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【第2部】23.不安
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その夜は久しぶりに抱き合った。
隣の部屋に聞こえてしまったんじゃないか、と思うほど二人は激しく愛し合った。何度も何度も聡子の身体をむさぼり、聡子もそれに答えた。
傷は薄くなっていたが、まだ痛々しさを感じた。
「痛くないか?」
「大丈夫ですよ」
たくさん触れ合ったあと、二人は一緒に、狭い風呂に入った。単身用アパートの浴室も当然単身用なので、二人で浴室に入るのは無理がある。
しかし二人は湯船に無理矢理浸かっていた。
「身体は痛くねえか? 傷にしみないのか」
「大丈夫ですよ」
「たくさん……痕つけちまって悪いな」
聡子を包むようにトモは座っている。
聡子の身体には、トモの痕跡が無数にあった。トモの身体にも聡子の痕跡がつけられていた。トモは自分では見えないが、背中には爪痕があった。
「わたしも……ごめんなさい。背中痛みますか?」
「いや痛まないよ。別に誰が見るわけでもねえし。むしろ、俺は嬉しい、かな」
「本当ですか?」
「ああ。なんかおまえと愛し合った証みたいだろ」
「恥ずかしいこと平気で言っちゃうんですから」
それより、と聡子が続ける。
「もっと広いお風呂がいいですね」
「ん? まあ悪くはねえと思うけど」
とトモは笑った。
ぎゅうぎゅうで、トモに包まれている。
背後から抱きしめられ、聡子は夢心地だった。
しかし、何かがお尻に当たっている感触に気付く。
「あの……智幸さん……当たって……ます……?」
「し、仕方ねえだろ」
トモの手が聡子の両胸を包む。
「わ、わざとですよね!?」
「この密度じゃしょうがねえだろ」
指先が先端に触れると、聡子は悶えた。
トモは指先の動きをやめない。
「やっぱりわざとだ……」
「だったら?」
首筋に唇で触れられ、胸に触れられ、その手が次第に蜜壷へと移る。
「湯の中でも濡れてるのわかるな」
「もぉ……」
「ん? 俺の可愛い聡子さんは抵抗しねえのかな?」
できるわけないですよ、と聡子は身悶えた。
クニクニと音が聞こえてくるようだ。
トモが胸を掴む度に、湯がちゃぷんちゃぷんと揺れる。
「なあ」
「はい……」
「……このまま、していいか?」
「え……こ、ここでですか?」
「ああ」
聡子は困惑したが、トモは聡子の敏感な場所を刺激し続ける。
「智幸さんがしたいなら、いいですよ」
二人は湯船の中では、トモの脚が長すぎて難しい。
聡子の腕を掴み、トモが立ち上がらせた。
「壁に手ついて」
「……うん」
「声、抑てくれるか?」
「……うん」
「もう、真夜中だからな」
「……うん」
深夜の浴室に、卑猥な交わりの音が響く。
聡子は必死で声を我慢し、二人は快感を得て行く。
後ろから突き上げられ、トモの猛々しさに悶える。
前を向かされ、片足を持ち上げられ、つながった部分が丸見えになっている。
(いやらしい格好してる……)
トモは、聡子にいろいろな体位をさせた。風呂でするのも初めてだが、いろんな体位も初めてだった。
(昔の女の人とはしたのかな)
「ほら何考えてるんだよ? 俺とのセックスに集中しろ」
別のことを考えているのを見抜かれてしまったかのようだった。
「……はいっ」
もう一度後ろを向かされ、秘部と胸を攻められる。
「挿れられながらこうされるの、好きだよな?」
「……好き……っ」
「ははっ……そうか」
嬉しそうなトモの声が後ろから聞こえる。
「……ゴムしてねえな」
浴室で突然始まった行為だ、何の準備もしていない。
「出して……ください……」
「……外に出すぞ?」
「……中には?」
「まだ中には出さねえ……中がいいのか?」
荒い息の中で、声も絶え絶えにトモは発した。
「……うん」
「ダメだ」
