92 / 110
第四章 連合軍
第十二話 【王国】ギフト
しおりを挟む玉座の間を作った時には、使う事を考えていなかった。
ここが、俺の最後の場所になるとは・・・。
攻めてきた者たちは、玉座の前で休憩をしている。
様式美として作ったセーフエリアで休んでいる。
コアからの報告では、攻略を行っていた者たちは、セーフエリアで何かを見つけて、一人が戻っているようだ。
抜けた一人が戻って来るまで、セーフエリアで休むと決めているようだ。
時間が稼げるのは、俺たちとしてはありがたい。実際には、首の皮一枚で繋がっているような状態だ。3人で攻めてきても俺たちには勝ち目がない。
でも・・・。それでも・・・。
戦力差を考えれば、俺たちには勝ち目はない。
セーフエリアで休んでくれている間に時間が稼げているが、別れの時間が出来た・・・。違う。抗ってみよう。
負けるにしても、恥ずかしくない最後にしたいと考えている。覚悟は決まった。死にたくはないが・・・。
隣にコアが居る。一緒に滅んでくれる。
コアは言わないだろうが、俺には解る。
「コア」
「はい」
「残りのポイントを使って、魔物を召喚してくれ」
攻め込んできた者たちの強さから、ポイントが入ってくる量が違う。
王国の奴らが訓練で潜る一日のポイントが、数分で稼ぎ出されている。
それも、攻めてきている4人の半数だけのポイントの様だ。
二人は、魔物だと判定されている。誰の眷属になっているのか解らない。隠蔽されてしまっていて、俺では隠蔽を打ち破ることが出来ない。
「はっ。しかし・・・」
「解っている。見栄えがいい魔物を召喚して、玉座に並べてくれ、客人に手出しをしないように・・・。攻撃を控えるようしてくれ」
「わかりました」
「そうだな。10階層より深い場所に居る魔物を呼び寄せることはできるか?」
「可能です」
「手出し禁止に設定できるか?」
「可能ですが、ポイントを使います」
「そうか・・・。効率がいい方法はないのか?」
「玉座に繋がる部分を透明な壁で覆ってしまうほうがポイントの消費が少ないです」
「頼む」
「本当によろしいのですか?」
「あぁ様式美だ」
「承りました」
コアが綺麗なカーテンシーを決める。
最初に召喚して・・・。最初に見ただけだな。
そうか・・・。俺を”主人”と認めてくれているのだな。
眷属たちも、続々と玉座に集まってくる。眷属の部下たちも、俺に挨拶をする。コアが、場所を指定する。
皆の表情は、どこか明るい。
これから破滅が待っているのに・・・。不甲斐ない主人で悪かった。
「魔王様。10階層を除く階層主が揃いました。魔王様に挨拶を望んでいます」
眷属は、全員が揃っていない。各階層を見て回っている者が居る。
その者を除いて揃っている。
階層主も、俺が設定をした者も居れば、コアに召喚させた者も居る。
「わかった」
言葉がしゃべられるわけではないが、それぞれの階層主が俺に頭を下げる。
状況が解っているのか、神妙な表情をしている者も居る。
玉座を見回すと、階層主に連れられるように、魔物が整列を始める。
壮観だ。
そうか、俺はこれだけの者たちの命を預かっていたのだな。
最後になって、大事な・・・。最初に考えなければ・・・。愚かだな。負けて当然だな。
ダメ元で、交渉をしてみようか?
