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第40話 ミルフィーユに戻る
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「ジュンくんが、戻ってきた!」
銀狼の背中で寝そべっていた、セーラーが、むくりと体を起こした。
銀狼たちも、街道の向こうをじっと見ている。
「そのようですね」
聖女セシリアも、街道に目をやった。
ふたりと二匹は、『第三城壁』の前にいた。
ジュンが、王都に行っている間。『第三城壁』を建造しているドワーフたちを、魔物の襲撃から守るためである。
とはいえ、魔物が現れることはほとんどない。
そもそも、銀狼というSクラス希少種が、二匹。城壁を守っている。
さらに、聖女セシリアも、女神セーラもいる。
セシリアは、大司祭マリアの弟子。つまり、戦闘系の聖女だ。
女神セーラのちからは、大きすぎるが、魔物を追い払うくらいの『手加減』はできる。
だから、遠くからようすを伺う魔物はいても、近づいてくるものは皆無だった。
まもなく、白いワンボックスカーが、城壁の前に到着した。
出発してから、三日目の夕方のことだった。
*
「おかえりーっ!」
車を降りるなり、セーラが、飛びついてきた。
最初の頃は、どぎまぎしたものだが、人間は、『慣れる』生き物だ。
いまは、ぎゅっと、抱きしめるくらいの余裕はある。
西欧式と割り切れば、どうってこともない。
中世ヨーロッパ風の異世界で、暮らしてるんだし。
「ジュンくん、おかえりなさい」
聖女セシリアは、少し離れたところから、丁寧にお辞儀した。
近づいて、ぎゅっとしてもいいんだけど、それをやると、周囲に緊張が走る。
なので、西欧風はやめて、『ただいま』だけ言った。
領主アルベールさんも、すぐにやってきた。
そして、開口一番、ケントさんに向かって尋ねた。
「お父上、いえ、シフォン侯爵さまから、なにか、お話はありませんでしたか?」
戸惑うケントさんの代わりに、ケンイチさんが答えた。
「それは、オレから、話した方がいいだろう」
そして、オレに向かって言った。
「せっかくだ。このあたりに、お前の『家』を出してくれ。
飯でも食いながら、ゆっくり話そうぜ」
「わかった」
*
『家』を取り出すと、みんな、慣れたようすで靴を脱いで、リビングへ向かった。
「じゃあ、オレたちは、晩飯の支度でもしてくるぜ」
ケンイチさんは、アンナさんの手を引いて、キッチンに入っていった。
未来の夫婦で、共同作業をするのだろう。もちろん、ご飯の支度だが…
ケンイチさんたちが、キッチンに消えると、みんなそれぞれ、好き勝手なことをし始めた。
オレが『自由にしてくれ』と以前言ったからだが、オレの『家』に慣れすぎていないだろうか。
たとえば、ドワーフ一行。
彼らは、「もう一度、確認しておくぞい」とか言って、トイレに駆け込んだ。
『お尻を洗う便座』を研究しているらしい。
次に、マリアンヌさんとイザベルさん。
奥さんコンビだけど、カップルへの気遣い皆無で、キッチンに突入。
ジューサーだの、ハンドミキサーだの調理器具を調べている。
エミールさんとケントさんは、別室で格闘ゲームを始めた。
たしかに、格ゲーではあるが、女性キャラのパ○ツ見放題で人気のゲームだった。
アルベールさんは、貸してあったノートPCを持参して、表計算ソフトをいじっている。
もしかすると、帳簿でもつけているのかもしれない。
この世界の一流の魔道士というのは、ほんとに、頭がいいなと感心する。
ちゃっかり電源につないで、充電もしていた。
この『家』は、もともと『魔道具』だが、さらに『神改造』も加えられている。
すでに、家主のオレすら、機能が把握しきれない『家』になっていた。
この『家』では、みんな、『日本語』が理解できる。
おそらく、オレと同じ、『脳内翻訳』が行われているんだと思う。
驚くべきことに、その機能は『神改造』以前から備わっていた。
つまり、最初からこの『家』は、『天界及び異世界』仕様だったわけだ。
リビングでは、セーラとセシリア。そして、クレアさんが、TVに、かじりついていた。
もちろん、見ているのは、ビデオ。
クローゼットには、ブルーレイやDVDも、やまほどあった。
さすがに、TV番組は、ここでは映らない。そのうち、『神改造』されるかもしれないけど。
彼女たちは、セーラー服で活躍する美少女戦士のアニメを、ずっと見ている。
何度も地球を救うので、セシリアなどは『勉強になります』と正座して見入っていた。
ちなみに、イレーヌさんは、まだ、来ていない。
大司教のばあさんやシスターたちと一緒に、孤児院で、子どもたちに食事の世話をしているのだ。
