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第6話 謎のスキル
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「<デスブレード>のスキルを得たリヒト様は、勇者と同等の力を持っていると言っても、過言じゃございません」
「……」
俺が、勇者と・・・・・・同等?
「我々は、リヒト様を勇者よりさらに上のクラス『魔勇者』となり得る存在だと考えております」
「魔勇者……」
そんなものがいるのか。
「歴史において、ただ一人その名を冠したものがおります。
かの魔王『クリムゾンブレアー』の側近、シュバルツ……」
恍惚として、その名を告げるザラストロ。
「……」
「我々は、リヒト様を魔勇者として、迎え入れたいと考えておるのですよ……」
「そういうのは、性に合わないな・・・・・・」
とりあえず断っておく。
ついさっきも、パーティーの連中からあっさり裏切られたからな。
俺の言葉に、ザラストロは涼しい顔をして、
「では、魔勇者リヒトさま、我々の王として、最初の仕事です」
「なんだ?」
「目の前の、魔王を始末してください」
「……」
動揺を悟られないように、俺は傍らの少女を見る。
「本当は、我々が行ってもいいのですが、やはり魔勇者様自ら、先代の魔王を手にかけることによって、王となるのが、周りの魔族たちも納得なさる手順かと」
俺は、ザラストロの顔を見る。
(さっき、全部俺のスキルを言わなくてよかったな)
「……ザラストロ、とか言ったな」
「はい」
「何を隠している?」
ザラストロの顔が引きつる。
「……何のことですかな?」
「この少女は何者だ。魔王でないことは明白だろう」
「明白?」
「魔王でないものを、俺に処理させて、何をするつもりだった?」
「これは異なる事をおっしゃる。なにゆえ、そんなことをおっしゃる?」
ザラストロは顔色を変えない。
(’流石に、こちらの見え透いたブラフには引っかかってくれないか)
確かに、この少女が魔王ではないという、確たる証拠などない。
しかし、俺が実際に剣を合わせた感触。
彼女からは、何も感じなかった。
魔王と名乗る存在の備えているべき最低限の力。
――そういうものは、素人の俺だって、一端は知ることができるはずだ。
それに、身につけている防具も、何の魔力も持たないガラクタだ。
印象が、あまりにも違いすぎる。
「……このようなレクチャーをする暇は、本当はないのですが」
ややあって、ザラストロが口を開く。
「あなたがた人間がご存知のように、魔軍の統率者を『魔王』と呼びます。
しかしその能力は一様のものではないのですよ」
「強い魔王もいるなら、弱い魔王もいると?」
「名実ともに最強格の魔王『クリムゾンブレアー』『蒼龍』などの名は、あなたがた人間も聞き及んでいらっしゃるでしょう」
――そういう名前は聞いたことがある。
伝説級の魔王。
たった一体で、人の歴史もねじ曲げることができる。
ありえない究極の存在。
「ですが、そうではないものもいる。
リヒト様が、この女の実力が「魔王」という名に相応しくないことを疑念に持っていらっしゃるのならば、それが答えかと」
「……」
「そして、力が弱い主を我々が抱いていたという事実こそ、リヒト様に新たな魔王になって欲しいと、我々が望む理由なのですよ」
ザラストロの眼が光る。
「……」
「我々は、強力な魔王を首班に頂き、魔軍としてのさらなる発展をしたいと考えております……リヒト様、何卒」
慇懃な笑みを浮かべるザラストロ。
「……信頼できないな」
「何故?」
「この少女は……ああそうだ、この少女は……」
(そうだ)
その時、俺は先ほどの戦いの一場面を思い出していた。
「この少女は――何かの力、そう、特殊な<スキル>を持っているはずだ」
「……」
「ヴァイスとの争いの最中、炎の強力なスキルが放たれた。
そう……『獄炎』とかいったか……」
「……」
「だが、そのスキルは俺の手前で消えてしまった。
ありえない。何らかの干渉がなければ、スキルが消失するなんてことはない」
「リヒト様が入手なさったのでは?」
ザラストロが穏やかに告げる。
「何だと?」
「〈デスブレード〉の際もそうでありましたが、リヒト様がスキルを入手なさる際、対象のスキルは消失するようです。