俺の命を差し出す代わりに・・・。
「魔王様。愚かな事を考えないでください」
「え?俺、声を出していた?」
「いえ、声には出ていませんでしたが、魔王様の考えそうなことは解ります。ご自分の命を差し出す代わりに、眷属たちを助けるように交渉をしようとしていますよね?」
「・・・。ダメか?」
「ダメです。受け入れられる可能性はありますが、ダメです。眷属だけではなく、階層主も、魔王様と一緒に逝くことを望んでいます」
涙が出そうだ。
コアの言葉で、階層主たちが、玉座に向かって跪いている。俺からの命令を待っている。
よく見ると、壁の向こう側に居る魔物たちも、跪いている。
「そうだな」
「はい」
最初に召喚した眷属が、玉座に姿を現した。
ブラックウルフだ。
勧められるままに、召喚した。
遊撃として、ダンジョンの中を部下のウルフ種たちを率いて、侵入者を屠っていた。
「魔王様?」
「ブラックウルフ!」
呼ばれてびっくりしたような表情を俺に向ける。
最後になってしまったのは、他の眷属や魔物たちが居ないか確認をしていた。
「コア。ブラックウルフに名付けをしたいが、ポイントは大丈夫か?」
「はい。まだ余剰があります」
コアの笑顔で、俺が間違っていないと把握できる。
「コア。人タイプの魔物で、女性型を狙って召喚ができるか?」
「難しいと思いますが・・・。やってみますか?」
「ブラックウルフの名付けに影響がない範囲で頼む。戦闘力は・・・。必要ない」
「はい」
召喚の魔法陣が展開される。
持っているのか・・・。女性が召喚された。狙った召喚が出来るのなら、こんなに嬉しい事はない。
「魔王様」
俺の前に跪いている。コアが立たせて、俺から見えない場所で、服を着せている。
もう一度やり直すようだ。
「魔王様」
「お前の名は、舎人娘子だ」
「はっ。私は、オオクチ。魔王様に忠誠を誓います」
「ブラックウルフ!最後の名付けになって、悪かったな」
”わふ”
「お前の名は、眞神だ」
二人とも真名は設定されている。呼び名の設定だけで大丈夫だ。
”ワフ!”
眞神が吠えると身体が光りだす。
進化の光だと思う。何度か、見ているが、ここで進化するのか?
2-3分で光が収まった。そこには、二回りほど大きくなって、黒が漆黒というべき色に変わった、眞神が座っていた。
「舎人」
「はっ」
「コア。舎人に、従魔術のスクロールを渡してくれ、あと、残っているスクロールを、眷属たちに分けてくれ」
「かしこまりました」
コアから、舎人がスクロールを受け取る。
使い方は、解るのだろう。すぐに使った。
これで、準備が出来た。
眞神が俺の眷属のまま、舎人の従魔になる。前に、試した時には、これで、眞神の意思が舎人経由で解るようになる。
舎人がスキルを使って、眞神を従魔にした。
”眷属の進化条件を満たしました。全ての眷属に祝福が配られます”
「え?コア!」
「はい。ダンジョン・コアからの声です。最下層に、眷属が集まった上に、魔王様を裏切る事で、進化条件が満たされたようです」
「え?俺?裏切られたの?」
「眷属だった、眞神が舎人に従属したので、”裏切られた”と判定されたのだと思います。眞神が、魔王様の眷属から外れています」
よくわからないが、戦力が増したのなら・・・。
コアを見るが、首を横に振っている。
俺の考えている事が解るのだろう。それで、横に首を振るというのは、それだけの戦力差がまだあるのだろう。
しかし、今の情報を・・・。
ダメだ。対価にならない。
「コア。客人は?」
「はい。セーフエリアで休憩を・・・。終わったようです。準備を始めています」
そうか、終わりが近づいてきているのだな。
こうなるのなら、王国に恭順を・・・。違うな。最初から間違えたのかもしれない。次があるとは思えないけど、次があれば・・・。
隣に居るコアが落ち着いた表情で俺を見ている。
そうだな。
俺が慌ててもしょうがない。
ドアが開けられた。
本当に、4人で来たのだな。
「招かれざる客人よ」
一人の少女が、中央を闊歩してくる。
堂々としている。
狐人族か?
そういえば、ダンジョンが出来たばかりの頃・・・。狐人族がダンジョンに逃げてきた。どうした?そうだ。王国に捕まると殺される可能性があると言っていたから、反対方向に逃がしたのだったな。
それから・・・。
「貴方が魔王ですか?」
「そうだ。貴殿たちは?」
「魔王ルブラン領。カプレカ島から来た。ミア。魔王に聞きたいことがある」
「え?」
聞きたい事?
俺に?何を?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる