スキルが芽生えたので復讐したいと思います~スライムにされてしまいました。意外と快適です~

北きつね

文字サイズ
特大
142 / 143
第五章 スライムとダンジョン

第二話 スライムと団体


 今日は、学校を休んだ。学校には毎日は通う必要はないのだが、休むと真子が哀しそうな表情で家を訪ねて来る。ギルドだけだけど社会に関わるようになってから授業も面白く感じている。なので真面目に通っている。

 今日の休みは、しっかりと真子にも話をしてあるので安心だ。

 以前からお願いしていた、裏山の取得が終了したと連絡を受けた。申請が通ったようだ。
 行政的な手続きは、ギルドにいる私が担当した。円香さんや茜さんや孔明さんに教えられながらだけど、手続きを行った。次からは、私だけで出来るようになれる(と、思う)。

 裏山は法律的には私たちが所有する場所となったのだが、ライが言うには、私が場所を認識していないから、範囲として私たちの領域として認識ができていない(らしい)。
 よくわからないが、学校に行っている私と、ギルドで仕事を行っている私と、家にいる私の、ある程度の私になって確認をしなければ領域として認識がされない。由比にある家に戻ってから、前のように本体となるスライムを家に残して、新しい家族と領地の確認に向かう。

 土地の権利書に従って、山を確認する。

 国有地になっていた場所も購入してくれたようだ。
 資金は潤沢にある。最初は、入ってくるお金を喜んでいたのだが、段々怖くなって、10億をこえた辺りから確認をしていない。兆までは増えていないらしい。茜さんが教えてくれた。銀行の偉い人が面会を申し込んできたが面倒なので断っている。あまりに何度も行ってくるようなら、メインバンクを変えると伝えたら、連絡は来なくなった。私の家には、辿り着けないようで、ギルド経由で面会を申し込んでくるから厄介だ。他にも、慈善団体を隠れ蓑にしている者たちや、宗教家を名乗るクズや、国の出先機関まで訪ねて来る。
 あまりに多くなったので、円香さんに対応を聞いたら、慈善団体を作って・・・。円香さんは、”偽善団体”と言っていたけど、あながち間違っていない。
 慈善団体を作って、活動を行えばいいと教えてもらった。
 とりあえず作ったのが、裏山を入手する時にも使った団体である。自然動物を保護する慈善団体だ。

 お金を出しているのは私だけど、代表は違う人にやってもらっている。ギルドのメンバーにもお金を出しているのは隠している。
 円香さんと蒼さんの提案で、自然動物を保護する団体は、プロパガンダとして”反ギルド”を謳っている。魔物も自然動物と位置づけて、保護の対象だと宣伝することにした。私の事が世間に知られた時に、ギルドではなく団体が逃げ場所になるようにするためだ。
 あり余るお金を使って、古くから活動している宗教法人を購入した。いきなり代表の入れ替えは出来ないので、徐々に入れ替えを行っている。宗教法人は、昔から日本に存在している”妖怪”と魔物を結びつけて”神の使い”だとして崇めることを教義とした。

 簡単に言えば、”三竦み”の状態を作り出した。

 私から資金が出ているのを知っているのは、ギルドでも私がスライムだと知っている人たちだけだ。二つの団体のトップと一部の理事だけが知っている状況だ。

 ばくだいな資金を使って、マスコミを支配する。
 マスコミだけでは、均衡が保てないと思い慈善団体を作った。そして宗教法人を入手した。ギルドの正義と、慈善団体の正義と、宗教法人の正義が、相反するような状況を作り出した。
 これによって、政治業者やマスコミのたかり先を見つけやすいようにした。

 徐々に””がマスコミにも回り始めている(らしい)。円香さんが教えてくれた。

 慈善団体と宗教法人とギルドのおかげで生活を脅かす影は少なくなっている。

 ギルドや私たちを監視する目も減っている。

 家族たちが警戒していた展開にはならなかった。
 ライが、アニメやマンガから得た知識を家族たちで共有する事で、余計な知識を得た。そして家族の思考がおかしな方向に進んでいた。家族の思惑とは違ったかたちでの着地ができたのが大きな成果だと言える。