聡子の答えをすぐに拒絶した。
「順番は間違えるわけにはいかねぇよ」
以外に頑固なトモの声を聞いた。
「今は我慢だ。本気じゃない女とは避妊する。おまえは本気だけど……今じゃない。もう少し、待ってほしい」
「……はい」
二人はシャワーを浴びた。
「盛って悪かった」
「いえ……」
「なんか、我慢できなかった」
「……ふふ」
お互いの身体を拭き合い、浴室を出た。
「本当はもっともっとしてえけど、それじゃただの発情男みたいだからな」
「わたしは……智幸さんに上書きしてもらえたから、いい」
そんな智幸さんも含めて好きだし、と笑った。
「これからもっと上書きしてやるな」
「……はい」
「こんな俺でいいか?」
「今言いましたよね。それも含めて智幸さんが好き。智幸さんがいいんです。智幸さんは……わたしでいいんですか?」
「ああ」
大きく頷いた。
「美人でもないし、可愛くもないし、智幸さんより料理できないし、なんの取り柄もない女ですよ」
「俺にとっちゃ最高に可愛い女だぞ? いい乳してるし、乳だけじゃなくて、ケツも腰も、つーかいい身体してるしな。おまえの乳の写真を待ち受けにしてえくらいだ」
「な……っ……バカですか!?」
ふざけたトモの発言に、聡子はバスタオルを投げつけた。
「はは……それに、気が強くて我慢強いくせに、俺の前でだけ泣き虫で、俺にめちゃ惚れてるし、すぐヤキモチ妬くし。めちゃくちゃ可愛い。もう充分だ。おまえがいい。好きで好きでたまんえねえ」
「……そ、そんなこと言って! 恥ずかしくないですか?」
「恥ずかしがってろ」
顔に投げられたバスタオルを外し、にやりと笑った。
「恥ずかしがるおまえも可愛いしな」
「そんなこと言うの智幸さんだけですからね」
「俺だけでいいだろ」
「うん、まあ……そうなんですけどね」
聡子はもじもじとしながら智幸を見つめる。
「恥ずかしがって抱かれてる時の顔も、たまんねえしな」
「えっ」
聡子が下着を着けるのを、トモはにやにやしながら眺めている。
「恥ずかしい恥ずかしい、って言いながら俺のを必死で咥えてる時の顔は最高にエロい」
「え……」
「んでもって当然可愛い」
「もうっ、何回可愛いって言うんですか」
ばしっと手でトモの手を打つ。
「おまえが俺にまたがって腰振ってるのもいいな」
「いやらしい時ばっか!」
「眺めはいいし、形のいい乳が揺れてさ、あー俺最高……っていつも思う」
「もうっ最低!」
「俺だけの特権だと思うと、世界中に自慢したくなる」
しなくていいです、と聡子は部屋着に着替え終わり、もう一度トモの腕を叩いた。
「セックスの時だけじゃなくてさ。気が強いのに人に優しい所とか、たまに甘えてくるところとかさ。あと童顔のおまえが笑う顔は……めちゃくちゃ好きだからな」
「あ、ありがとうございます」
「俺の好きなところ言ってみろ」
えー、と聡子は笑う。
「言えよ」
「全部ですかね」
「全部? 具体的に」
口を尖らせ、トモは聡子にすり寄ってきた。
「だから、全部」
「ほら具体的に。俺は言っただろ」
「別に言ってくださいなんて頼んでないし」
「なんだそりゃ」
このやろう、と聡子を抱き竦めた。
「……全部、全部、好き」
「わかった」
「ぶっきら棒だけど、とっても優しくて、言葉遣いもいいとは言えないけど、ちゃんと伝えてくれるところとか、あと、背が高くて、細身なのに筋肉もあって、強面なのに笑うとめちゃくちゃ可愛くて、女好きなのに、わたしだけって言ってくれて、あと、頭をぽんぽんって撫でてくれるのとか、髪を撫でてくれるのとかも……好きだし」
「……そうか」
「エッチで節操なくて、たぶんセックスが上手で、女の人を虜にするのも上手なんだと思うけど、それも含めて……全部」
「そ、そうか。なんか褒められてんのかけなされてんのかわからねえ部分もあったけど」
「大好きです」
「俺も」
聡子を抱き締め、髪をそっと撫でた。聡子はトモの胸に顔を埋めた。