結局、ぼんやりしているのは、家主のオレだけだった。
銀狼の背中で寝そべっていた、セーラーが、むくりと体を起こした。
銀狼たちも、街道の向こうをじっと見ている。
「そのようですね」
聖女セシリアも、街道に目をやった。
ふたりと二匹は、『第三城壁』の前にいた。
ジュンが、王都に行っている間。『第三城壁』を建造しているドワーフたちを、魔物の襲撃から守るためである。
とはいえ、魔物が現れることはほとんどない。
そもそも、銀狼というSクラス希少種が、二匹。城壁を守っている。
さらに、聖女セシリアも、女神セーラもいる。
セシリアは、大司祭マリアの弟子。つまり、戦闘系の聖女だ。
女神セーラのちからは、大きすぎるが、魔物を追い払うくらいの『手加減』はできる。
だから、遠くからようすを伺う魔物はいても、近づいてくるものは皆無だった。
まもなく、白いワンボックスカーが、城壁の前に到着した。
出発してから、三日目の夕方のことだった。
*
「おかえりーっ!」
車を降りるなり、セーラが、飛びついてきた。
最初の頃は、どぎまぎしたものだが、人間は、『慣れる』生き物だ。
いまは、ぎゅっと、抱きしめるくらいの余裕はある。
西欧式と割り切れば、どうってこともない。
中世ヨーロッパ風の異世界で、暮らしてるんだし。
「ジュンくん、おかえりなさい」
聖女セシリアは、少し離れたところから、丁寧にお辞儀した。
近づいて、ぎゅっとしてもいいんだけど、それをやると、周囲に緊張が走る。
なので、西欧風はやめて、『ただいま』だけ言った。
領主アルベールさんも、すぐにやってきた。
そして、開口一番、ケントさんに向かって尋ねた。
「お父上、いえ、シフォン侯爵さまから、なにか、お話はありませんでしたか?」
戸惑うケントさんの代わりに、ケンイチさんが答えた。
「それは、オレから、話した方がいいだろう」
そして、オレに向かって言った。
「せっかくだ。このあたりに、お前の『家』を出してくれ。
飯でも食いながら、ゆっくり話そうぜ」
「わかった」
*
『家』を取り出すと、みんな、慣れたようすで靴を脱いで、リビングへ向かった。
「じゃあ、オレたちは、晩飯の支度でもしてくるぜ」
ケンイチさんは、アンナさんの手を引いて、キッチンに入っていった。
未来の夫婦で、共同作業をするのだろう。もちろん、ご飯の支度だが…
ケンイチさんたちが、キッチンに消えると、みんなそれぞれ、好き勝手なことをし始めた。
オレが『自由にしてくれ』と以前言ったからだが、オレの『家』に慣れすぎていないだろうか。
たとえば、ドワーフ一行。
彼らは、「もう一度、確認しておくぞい」とか言って、トイレに駆け込んだ。
『お尻を洗う便座』を研究しているらしい。
次に、マリアンヌさんとイザベルさん。
奥さんコンビだけど、カップルへの気遣い皆無で、キッチンに突入。
ジューサーだの、ハンドミキサーだの調理器具を調べている。
エミールさんとケントさんは、別室で格闘ゲームを始めた。
たしかに、格ゲーではあるが、女性キャラのパ○ツ見放題で人気のゲームだった。
アルベールさんは、貸してあったノートPCを持参して、表計算ソフトをいじっている。
もしかすると、帳簿でもつけているのかもしれない。
この世界の一流の魔道士というのは、ほんとに、頭がいいなと感心する。
ちゃっかり電源につないで、充電もしていた。
この『家』は、もともと『魔道具』だが、さらに『神改造』も加えられている。
すでに、家主のオレすら、機能が把握しきれない『家』になっていた。
この『家』では、みんな、『日本語』が理解できる。
おそらく、オレと同じ、『脳内翻訳』が行われているんだと思う。
驚くべきことに、その機能は『神改造』以前から備わっていた。
つまり、最初からこの『家』は、『天界及び異世界』仕様だったわけだ。
リビングでは、セーラとセシリア。そして、クレアさんが、TVに、かじりついていた。
もちろん、見ているのは、ビデオ。
クローゼットには、ブルーレイやDVDも、やまほどあった。
さすがに、TV番組は、ここでは映らない。そのうち、『神改造』されるかもしれないけど。
彼女たちは、セーラー服で活躍する美少女戦士のアニメを、ずっと見ている。
何度も地球を救うので、セシリアなどは『勉強になります』と正座して見入っていた。
ちなみに、イレーヌさんは、まだ、来ていない。
大司教のばあさんやシスターたちと一緒に、孤児院で、子どもたちに食事の世話をしているのだ。
結局、ぼんやりしているのは、家主のオレだけだった。
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