 いろいろな状況が別々の方向に動いているようで、全部が動きやすいように、調整されている。
 ワイズマンに提供した情報にギルドの収入以上の価値を感じてくれている。時々、本当にワイズマンという人物がいるのかと錯覚してしまうのだが、AIだと教えられている。疑問に思う事はあるが、気にしてもしょうがない。

『主様』

 そうだ。
 今は、新しく購入した裏山の確認をしている最中だった。

 そして、新しく家族になった者たちのお披露目を兼ねている。

 静岡に居ないと思われていた熊を家族に迎えた。
 私の事を、”主様”と呼んでくれている。

 今、熊と言えば、”プー”と考えたが、さすがに問題がありそうだったので、ディックと呼んでいる。

『ディック。範囲は認識できた?』

『はい!ありがとうございます』

『堅いよ。家族だよ?言葉遣いは気にしなくていいよ』

『いえ、そういうわけにはいきません。私たちは、主様に皆さまに救われたのです』

 ディックとの出会いは、よくある話だ。ディックの家族が、魔物と戦っていた。
 既に、ディックの旦那が魔物に殺された所で、カーディナルたちが駆けつけた。ライが、ディックの旦那さんを取り込んだ。その因子を、ディックとディックの子供に与えた。そしてディックと子供たちは魔物に進化した。ディックは私の眷属家族になった。ディックの子供は、ディックの家族のままだ眷属になった。ディックが名前を考えて、与える事に決めた。

 因子となった熊の遺骸は、ディックの中で生きている。
 その感覚はわからないが、ディックが納得しているのなら、それ以上は何もきかない。

『気にしなくていいよ。それよりも・・・』

 ディックには、他の家族とは違う特徴がある。ディック以外の家族は、魔物になっても姿は大きく変わらなかった。動物としての姿は残されている。ディックも”熊”である姿は変わらないが、変異で済まされる状況を逸脱した変化がある。

 ディックの額には、第三の目と言うべき眼が開いた。それだけではなく、見えないインビジブルアームというべきなのか・・・。見えない腕が生えた4本の腕を持つ”熊”は自然界には居ないと思う。額の眼が、動かなければ、そういう種族だと言い切れる可能性もあるのだが、眼が動く。眼球が動くのではない。眼が移動する。ディックの死角をなくすように眼が動くのだ。死角を完全に無くすのは無理だが、頭上からの攻撃を前面に攻撃をしている最中に、インビジブルアームで防ぐ。戦闘力だけなら、家族の中で一番だと言ってもいいだろう。経験やスキルの違いで、カーディナルやアドニスなどの古参の家族には勝てないが、単純な攻撃力ではトップだと思う。移動力も、熊が持つ本来の速度にスキルを重ねている。

『はい。ライ様からいただいた旦那因子は、私の中で生きています』

 ディックに乗って新しい領域を確認している。
 不思議なことに結界で覆うだけでは、私の領域とならない。

 範囲を認識しなければならない。認識することで、魔物の発生が抑えられる。完全になくなることはないのだが、それでも魔物が少なければ、魔物同士で戦う頻度が抑えられる。
 魔物同士は、戦わせないほうがよい。魔物同士が戦う事で、勝ったほうが進化することがある。進化した魔物が増えれば、脅威となる。主を持たない魔物はテリトリーを持つ。テリトリーが被れば戦いになる。戦えば、どちらかが進化する。

 家族たちが見回って、魔物を駆逐している理由だ。
 そして、テリトリーを広げた理由でもある。なぜか不明なのだが、自らが出向いて認識しなければ、テリトリーにならない。人としての枠組みが決まっただけではテリトリーにならない。

『主様?』

『どうした?』

『あそこから・・・』

『洞窟?防空壕?魔物か?』
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したからクラスの奴に復讐します 表紙