「そばにいろよ」
「……はい」
聡子が顔を上げ、目を閉じると、とトモはキスを落とした。
隣の部屋に聞こえてしまったんじゃないか、と思うほど二人は激しく愛し合った。何度も何度も聡子の身体をむさぼり、聡子もそれに答えた。
傷は薄くなっていたが、まだ痛々しさを感じた。
「痛くないか?」
「大丈夫ですよ」
たくさん触れ合ったあと、二人は一緒に、狭い風呂に入った。単身用アパートの浴室も当然単身用なので、二人で浴室に入るのは無理がある。
しかし二人は湯船に無理矢理浸かっていた。
「身体は痛くねえか? 傷にしみないのか」
「大丈夫ですよ」
「たくさん……痕つけちまって悪いな」
聡子を包むようにトモは座っている。
聡子の身体には、トモの痕跡が無数にあった。トモの身体にも聡子の痕跡がつけられていた。トモは自分では見えないが、背中には爪痕があった。
「わたしも……ごめんなさい。背中痛みますか?」
「いや痛まないよ。別に誰が見るわけでもねえし。むしろ、俺は嬉しい、かな」
「本当ですか?」
「ああ。なんかおまえと愛し合った証みたいだろ」
「恥ずかしいこと平気で言っちゃうんですから」
それより、と聡子が続ける。
「もっと広いお風呂がいいですね」
「ん? まあ悪くはねえと思うけど」
とトモは笑った。
ぎゅうぎゅうで、トモに包まれている。
背後から抱きしめられ、聡子は夢心地だった。
しかし、何かがお尻に当たっている感触に気付く。
「あの……智幸さん……当たって……ます……?」
「し、仕方ねえだろ」
トモの手が聡子の両胸を包む。
「わ、わざとですよね!?」
「この密度じゃしょうがねえだろ」
指先が先端に触れると、聡子は悶えた。
トモは指先の動きをやめない。
「やっぱりわざとだ……」
「だったら?」
首筋に唇で触れられ、胸に触れられ、その手が次第に蜜壷へと移る。
「湯の中でも濡れてるのわかるな」
「もぉ……」
「ん? 俺の可愛い聡子さんは抵抗しねえのかな?」
できるわけないですよ、と聡子は身悶えた。
クニクニと音が聞こえてくるようだ。
トモが胸を掴む度に、湯がちゃぷんちゃぷんと揺れる。
「なあ」
「はい……」
「……このまま、していいか?」
「え……こ、ここでですか?」
「ああ」
聡子は困惑したが、トモは聡子の敏感な場所を刺激し続ける。
「智幸さんがしたいなら、いいですよ」
二人は湯船の中では、トモの脚が長すぎて難しい。
聡子の腕を掴み、トモが立ち上がらせた。
「壁に手ついて」
「……うん」
「声、抑てくれるか?」
「……うん」
「もう、真夜中だからな」
「……うん」
深夜の浴室に、卑猥な交わりの音が響く。
聡子は必死で声を我慢し、二人は快感を得て行く。
後ろから突き上げられ、トモの猛々しさに悶える。
前を向かされ、片足を持ち上げられ、つながった部分が丸見えになっている。
(いやらしい格好してる……)
トモは、聡子にいろいろな体位をさせた。風呂でするのも初めてだが、いろんな体位も初めてだった。
(昔の女の人とはしたのかな)
「ほら何考えてるんだよ? 俺とのセックスに集中しろ」
別のことを考えているのを見抜かれてしまったかのようだった。
「……はいっ」
もう一度後ろを向かされ、秘部と胸を攻められる。
「挿れられながらこうされるの、好きだよな?」
「……好き……っ」
「ははっ……そうか」
嬉しそうなトモの声が後ろから聞こえる。
「……ゴムしてねえな」
浴室で突然始まった行為だ、何の準備もしていない。
「出して……ください……」
「……外に出すぞ?」
「……中には?」
「まだ中には出さねえ……中がいいのか?」
荒い息の中で、声も絶え絶えにトモは発した。
「……うん」
「ダメだ」
聡子の答えをすぐに拒絶した。
「順番は間違えるわけにはいかねぇよ」
以外に頑固なトモの声を聞いた。
「今は我慢だ。本気じゃない女とは避妊する。おまえは本気だけど……今じゃない。もう少し、待ってほしい」
