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おまけ3 前編
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「で、オーウェン。俺に相談って、何かな?」
長閑な昼下がり。官庁街近くの客入りの少ない隠れ家的喫茶店で、俺は持っていたコーヒーカップをソーサーに置き、目の前にいる友人に問いかける。友人の名前はオーウェン・ホークショー。昨年の春に主席で大学を卒業し、目出度く入庁を果たして今では立派な官僚様だ。新入りながらもバリバリ働いてもう早将来を嘱望されているらしい。相変わらず優秀な奴である。
もっとも、オーウェンが一生懸命働いているのは仕事に真面目だからではない。なんでも、周りに文句を言わせないくらい完璧に仕事をこなして1秒でも早く家に帰り、その時間で少しでも長く恋人と過ごす為なんだとか。なんと言っても本人がそう言ってたんだから間違いない。昔っからそうだったが、何年経ってもオーウェンの1番は恋人のこと。いつまでもアツアツな2人である。
俺はといえばオーウェン程上等ではないまでも、それなりにいい一般の会社に就職させてもらって、それなりに働いてそれなりに過ごしていた。最近では下の姉さんが結婚して家を出たので俺がちょくちょく家業の手伝いをすることも多く、なんだかんだ忙しい毎日だ。下の姉さんは以前オーウェンに一目惚れして俺まで巻き込んで大騒ぎしてたのに、その恋人に勝てないと見るや直ぐに吹っ切ってオーウェン程ではないものの、どこからか見た目も中身も上等な男を見つけてきて結婚まで漕ぎ着けたのである。あの人の変わり身の速さには恐れ入るよ。今年の夏には下の姉さんの所に通算3人目の甥っ子か姪っ子かが産まれる予定なので、おめでたいやら時の流れの速さに目眩がするやらだ。
おっと、俺の近況報告なんてどうでもいいよね。ごめんごめん。話をオーウェンのことに戻そう。まあ、十中八九オーウェンの相談とは彼の恋人のサリーさんことサルヴァトアさんの事なんだろうけど。オーウェンがこういう幸せそうに緩んだ表情をしてる時は大抵そうなんだ。頭も要領もいいオーウェンが悩むことなんて、サリーさんの事でしかないってのもある。
学生時代に1番にオーウェンとサリーさんの関係を打ち明けられてからこっち、なんだかんだあって俺はオーウェンにサリーさん関連のことを相談される係に永久指名されていた。2人のゲロ甘い惚気を滅茶苦茶聞かされるので多少げんなりしないでもないが、それもオーウェンの俺に対する信頼の証。なんだかんだその話は聞いてて面白いし、微笑ましくもあるので、まあ、このままでいいかな、とも思っていた。
「いや、実はサリーのことについてなんだけど……」
「うん、だろうね。オーウェンってば行動理念の全てが『サリーさんについて』だもんね」
オーウェンがサリーさんの事で頭を悩ませ、俺に相談かつ惚気をする。ここまでは予想通り。だが、その後オーウェンが口にした言葉は、些か予想外だった。
「実はね、そろそろサリーと結婚式を挙げようと思ってさ」
「ええっ、本当に!? 遂にか! それはおめでとう! オーウェンはこの為に学生時代からコツコツバイトして、資金を貯めてたもんね」
「ああ、指輪とか大切な物にはお金かけるけど、そんなに派手な式にするつもりはないからその分の費用が抑えられて、これだけ早く式が挙げられることになったんだ。まあ、それでもそれなりにサリーを待たせちゃったけど」
いやいや、派手にしなくても式を挙げるって結構金も労力もいるだろうに。少なくとも高給取りの官僚とはいえ社会人一年目で誰にも頼らず挙げるのはそれなりに大変な筈。きっと、オーウェンはこの為に沢山努力をしたのだろう。それだけオーウェンがこの結婚に本気だということだ。
