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第35話 採掘の再開
しおりを挟む自分でも、どこに何が書いてあるのか。わからなくなって来たので、タイトルつけました。
* * *
翌日。
今度は、魔石や鉱石の採掘を、再開することになった。
オレは、レギンさんたちドワーフに連れられて、薄暗い坑道に入った。
レギンさんは、元Sクラスの冒険者だが、鍛冶錬金でも、超一流の職人だそうだ。
なにしろ、『レギン工房』を知らないひとはいないらしい。
ミルフィーユ領では、『鍛冶錬金ギルド』のギルドマスターでもある。
「なんとも、はかどるのう」
「こんな楽な採掘は、はじめてじゃ」
「魔物のことを考えんでもいいのは、助かるのう」
軽快な金属音とともに、つぎつぎと、魔石や鉱石が掘り出されてくる。
たぶん、採掘道具が、高度な魔道具なのだろう。
ガツンっと一振りするだけで、ゴロゴロと岩がくずれ落ちてくるのだから。
岩のなかには、鮮やかに輝く石が混じっている。
素人のオレにも、それが、貴重な原石であることがわかった。
オレは、岩から削り出された原石を、例の『ピンクのクマポシェット』に放り込んでいった。
無限収納ではないらしいが、かなり入るのは間違いない。
「おお、それは、ケンイチ殿の収納じゃな」
「なるほど。おぬしが、『後継者』なんじゃな」
なんの、後継者なのか。聞くのが怖かった。
オレが、勇者じゃないことは、みんな、ちゃんと知ってるのだし。
「ケンイチ殿も、よき後継者をみつけたもんじゃ」
「おぬしも、なかなか、腹の据わった男よのう」
「若いのに、体裁など気にせんとは、たいしたもんじゃ」
いちおう、褒めてくれているらしい。
余計なことを言って、水を指すのも無粋だし。
何と云っても、ケンイチさんからの貰い物だ。
10年は、楽に暮らせるほどの物資も入っているらしい。
しかたがないので、黙って聞いていた。
最初は、魔法で、採掘を手伝おうかと思った。
ちび女神たちは、あらゆる魔法を、オレに授けた。
採掘に適した魔法も、あるにちがいない。
しかし、ライムに、止められた。
「ドアーフは、誇り高い種族ですニャ。素人に手を出されて、喜ぶとは思えませんニャ。
そもそも、魔物を気にせずに、採掘ができるだけで、ジュンしゃまは、じゅうぶんに役に立ってるニャ」
たしかに、オレが手伝うまでもなく、採掘は、滞りなく終わった。
「鉱脈を見つけるのも、採掘するのも、わしらにとっちゃあ、さほどの手間ではないんじゃ」
「ただ、これまでは、とにかく魔物が多かったからの」
「採掘に来たはずが、いつの間にか、魔物討伐で終わることも多かった」
「魔物との戦闘で、怪我ばかりしておったしの」
「そのうち、手がつけらんほど、魔物が増えてのう」
「坑道に入ることさえ、できなくなっておったんじゃよ」
坑道の外は、日が暮れかかっていた。
レギンさんたちはドワーフは、茜色の空の前に並んで、いっせいにオレに頭を下げた。
「きょうは、ほんとうに、ありがとう」
「こんなに、心ゆくまで採掘できたのは、初めてじゃよ」
「お陰で、また、ものづくりに専念できる」
「ドワーフらしく生きることができる」
「「「「「ほんとうに、ありがとう!」」」」」」
ここまで感謝されて、何も言わないわけにもいかない。そのせいか、
「みなさんのような『名工』の役に立てたのなら、光栄なことだ。
オレでよければ、遠慮なく使ってくれ」
つい、とってつけたようなことを言ってしまった。
そもそも、オレは、慣れていないのだ。
感謝されることにも。ひとづきあい、そのものにも。
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