「……はい」
二人はシャワーを浴びた。
「盛って悪かった」
「いえ……」
「なんか、我慢できなかった」
「……ふふ」
お互いの身体を拭き合い、浴室を出た。
「本当はもっともっとしてえけど、それじゃただの発情男みたいだからな」
「わたしは……智幸さんに上書きしてもらえたから、いい」
そんな智幸さんも含めて好きだし、と笑った。
「これからもっと上書きしてやるな」
「……はい」
「こんな俺でいいか?」
「今言いましたよね。それも含めて智幸さんが好き。智幸さんがいいんです。智幸さんは……わたしでいいんですか?」
「ああ」
大きく頷いた。
「美人でもないし、可愛くもないし、智幸さんより料理できないし、なんの取り柄もない女ですよ」
「俺にとっちゃ最高に可愛い女だぞ? いい乳してるし、乳だけじゃなくて、ケツも腰も、つーかいい身体してるしな。おまえの乳の写真を待ち受けにしてえくらいだ」
「な……っ……バカですか!?」
ふざけたトモの発言に、聡子はバスタオルを投げつけた。
「はは……それに、気が強くて我慢強いくせに、俺の前でだけ泣き虫で、俺にめちゃ惚れてるし、すぐヤキモチ妬くし。めちゃくちゃ可愛い。もう充分だ。おまえがいい。好きで好きでたまんえねえ」
「……そ、そんなこと言って! 恥ずかしくないですか?」
「恥ずかしがってろ」
顔に投げられたバスタオルを外し、にやりと笑った。
「恥ずかしがるおまえも可愛いしな」
「そんなこと言うの智幸さんだけですからね」
「俺だけでいいだろ」
「うん、まあ……そうなんですけどね」
聡子はもじもじとしながら智幸を見つめる。
「恥ずかしがって抱かれてる時の顔も、たまんねえしな」
「えっ」
聡子が下着を着けるのを、トモはにやにやしながら眺めている。
「恥ずかしい恥ずかしい、って言いながら俺のを必死で咥えてる時の顔は最高にエロい」
「え……」
「んでもって当然可愛い」
「もうっ、何回可愛いって言うんですか」
ばしっと手でトモの手を打つ。
「おまえが俺にまたがって腰振ってるのもいいな」
「いやらしい時ばっか!」
「眺めはいいし、形のいい乳が揺れてさ、あー俺最高……っていつも思う」
「もうっ最低!」
「俺だけの特権だと思うと、世界中に自慢したくなる」
しなくていいです、と聡子は部屋着に着替え終わり、もう一度トモの腕を叩いた。
「セックスの時だけじゃなくてさ。気が強いのに人に優しい所とか、たまに甘えてくるところとかさ。あと童顔のおまえが笑う顔は……めちゃくちゃ好きだからな」
「あ、ありがとうございます」
「俺の好きなところ言ってみろ」
えー、と聡子は笑う。
「言えよ」
「全部ですかね」
「全部? 具体的に」
口を尖らせ、トモは聡子にすり寄ってきた。
「だから、全部」
「ほら具体的に。俺は言っただろ」
「別に言ってくださいなんて頼んでないし」
「なんだそりゃ」
このやろう、と聡子を抱き竦めた。
「……全部、全部、好き」
「わかった」
「ぶっきら棒だけど、とっても優しくて、言葉遣いもいいとは言えないけど、ちゃんと伝えてくれるところとか、あと、背が高くて、細身なのに筋肉もあって、強面なのに笑うとめちゃくちゃ可愛くて、女好きなのに、わたしだけって言ってくれて、あと、頭をぽんぽんって撫でてくれるのとか、髪を撫でてくれるのとかも……好きだし」
「……そうか」
「エッチで節操なくて、たぶんセックスが上手で、女の人を虜にするのも上手なんだと思うけど、それも含めて……全部」
「そ、そうか。なんか褒められてんのかけなされてんのかわからねえ部分もあったけど」
「大好きです」
「俺も」
聡子を抱き締め、髪をそっと撫でた。聡子はトモの胸に顔を埋めた。
「そばにいろよ」
「……はい」
聡子が顔を上げ、目を閉じると、とトモはキスを落とした。
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