「それでさ、今度どこか良さそうな店でも予約して、改めてプロポーズをしてそこで結婚式のことを言おうと思ってね。ウルリヒは俺よりこの辺の店に詳しいだろ? いい所知らないかな?」
「ああ、そういうこと。それなら隣町にあるディーンスターク本店なんてどうだろうか? 値段に見合った雰囲気と料理、窓から見える景色も最高。予約はいるが俺の実家のツテを使えばある程度融通もきかせられる。それに何より……」
「何より?」
「そこのお店ね、ちょっと辺鄙なところにあるから行き来だけで難儀しないように、前乗り後帰りができるよう上等な宿泊所が併設されているんだ。だからそこの部屋も取っておけばゆっくり休めるし、ここだけの話、朝出発して昼頃到着し、そして夜は素敵なディナーで盛り上がった後そのまま部屋にしけこんで……って感じでシッポリできるんだよ」
「おぉ、それはそれは……」
ゴクリ、とオーウェンが唾を飲み下す。それに俺も真剣な表情で頷いた。俺だってオーウェンと同じ男だ。今彼が考えてることくらい簡単に分かる。
ウットリするようなディナーを楽しんだ後、そのままスマートにプロポーズ。返事は勿論OKに決まってる。2人で見つめあってニッコリ笑いキスの1つでもすれば、気分はもう最高潮。その後したくなることと言えば……もう分かるだろ? 俺の紹介した店はそのしたくなることにおあつらえ向きな部屋が着いてくる。これはもう、文句の付けようがないってやつだ。
「いい。良すぎる。よし、場所はそこのお店に決めた!」
「また詳しい日程が分かったら教えてくれ。あんまり直近じゃ無理だろうけど、何時になってもいいよう今から店に話通しておくよ」
「ありがとう、ウルリヒ! 恩にきる!」
「お礼は新婚生活や結婚式で必要なあれそれをうちの店で揃えてくれればそれでいいよ」
「勿論! というか、ノイマン商店以上に質も値段も良くて納期もキッチリ守ってくれるところなんて知らないから、お礼じゃなくてもそのつもりだったさ」
交渉成立。オーウェンが手を差し出してきたので、こちらも手を出してガッシリ握り、そのまま固く握手する。サリーさんのことを考え、2人の明るい未来を思い描くオーウェンの表情は、とても満ち足りていた。いいな。純粋に羨ましい。俺もいつか、ここまで愛し愛される相手を見つけられるのだろうか? いい加減、そろそろ俺も恋人探しを始めてもいいかもしれないな。
そうして俺達は注文したコーヒーが冷めるのにも構わず、2人で顔を突き合せてジックリと今後の計画を立てるのであった。
オーウェンから呼び出されたのは心地よい風の吹くある日の昼下がりの事。場所は彼の職場の近くにあるカフェ。ここは食事が、特にデザートのケーキが美味しいんだ。前々から甘いものが好きなマーゴに食べさせてあげたくて。と、言って笑うオーウェンはもうすっかり仕事着の似合うスマートな大人になった。
昔は周囲から虐げられろくに世話もしてもらえず、皮と骨ばかりのガリガリに痩せ細った小さな体をしていたのに。それが今では恋人からタップリ愛情を注がれ、その恋人に見劣りしないよう身なりを整えることも覚え、どこからどう見ても一端の上等な若者だ。この瞬間にだって、ほら。周囲の客やウエイトレス達が、チラチラとオーウェンの事を気にしているわ。彼女達の私に向ける視線が痛いったらありゃしない。
「マーゴ、呼び出してごめんよ。本当は用事のある俺の方から出向くのが筋なんだろうけど、色々と忙しくて」
「構わないわ。私の魔法にかかれば、どんな場所へもひとっ飛びですもの。最近では拠点を私達の故郷からこちらに移したから、そう手間でもないですしね」
