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【孝太郎×香穂編】
7.遠距離
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それから、二人はまた遠距離に戻った。
「好き」とは言ったものの、相変わらずの関係だ。
孝太郎からのメッセージの返信は少ない。
しかし以前よりは多くなったし、孝太郎からのメッセージも増えた。
時間もかなり遅かったりするが、香穂は満足だった。
高校生の頃のようなドキドキがあることは否めない。
そして、前よりきれいになったね、と友達や同僚から言われるようになった。
「彼氏できたの?」
「うん……まぁ」
やはり女は敏感だった。
すぐに察知されてしまう。
(だけど、恋人って言っていいのかなあ)
と香穂は悶々としていた。
香穂がアパート来た翌朝、香穂と歩いているのをチームメイトたちが目撃していたらしく、孝太郎は冷やかしを受ける羽目になっていた。
「前に試合のあとに見た、地元の彼女だろ」
と冷やかされた。
「なんだよ結局彼女だったのかよ」
孝太郎は、やんやと責められてしまった。
でも、不快ではなかった。
冷やかされるのもまんざらではない。
彩織の時にはなかったことだ。
そういうチームメイトたちも、彼女持ちは多いし、今まで、散々チームメイトたちには自慢されている。
「なあ、どんな人なの?」
と尋ねられれば、孝太郎はぽつぽつと答える。
「美人で、器用で、料理も上手いし、気遣いも抜群な人かな。でも、気を遣いすぎて損するタイプなんだよなあ……そういうところが不器用かな。あと、俺の嫌いな野菜食べさせようとするしなあ……」
というと、ボスッと背中を殴られた。
「惚気だな」
「別にそんなつもりじゃ……。ほんとのこと言っただけだろ。おまえらだって自慢ばっかしてるくせに」
反論する孝太郎だ。
「とにかく何やってもすんごく可愛いから、いいの」
自覚はないかが、でれでれしながら孝太郎は反論した。
「うわー相当な入れ込みようだな……」
「火傷するわ」
周囲は笑っている。
妬まれているわけではないことに、正直安心した。
「そういやあ、写真はないのか」
と言われ、そういえばないことに気がついた。
あるはずもない。
最近付き合いはじめたばかりなのだし。
二人で出かけたことなんてないし、初めて出かけたのは初詣の時である。
子供の頃の写真くらいしかないな、と苦笑する。実家のアルバム漁らないといけないレベルだ。
「ま、あっても、おまえたちには見せない」
「なんでだよ」
「減る」
またボコボコと叩かれる。
叩かれながら、今度写真を撮ろうと画策する孝太郎だった。
二年生への進級が決まり、春休みとになった。
今度は孝太郎が丸一日休みをとれることになり、香穂がまたアパートに来ることになった。
どこか行こうよ、という孝太郎だったが、孝太郎の大学周辺には特に遊ぶ場所のないことに気がついた。
「いいよ別に。どこか行かなくても。孝太郎君と一緒ならどこだっていいよ」
「嬉しいこと言ってくれる……」
(そういうところ、大人っていうか、経験者っていうか)
香穂は孝太郎の買い物につきあってくれることになった。
ショッピングセンターをぶーらぶらする。
香穂に、何か買ってあげたいなと思う孝太郎だ。
香穂は美人だが、派手ではない。
シンプルな美人だった。
好みもよく知らないし、何をあげたらいいか悩んでしまう。
考え抜いたあげく、彼は小銭入れを選んだ。
いつも持っていてくれそうなものということで思いついたのだ。
香穂が別の買い物をしている隙に、購入した。
欲しいものの買い物をしたあとは、一旦アパートに戻ることにいた。
午後はのんびり、DVDを見たり、二人はのんびり過ごしたのだった。
そして今度は自転車で、近くのスーパーに夕食の買出しに行くことにした。
「孝太郎君は何か食べたいものない?」
「そうだなあ……、あっ」