同じように、その〈獄炎〉というスキルを、習得なさったのでは」
「それはあり得ない」
「何故?」
「俺の<空欄>には、〈デスブレード〉がすでに3つ入っている。
すでにスキルが埋まった状態で、新たなスキルを得ることはできない。頭の働きが鈍いな、魔族というやつは」
「お言葉ですが、リヒト様のスキルは不明な点も多い。何か不思議な誤作動が起こり〈獄炎〉とやらの消失のみが起こった、と言うことも考えられるかと」
「不明な点が多くとも、何かしらのルールには則っているだろう。
何でもかんでもあり、というのは客観的な態度ではないな。魔族の知性というのは、その程度のものなのか」
あからさまな挑発をするが、ザラストロは顔色を変えない。
――ちなみに、この時点、俺は嘘をついている。
俺の「現在」のスキルは<デスブレード>が一つ、それから正体不明の<キングダムヒール><クォンタムテレポーテーション>というスキルがあるだけだ。
だが、徐に思い出してきた記憶によると、俺は<獄炎>の後で、何発か<デスブレード>を放っている。
だから、<獄炎>の放たれたとき――そして、この少女が何らかのスキルを使ったとき、俺のステータスはすべて<デスブレード>で埋まっていたと考えるのは適当だ。
完全に正しいわけではないが、辻褄は合っている。
魔族ごときに、本当のことを言ってたまるものか。
「そういうわけで、俺が入手することで<獄炎>を帳消しにしたということはありえない。
第一、それならば俺のステータスに<獄炎>があるか、俺がどこかの時点で<獄炎>を使用しているはずだろう。そんな記憶はない」
「……」
「この少女は、何らかのスキルを無効化するスキルを持っている。それは、お前たちには危険なものなのだ。だから、俺に処理させようとしている」
「……」
「加えて言うなら、やはりこの少女は魔王ではないな。違うか」
「……」
またも、はったり。
ブラフ。
何の根拠もない。
これこそ、ただの直感だ。
「何らかの手段――おそらくスキルを使用することで、俺たちを葬り去ろうとする、そのためだけに用意された捨て駒……そうだ……」
俺の中で、記憶が蘇る。
あの<獄炎>とやらの攻撃を受けた直後。
少女がなんと言ったか。
「そうだ……<反射>とか言っていた……」
「……」
「<反射>……そいつが、この子のスキルなんだな」
「う……ううん……」
「……」
俺が、勇者と・・・・・・同等?
「我々は、リヒト様を勇者よりさらに上のクラス『魔勇者』となり得る存在だと考えております」
「魔勇者……」
そんなものがいるのか。
「歴史において、ただ一人その名を冠したものがおります。
かの魔王『クリムゾンブレアー』の側近、シュバルツ……」
恍惚として、その名を告げるザラストロ。
「……」
「我々は、リヒト様を魔勇者として、迎え入れたいと考えておるのですよ……」
「そういうのは、性に合わないな・・・・・・」
とりあえず断っておく。
ついさっきも、パーティーの連中からあっさり裏切られたからな。
俺の言葉に、ザラストロは涼しい顔をして、
「では、魔勇者リヒトさま、我々の王として、最初の仕事です」
「なんだ?」
「目の前の、魔王を始末してください」
「……」
動揺を悟られないように、俺は傍らの少女を見る。
「本当は、我々が行ってもいいのですが、やはり魔勇者様自ら、先代の魔王を手にかけることによって、王となるのが、周りの魔族たちも納得なさる手順かと」
俺は、ザラストロの顔を見る。
(さっき、全部俺のスキルを言わなくてよかったな)
「……ザラストロ、とか言ったな」
「はい」
「何を隠している?」
ザラストロの顔が引きつる。
「……何のことですかな?」
「この少女は何者だ。魔王でないことは明白だろう」
「明白?」
「魔王でないものを、俺に処理させて、何をするつもりだった?」
「これは異なる事をおっしゃる。なにゆえ、そんなことをおっしゃる?」
ザラストロは顔色を変えない。
(’流石に、こちらの見え透いたブラフには引っかかってくれないか)
確かに、この少女が魔王ではないという、確たる証拠などない。
しかし、俺が実際に剣を合わせた感触。
彼女からは、何も感じなかった。
魔王と名乗る存在の備えているべき最低限の力。
――そういうものは、素人の俺だって、一端は知ることができるはずだ。
それに、身につけている防具も、何の魔力も持たないガラクタだ。