2人共昼ごはんは軽く済ませてしまっていたので、私はケーキと紅茶を、オーウェンはコーヒーを頼んだ。注文した品が来るまではオーウェンとその恋人のサリーの近況を聞く。今日のサリーは仕事らしい。当然ね、平日だもの。オーウェンだって今は少し遅めの昼休憩だけれど、時間が来れば仕事場に戻らなくちゃいけないわ。人に雇われるって大変よね。自然と共に自由に生きてる私には難しい事だわ。尊敬しちゃう。
私の方も、飼ってる黒猫が子猫を産んだとか、新しいご近所さんとお茶をした話だとかをした。オーウェンはその1つ1つを微笑みながら聞いてくれた。そうしていると、直に注文した品々が同時に届く。ウエイトレスにお礼を言って紅茶に口をつけると、香りが良くてとっても美味しい。オーウェンの方もコーヒーを1口飲み込んで満足そうな顔をする。どうやらこのお店は当たりみたいね。ここはオーウェンが同僚に教えてもらったところらしいから、その人に感謝しないと。
「さて、飲み物や食べ物も届いた事ですし、そろそろ本題を話し始めましょうか。今日私を呼んだのは、ここの美味しいケーキを食べさせる為だけって事はないでしょう? 私が思うに、サリーがここに居ないってことはとうとうその時がきたの?」
「いやぁ、流石マーゴ! 話が早くて助かるよ。そうなんだ、こないだ大きな仕事をこなしてボーナス貰ったんだけど、それで遂に目標金額が貯まってね。俺達、式を挙げられるんだよ!」
「まあ! やったわね、オーウェン! おめでとう! ああ、お式には何着ていこうかしら? お祝いの贈り物は? 他にも色々も考えないと」
流石にいつもの私の好きな暗い色合いのドレスじゃ駄目よね? 明るい色合いのものを新しく用意しないと。贈り物は腕によりを掛けて最っ高のものを作らなくっちゃ。魔女の名に恥じなくて大切な友人達に相応しい、特別なものを用意したいわ。この大事な友人達の為に私ができることなら、何だってしてあげなくちゃ!
「フフフッ、それでね、マーゴ。今度サリーをディナーに誘って、改めてプロポーズしようと思っているんだけどね。その時婚約指輪をプレゼントしようと思うんだ。ほら、今つけてるのはただの虫除けのペアリングだろ? 結婚指輪は2人で選ぶとして、婚約指輪はサプライズで贈ろうと思ってるから、サリーの意見は聞けない。それでも最高の婚約指輪を贈りたいと思うのが恋人の常さ。そのアドバイスをマーゴにしてもらいたくて。折角の婚約指輪だから判断の主導権を他人に譲るなんてそんな勿体ないことはするつもりはないけど、独り善がりなものにしない為に少しは他人の意見を取り入れることも必要だろ?」
「あら、それは光栄だわ! でも、いいのかしら。恋人同士の記念のものを親しい仲でも他人に選ばせるのって、そういうの嫌がる人もいるんじゃない?」
「そりゃぁ、恋人が婚約指輪を選ぶのに他人を介入させるのを嫌がる人もいるだろうけど、優しいサリーなら、それも、俺達ととっても仲のいい関係のマーゴが相手なら、問題ないと思うよ」
「そうか、それもそうね。そもそもあなた達、ラブラブ過ぎてそういう疑いが生じる隙もないものね」
私はよく2人の所に遊びに行くけれど、オーウェンとサリーは傍から見ていてとっても生ぬるい気持ちになるくらい好き合ってるわ。倦怠期という概念なんてどこへやら。2人は最初こそ昔の周辺環境の影響で、モジモジとして人前ではあまりイチャイチャしないようにしていたのだけれど、それも過去の話。この国の自由な気風に当てられて、今ではスッカリ熱々バカップル。他人の迷惑にさえならなければ、ズーッと見つめ合って指を絡めて愛を囁きあってるのよね。
「別に結婚指輪も贈るからそんなに長く着けるようなものでもないし、価値は低くてもいいから俺の愛が伝わるような意味合いを持つ石を中石に使った婚約指輪を贈ろうかと思ってるんだけど、どうかな?」