孝太郎は鍋をリクエストした。
簡単だね、と彼女は笑う。
控え目な笑い方だ。
学校の女子では見かけないような、上品……というか、大人のような落ち着いた笑い方だった。
「野菜もたくさん入れて、量もたくさん食べられるし、野菜嫌いでも食べれる。一人では食べることができないから」
と孝太郎は答えた。
「じゃあ、これも入れようか」
と香穂はににやりと笑う、手にしたのはにんじんだ。
「にんじんも入れていいよ、食べられるようになったから」
「水菜は入れないとね」
と二人は新婚夫婦のように仲良く買い物をした。
野菜や生肉コーナーをうろうろしたあと会計を済ませ、袋に品物を詰める。
「たくさん食べれそうだ」
「……ねえ、孝太郎君」
「ん?」
「あのね、さっきからすごく視線感じるの。ずっとこっち見てるんだけど、もしかして知り合いじゃない?」
「どこ?」
香穂の視線の示すほうをちらりと見やると、孝太郎はその視線を送る人物達を見て嫌な顔をした。
「知ってる人?」
「……大学の友達。げえー……。香穂さん、さっさと行くよ」
同じ大学の同級生やチームメイトたちだった。
目が合うと、にやにやした顔をしていた。
香穂も目が合ったようで、知り合いと聞いてからは、会釈をしている。
荷物と香穂の腕を取り、そそくさと店を出る。
「振り返っちゃだめだぞ」
「う、うん」
そそくさと香穂の手をひいて、まるで逃げるように孝太郎は歩く。
自転車に荷物を乗せ、二人乗りは禁止だが、後ろに香穂を乗せた。
「友達なんでしょう?」
「あいつら、香穂さんが美人だからすげー鼻の下伸ばしてた」
「そう?」
彼らは、噂の美人の彼女の香穂を目撃し、目を丸くさせた後、にやにやしていた。
香穂と仲良く買い物をしているところをずっと見ていたのだろう。
「いい? 声かけられても絶対無視だよ」
「別に声かけられてないよ」
と香穂は笑った。
「見られてたじゃん。とにかく。あいつらに香穂さんを見せたくないの。勿体無い。香穂さんが減るだろ」
そんなわけないでしょ、と笑う香穂だ。
ようやく、二人はアパートに辿り着いた。
「好き」とは言ったものの、相変わらずの関係だ。
孝太郎からのメッセージの返信は少ない。
しかし以前よりは多くなったし、孝太郎からのメッセージも増えた。
時間もかなり遅かったりするが、香穂は満足だった。
高校生の頃のようなドキドキがあることは否めない。
そして、前よりきれいになったね、と友達や同僚から言われるようになった。
「彼氏できたの?」
「うん……まぁ」
やはり女は敏感だった。
すぐに察知されてしまう。
(だけど、恋人って言っていいのかなあ)
と香穂は悶々としていた。
香穂がアパート来た翌朝、香穂と歩いているのをチームメイトたちが目撃していたらしく、孝太郎は冷やかしを受ける羽目になっていた。
「前に試合のあとに見た、地元の彼女だろ」
と冷やかされた。
「なんだよ結局彼女だったのかよ」
孝太郎は、やんやと責められてしまった。
でも、不快ではなかった。
冷やかされるのもまんざらではない。
彩織の時にはなかったことだ。
そういうチームメイトたちも、彼女持ちは多いし、今まで、散々チームメイトたちには自慢されている。
「なあ、どんな人なの?」
と尋ねられれば、孝太郎はぽつぽつと答える。
「美人で、器用で、料理も上手いし、気遣いも抜群な人かな。でも、気を遣いすぎて損するタイプなんだよなあ……そういうところが不器用かな。あと、俺の嫌いな野菜食べさせようとするしなあ……」
というと、ボスッと背中を殴られた。
「惚気だな」
「別にそんなつもりじゃ……。ほんとのこと言っただけだろ。おまえらだって自慢ばっかしてるくせに」
反論する孝太郎だ。
「とにかく何やってもすんごく可愛いから、いいの」
自覚はないかが、でれでれしながら孝太郎は反論した。
「うわー相当な入れ込みようだな……」
「火傷するわ」
周囲は笑っている。
妬まれているわけではないことに、正直安心した。