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。
ファンタジー 完結 ショートショート R15
文字数:401,741
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数:9,943
勇者のフリをしていた俺、国に捨てられ魔王級の討伐対象に ~だが遅い。伝説の冥王を従えたので、ダンジョンを改造して元仲間を返り討ちにする~ 表紙

勇者のフリをしていた俺、国に捨てられ魔王級の討伐対象に ~だが遅い。伝説の冥王を従えたので、ダンジョンを改造して元仲間を返り討ちにする~

「偽物の勇者は用済みだ」 命がけで最難関ダンジョンを攻略した俺を待っていたのは、信頼していた仲間たちの無慈悲な裏切りだった。だがクズどもは知らなかった。俺のスキルは伝説の銀髪美女(冥王)すら従えられることを―― 勇者不在のパーティを支えるため、自らの身体に初代勇者リオンの霊を宿して勇者のフリをしていた降霊術師のロア・フォードレス。 国と仲間を救うため、命がけで最難関ダンジョンを攻略し、ついにリオンを完全復活させた――その直後。 ロアを待っていたのは、信頼していた勇者と仲間たちによるあまりに無慈悲な裏切りだった。 だが、クズどもは決定的な勘違いをしていた。 ロアの真の能力は、ただ霊を身体に宿すことではない。 一度、死を経験したことで、触媒さえあれば神話の怪物から冥王まで絶対使役する禁忌のチートスキル【魂魄使役(ソウルテイマー)】が覚醒したのだ。 冥界から帰還したロアが、最初に呼び出したのは―― 銀髪の高慢な【劫火《ごうか》の灰をかぶりし女王・フィリア】 「俺を魔王級の討伐対象に指定した? 認識が甘いぞ。こっちの戦力は魔王軍以上だ」 かつて、勇者を育て上げた迷宮を、英霊や神話の怪物たちが巣くう超高難易度の冥界ダンジョンへ造り変え、裏切った勇者も国も、世界ごとひっくり返す逆襲撃が今始まる!
ファンタジー 連載中 長編
文字数:105,829
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。 表紙

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数:564,689
俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話 表紙

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話

会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。 バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。 『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか? ※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です ※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ファンタジー 完結 長編
文字数:114,022
貞操逆転世界のメンズエステで働くことになった 表紙

貞操逆転世界のメンズエステで働くことになった

貞操観念が逆転した現代日本。大学生の佐伯恒一は、金のない生活を変えるため、男性セラピストが女性を施術する「メンズエステ」で働き始める。 そこで待っていたのは、個性的な先輩セラピストと、どこか怪しい女性オーナー、そして一癖も二癖もある女性客たち。 普通の大学生だった恒一は、次第にメンズエステの世界へとのめり込んでいく。
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数:119,032
【経験値×100】を呪いと誤解され追放された荷物持ち、最初の一匹でLv1からLv5へ 表紙

【経験値×100】を呪いと誤解され追放された荷物持ち、最初の一匹でLv1からLv5へ

十五歳のエルンは、神授の儀で【経験値×100】を授かった。だが神官に「レベルアップに必要な経験値が百倍になる呪い」と判定され、無能の荷物持ちとしてこき使われた末、パーティを追放されてしまう。 それでも、ひとつだけ腑に落ちないことがあった。水晶には「必要経験値」などと書かれていなかったのだ。 答えを確かめるため、エルンは短剣一本で角兎に挑む。泥臭い死闘の末、初めて自分の手で魔物を倒した瞬間――Lv1だった彼のレベルは、一気にLv5へ跳ね上がった。 増えていたのは、必要経験値ではない。魔物から得られる経験値の方だった。 昨日まで逃げるしかなかった魔物を倒し、迷宮を駆け、ギルドの常識を次々と塗り替えていくエルン。彼を切り捨てた元仲間が立ち尽くす一方で、エルンは新たな相棒とともに前へ進み続ける。 これは「一生レベルが上がらない」と笑われた少年が、戦うほど強くなる力で最強への道を駆け上がる、爽快成長ファンタジー。
ファンタジー 連載中 長編 R15
文字数:51,612
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす 表紙

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数:1,009,126