「あら、いいじゃない! それで、精霊と対話をするから自然に詳しい私に助言を求めたのね? 賢い判断だわ。そうね……初めての愛を表す菫青石はどう? 秘めた情熱を表す柘榴石は? 初恋の意味を持つ黄水晶も素敵だわ。ああ、なんだかこっちまでワクワクドキドキしてきちゃった!」
結局、こんな大切で楽しい事がたった1回昼休憩で集まっただけで決まる訳もなく。この日は2人でフワフワと喜びに満ちた会話を交わすだけで終わったのだった。
今日はもうそろそろ店終いだな。窓の外を眺めながらそんなことを思う。帰宅ラッシュの時間も過ぎ客足も途絶え、店の前を歩く人の数も疎らだ。今日はこのまま上がりかな? と、思っていたら、ドアベルが鳴って客が入ってきた。タイミングが悪い。後ちょっとで帰り支度ができたのに。少しガッカリしつつもそんなことおくびにも出さず顔面に笑顔を張りつけ客に向ける。
「いらっしゃいませ。ガーランド宝石店にようこそ」
入ってきた客の姿を見て、表情にこそ出さないものの思わず感嘆の溜め息を吐いた。入店してきたのは若い男だ。上等な服を着て、亜麻色の髪を後ろに撫でつけ、背筋を伸ばして歩くのは、実に堂々たる様子である。だが何よりも目立つのはその顏。煌めく瞳、形のいい唇、スッと通った鼻筋。その全てが完璧なバランスで頭に収まっていた。男はグルッと店内を見渡すと、カウンターに立つ俺の方に真っ直ぐ向かってきた。
「すみません、ウルリヒ・ノイマンさんの紹介で来たのですが」
「ああ、ホークショー様ですね。伺っております。どうぞこちらへ」
近々来るかもとお得意様から聞かされていた客か。カウンターから出て応接スペースへと導く。同僚がお茶の用意をしをしに奥へと引っ込んだのを横目に確認してからホークショー様に向き直って話し始める。
「今回はどのような物をお求めに?」
「実は、恋人にプロポーズするにあたって、婚約指輪を贈りたくて」
「ああ、それはそれは! この度はおめでとうございます」
「有難うございます」
同僚がお茶と茶菓子を持ってきて、はにかむホークショー様の前に置いた。ホークショー様が有難うと微笑みかければ、それだけで同僚はのぼせ上る。元々顔がいい方だからそうなるのは当然だとして、ホークショー様は本当に全身から幸せオーラが溢れ出てて、見てるだけでウットリするような魅力があるんだ。この人と結婚できるなんて、お相手の方は実に幸せ者だな。「ホークショー様の最高の幸せの一助になれるよう、私達スタッフ一同精一杯努力させていただきます」
「こちらの仕事が良ければ引き続きこちらで結婚指輪を頼むことも考えているので、よろしくお願いします」
おお、これは期待に添えるよう頑張らねば。新しい仕事に繋げたいのは勿論、ホークショー様とそのお相手様に自分の仕事で幸せになってもらいたい。ホークショー様の満ち足りた様子を見ていると、心からそう思えたのだ。
「では、早速どのような婚約指輪がいいか、ヒアリングいたしましょうか。ご予算や希望するデザインなどはありますか?」
「予算はこのくらいで、中石と脇石は使いたい物がある程度決まっているので、デザインはそれに合わせて決めていきたいと思っています。何年か前にペアリングを作っているので、サイズも分かっています」
これ見てください、と手渡された紙には、十分な予算額といくつかの宝石の名前、指のサイズが丁寧な字で書かれていた。パートナーに強請られたから仕方なく、とあまり乗り気ではない態度でジュエリーを買いに来る客も多い中、若くともこうまでお相手様のことを考えられるホークショー様はとても立派だ。きっと一生懸命この少なくない予算を貯めて、宝石のことも本気で調べて考えたのだろう。これはなんとしてでも最高の婚約指輪を制作しなくては。