「そういやあ、写真はないのか」
と言われ、そういえばないことに気がついた。
あるはずもない。
最近付き合いはじめたばかりなのだし。
二人で出かけたことなんてないし、初めて出かけたのは初詣の時である。
子供の頃の写真くらいしかないな、と苦笑する。実家のアルバム漁らないといけないレベルだ。
「ま、あっても、おまえたちには見せない」
「なんでだよ」
「減る」
またボコボコと叩かれる。
叩かれながら、今度写真を撮ろうと画策する孝太郎だった。
二年生への進級が決まり、春休みとになった。
今度は孝太郎が丸一日休みをとれることになり、香穂がまたアパートに来ることになった。
どこか行こうよ、という孝太郎だったが、孝太郎の大学周辺には特に遊ぶ場所のないことに気がついた。
「いいよ別に。どこか行かなくても。孝太郎君と一緒ならどこだっていいよ」
「嬉しいこと言ってくれる……」
(そういうところ、大人っていうか、経験者っていうか)
香穂は孝太郎の買い物につきあってくれることになった。
ショッピングセンターをぶーらぶらする。
香穂に、何か買ってあげたいなと思う孝太郎だ。
香穂は美人だが、派手ではない。
シンプルな美人だった。
好みもよく知らないし、何をあげたらいいか悩んでしまう。
考え抜いたあげく、彼は小銭入れを選んだ。
いつも持っていてくれそうなものということで思いついたのだ。
香穂が別の買い物をしている隙に、購入した。
欲しいものの買い物をしたあとは、一旦アパートに戻ることにいた。
午後はのんびり、DVDを見たり、二人はのんびり過ごしたのだった。
そして今度は自転車で、近くのスーパーに夕食の買出しに行くことにした。
「孝太郎君は何か食べたいものない?」
「そうだなあ……、あっ」
孝太郎は鍋をリクエストした。
簡単だね、と彼女は笑う。
控え目な笑い方だ。
学校の女子では見かけないような、上品……というか、大人のような落ち着いた笑い方だった。
「野菜もたくさん入れて、量もたくさん食べられるし、野菜嫌いでも食べれる。一人では食べることができないから」
と孝太郎は答えた。
「じゃあ、これも入れようか」
と香穂はににやりと笑う、手にしたのはにんじんだ。
「にんじんも入れていいよ、食べられるようになったから」
「水菜は入れないとね」
と二人は新婚夫婦のように仲良く買い物をした。
野菜や生肉コーナーをうろうろしたあと会計を済ませ、袋に品物を詰める。
「たくさん食べれそうだ」
「……ねえ、孝太郎君」
「ん?」
「あのね、さっきからすごく視線感じるの。ずっとこっち見てるんだけど、もしかして知り合いじゃない?」
「どこ?」
香穂の視線の示すほうをちらりと見やると、孝太郎はその視線を送る人物達を見て嫌な顔をした。
「知ってる人?」
「……大学の友達。げえー……。香穂さん、さっさと行くよ」
同じ大学の同級生やチームメイトたちだった。
目が合うと、にやにやした顔をしていた。
香穂も目が合ったようで、知り合いと聞いてからは、会釈をしている。
荷物と香穂の腕を取り、そそくさと店を出る。
「振り返っちゃだめだぞ」
「う、うん」
そそくさと香穂の手をひいて、まるで逃げるように孝太郎は歩く。
自転車に荷物を乗せ、二人乗りは禁止だが、後ろに香穂を乗せた。
「友達なんでしょう?」
「あいつら、香穂さんが美人だからすげー鼻の下伸ばしてた」
「そう?」
彼らは、噂の美人の彼女の香穂を目撃し、目を丸くさせた後、にやにやしていた。
香穂と仲良く買い物をしているところをずっと見ていたのだろう。
「いい? 声かけられても絶対無視だよ」
「別に声かけられてないよ」
と香穂は笑った。
「見られてたじゃん。とにかく。あいつらに香穂さんを見せたくないの。勿体無い。香穂さんが減るだろ」
そんなわけないでしょ、と笑う香穂だ。
ようやく、二人はアパートに辿り着いた。
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