印象が、あまりにも違いすぎる。
「……このようなレクチャーをする暇は、本当はないのですが」
ややあって、ザラストロが口を開く。
「あなたがた人間がご存知のように、魔軍の統率者を『魔王』と呼びます。
しかしその能力は一様のものではないのですよ」
「強い魔王もいるなら、弱い魔王もいると?」
「名実ともに最強格の魔王『クリムゾンブレアー』『蒼龍』などの名は、あなたがた人間も聞き及んでいらっしゃるでしょう」
――そういう名前は聞いたことがある。
伝説級の魔王。
たった一体で、人の歴史もねじ曲げることができる。
ありえない究極の存在。
「ですが、そうではないものもいる。
リヒト様が、この女の実力が「魔王」という名に相応しくないことを疑念に持っていらっしゃるのならば、それが答えかと」
「……」
「そして、力が弱い主を我々が抱いていたという事実こそ、リヒト様に新たな魔王になって欲しいと、我々が望む理由なのですよ」
ザラストロの眼が光る。
「……」
「我々は、強力な魔王を首班に頂き、魔軍としてのさらなる発展をしたいと考えております……リヒト様、何卒」
慇懃な笑みを浮かべるザラストロ。
「……信頼できないな」
「何故?」
「この少女は……ああそうだ、この少女は……」
(そうだ)
その時、俺は先ほどの戦いの一場面を思い出していた。
「この少女は――何かの力、そう、特殊な<スキル>を持っているはずだ」
「……」
「ヴァイスとの争いの最中、炎の強力なスキルが放たれた。
そう……『獄炎』とかいったか……」
「……」
「だが、そのスキルは俺の手前で消えてしまった。
ありえない。何らかの干渉がなければ、スキルが消失するなんてことはない」
「リヒト様が入手なさったのでは?」
ザラストロが穏やかに告げる。
「何だと?」
「〈デスブレード〉の際もそうでありましたが、リヒト様がスキルを入手なさる際、対象のスキルは消失するようです。
同じように、その〈獄炎〉というスキルを、習得なさったのでは」
「それはあり得ない」
「何故?」
「俺の<空欄>には、〈デスブレード〉がすでに3つ入っている。
すでにスキルが埋まった状態で、新たなスキルを得ることはできない。頭の働きが鈍いな、魔族というやつは」
「お言葉ですが、リヒト様のスキルは不明な点も多い。何か不思議な誤作動が起こり〈獄炎〉とやらの消失のみが起こった、と言うことも考えられるかと」
「不明な点が多くとも、何かしらのルールには則っているだろう。
何でもかんでもあり、というのは客観的な態度ではないな。魔族の知性というのは、その程度のものなのか」
あからさまな挑発をするが、ザラストロは顔色を変えない。
――ちなみに、この時点、俺は嘘をついている。
俺の「現在」のスキルは<デスブレード>が一つ、それから正体不明の<キングダムヒール><クォンタムテレポーテーション>というスキルがあるだけだ。
だが、徐に思い出してきた記憶によると、俺は<獄炎>の後で、何発か<デスブレード>を放っている。
だから、<獄炎>の放たれたとき――そして、この少女が何らかのスキルを使ったとき、俺のステータスはすべて<デスブレード>で埋まっていたと考えるのは適当だ。
完全に正しいわけではないが、辻褄は合っている。
魔族ごときに、本当のことを言ってたまるものか。
「そういうわけで、俺が入手することで<獄炎>を帳消しにしたということはありえない。
第一、それならば俺のステータスに<獄炎>があるか、俺がどこかの時点で<獄炎>を使用しているはずだろう。そんな記憶はない」
「……」
「この少女は、何らかのスキルを無効化するスキルを持っている。それは、お前たちには危険なものなのだ。だから、俺に処理させようとしている」
「……」
「加えて言うなら、やはりこの少女は魔王ではないな。違うか」
「……」
またも、はったり。
ブラフ。
何の根拠もない。
これこそ、ただの直感だ。
「何らかの手段――おそらくスキルを使用することで、俺たちを葬り去ろうとする、そのためだけに用意された捨て駒……そうだ……」
俺の中で、記憶が蘇る。
あの<獄炎>とやらの攻撃を受けた直後。
少女がなんと言ったか。
「そうだ……<反射>とか言っていた……」
「……」
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