「では、こちらを元に当店のデザイナーがいくつかデザインをお作りいたします。その中から1番気に入ったものをお選びいただいて、そこから更にブラッシュアップしていきましょう」
「分かりました。因みに内側にメッセージは彫り込めますか?」
「ええ、勿論です。なんと彫り込みましょう?」
「ではシンプルに、私から恋人へとイニシャルで彫り込んだ後に、愛を込めて、とでも入れてもらおうかな。あ、私と恋人のイニシャルはこうです」
そう言って懐から取り出したペンで、先程の紙に文字を書き足すホークショー様。俺は紙を受け取り再度そこに書かれた情報を確認して、なくさないように丁寧にしまいこんだ。そこでホークショー様がチラッと時計を見やる。俺も確認してみればそろそろ閉店の時間だ。ホークショー様が来たのがそこそこ遅い時間だったからな。まあ、聞くべき話は聞けたから、もういいだろう。
「閉店ギリギリまで済みません。あまり遅くまで居座ってもご迷惑でしょうし、今日はここら辺で帰ります。次はいつ頃来ればいいですか?」
「そうですね、ではまた1週間程経ってからご来店下さい」
「分かりました。今日は本当に有難うございました。婚約指輪、楽しみにしていますね」
席から立ち上がったホークショー様と握手をし、扉の前まで誘導した。開いた扉を抑えてホークショー様が出やすいようにする。そのまま立ち去るホークショー様に頭を下げて見送ろうとすると、彼は振り返ってそれを押し止めた。何かと思って顔を見れば、先程までの幸せに和らいだ表情が真剣なものに変わっている。軽く驚いて見返すと、ホークショー様はそのまま口を開いた。
「指輪のこと、くれぐれもよろしくお願いしますね。私、恋人には今まで沢山迷惑をかけて、苦労もさせてしまって、しっかりとした結婚だってこっちの都合で遅らせてしまったんです。毎日精一杯愛を伝えて尽くしているつもりだけれど、それは私の自己満足に過ぎません。それでも、今まで色々と我慢させてしまった分、これからはあの人が自分は世界で1番幸せだと感じられるようにしたい。この婚約指輪はその為の第1歩なんです。……指輪、期待してますよ」
これは大変だ。ホークショー様のその言葉に、俺は身が引き締まる思いがした。責任重大とはこの事だろう。文字通りホークショー様の熱い思いが形を成したものとして、婚約指輪を作ることを期待されている。
お祝い用、告白用、記念用。ジュエリーはお客様の様々な思いを込めて作られるものだ。それは時に思い出の礎となり、感情の拠り所にもなる。嵌め込まれた宝石や指輪に使われる貴金属だけでは推し量れない価値が、そこにはあるのだ。改めてこの仕事のやり甲斐を教えられてしまった。
「ええ、ご期待に添えるよう、私達にできる限り最高の仕事をさせていただきます」
「良かった。それじゃあ、また一週間後に」
「お待ちしております」
今度こそ頭を下げてお辞儀をすると、ホークショー様は軽く挨拶をして立ち去って行く。その足取りはどこまでも軽い。その足音を耳にしつつ、総力を上げて彼の切なる願いを込めた婚約指輪を作り上げよう、と決意を新たにするのだった。
長閑な昼下がり。官庁街近くの客入りの少ない隠れ家的喫茶店で、俺は持っていたコーヒーカップをソーサーに置き、目の前にいる友人に問いかける。友人の名前はオーウェン・ホークショー。昨年の春に主席で大学を卒業し、目出度く入庁を果たして今では立派な官僚様だ。新入りながらもバリバリ働いてもう早将来を嘱望されているらしい。相変わらず優秀な奴である。
もっとも、オーウェンが一生懸命働いているのは仕事に真面目だからではない。なんでも、周りに文句を言わせないくらい完璧に仕事をこなして1秒でも早く家に帰り、その時間で少しでも長く恋人と過ごす為なんだとか。なんと言っても本人がそう言ってたんだから間違いない。昔っからそうだったが、何年経ってもオーウェンの1番は恋人のこと。いつまでもアツアツな2人である。
