯ほんとよく見てる、ちょっとの異変でもすぐ気づいてくれるの凄い。一緒にいればいるほど最終的には考えてること全部読んできそう⋯⋯。
「私も⋯⋯行く⋯⋯」
「じゃあ一緒に行こっか、奏汰くんゆっくり車椅子乗ってね」
いつものように静華さんに支えてもらいながら車椅子に乗り、3人でお水を取りに行く。
「清水さんに1つ聞いていい?」
「いいですよ」
残された2人は特に気まずくなることも無く会話を始め、千鶴は気にせず食事を続けた。
「るなちゃんといつそんなに仲良くなったの?」
「うーん⋯⋯気づいたら?」
「気づいたらって⋯⋯」
箸を置き頭を抱える神崎さん。
「私の苦労返してくれる? 何日も何日も話しかけに行って、無視されてはまた話しかけに行って、るなちゃんの読んでた本を自分用に本屋で買って読んで話しかけに行って、やっと興味持ってくれたぐらいなのに⋯⋯今の若い子には敵いませんわ」
「今まで何回か話す機会はあったんだけど、私に興味なんてなさそうだった。宮咲さんから話しかけてくれたのはつい最近、灰羽さんの部屋に居た時かな」
その人誰? って言われただけだけど。
「灰羽さんもるなちゃんと仲良くなるの早すぎなのよ、人と関わる達人よ。感謝もあるけどそれ以前に嫉妬よ嫉妬」
「嫉妬って何の話ー?」
水を取りに行っていた静華さんがコップを2つ持って歩いてきていた。
「るなちゃんと灰羽さんはどうしたの?」
「あっちあっち!」
机に水を置きながら椅子に座った静華さんは、人差し指を前に出してるなちゃんの居場所を指し示す。
「お水⋯⋯こぼさないように⋯⋯ゆっくり⋯⋯押すから⋯⋯」
「うん、ありがとう」
灰羽さんの車椅子を押していたのか、良かった。
奏汰は無事席に着き、るなちゃんは髪をふわりとなびかせながら奏汰の前に来る。
「お水⋯⋯先に⋯⋯」
「あっ、お願い」
るなちゃんがお水を机に運んでくれている間に、車椅子から椅子に移動しようとしたら、静華さんが支えに来てくれた。
「はい! 無理しない無理しない」
「ありがとうございます」
1つの移動にもこんなに時間がかかると思ってもみなかったなあ⋯⋯今じゃもう慣れちゃったけど。赤信号を無視してきた車に轢かれるとか災難すぎる。
「ゔっ⋯⋯」
「どうしたの!?」
「一瞬頭痛が⋯⋯でも今はもう大丈夫です」
今一瞬だけど何か頭の中に⋯⋯。ダメだ、思い出せない。
「今夜は一応氷枕用意するわ、あと痛くなったら飲めるように薬も机に用意しとくから」
「分かりました、もし酷かったらナースコール押しますね」
僕はそう決意し、自分の席に座った。
「うん、お願い!」
一応看護主任に伝えとこう、そしたら夜勤の人たち全員に伝わるからこれで夜中でも安心。
「奏汰⋯⋯大丈夫⋯⋯?」
「大丈夫か?」
「大丈夫?」
「うん! 全然平気」
「なら良かった⋯⋯」
静華さんとるなちゃんも席に着き、食事を再開する。
「それで雪希子さん、私が戻ってきた時言ってた嫉妬って何に嫉妬してたのー?」
「いきなりだな」
「さっき聞けなかったからねー!」
静華さんは一言でその場の空気を変えて、話題を一転する。
「それは清水さんと灰羽さんが──」
千鶴を交えた食事はとても楽しく、かなりの時間が経過してしまっていた。
時刻は8時、晩御飯を食べ終えた5人は食堂を出てその日は解散となった。各自部屋に戻り、消灯時間までそれぞれ暇を潰した。
1人はアニメを看護師さんに布教したり、1人は看護師さんに頭を撫でられたりと、意外にも早く時間は過ぎていった。
2日後、11月2日。
神崎さんと夏凛が央光《おうこう》へ行く日の朝、神崎さんのスマホに一通のメールが届いた。
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