俺はといえばオーウェン程上等ではないまでも、それなりにいい一般の会社に就職させてもらって、それなりに働いてそれなりに過ごしていた。最近では下の姉さんが結婚して家を出たので俺がちょくちょく家業の手伝いをすることも多く、なんだかんだ忙しい毎日だ。下の姉さんは以前オーウェンに一目惚れして俺まで巻き込んで大騒ぎしてたのに、その恋人に勝てないと見るや直ぐに吹っ切ってオーウェン程ではないものの、どこからか見た目も中身も上等な男を見つけてきて結婚まで漕ぎ着けたのである。あの人の変わり身の速さには恐れ入るよ。今年の夏には下の姉さんの所に通算3人目の甥っ子か姪っ子かが産まれる予定なので、おめでたいやら時の流れの速さに目眩がするやらだ。
おっと、俺の近況報告なんてどうでもいいよね。ごめんごめん。話をオーウェンのことに戻そう。まあ、十中八九オーウェンの相談とは彼の恋人のサリーさんことサルヴァトアさんの事なんだろうけど。オーウェンがこういう幸せそうに緩んだ表情をしてる時は大抵そうなんだ。頭も要領もいいオーウェンが悩むことなんて、サリーさんの事でしかないってのもある。
学生時代に1番にオーウェンとサリーさんの関係を打ち明けられてからこっち、なんだかんだあって俺はオーウェンにサリーさん関連のことを相談される係に永久指名されていた。2人のゲロ甘い惚気を滅茶苦茶聞かされるので多少げんなりしないでもないが、それもオーウェンの俺に対する信頼の証。なんだかんだその話は聞いてて面白いし、微笑ましくもあるので、まあ、このままでいいかな、とも思っていた。
「いや、実はサリーのことについてなんだけど……」
「うん、だろうね。オーウェンってば行動理念の全てが『サリーさんについて』だもんね」
オーウェンがサリーさんの事で頭を悩ませ、俺に相談かつ惚気をする。ここまでは予想通り。だが、その後オーウェンが口にした言葉は、些か予想外だった。
「実はね、そろそろサリーと結婚式を挙げようと思ってさ」
「ええっ、本当に!? 遂にか! それはおめでとう! オーウェンはこの為に学生時代からコツコツバイトして、資金を貯めてたもんね」
「ああ、指輪とか大切な物にはお金かけるけど、そんなに派手な式にするつもりはないからその分の費用が抑えられて、これだけ早く式が挙げられることになったんだ。まあ、それでもそれなりにサリーを待たせちゃったけど」
いやいや、派手にしなくても式を挙げるって結構金も労力もいるだろうに。少なくとも高給取りの官僚とはいえ社会人一年目で誰にも頼らず挙げるのはそれなりに大変な筈。きっと、オーウェンはこの為に沢山努力をしたのだろう。それだけオーウェンがこの結婚に本気だということだ。
「それでさ、今度どこか良さそうな店でも予約して、改めてプロポーズをしてそこで結婚式のことを言おうと思ってね。ウルリヒは俺よりこの辺の店に詳しいだろ? いい所知らないかな?」
「ああ、そういうこと。それなら隣町にあるディーンスターク本店なんてどうだろうか? 値段に見合った雰囲気と料理、窓から見える景色も最高。予約はいるが俺の実家のツテを使えばある程度融通もきかせられる。それに何より……」
「何より?」
「そこのお店ね、ちょっと辺鄙なところにあるから行き来だけで難儀しないように、前乗り後帰りができるよう上等な宿泊所が併設されているんだ。だからそこの部屋も取っておけばゆっくり休めるし、ここだけの話、朝出発して昼頃到着し、そして夜は素敵なディナーで盛り上がった後そのまま部屋にしけこんで……って感じでシッポリできるんだよ」
「おぉ、それはそれは……」
ゴクリ、とオーウェンが唾を飲み下す。それに俺も真剣な表情で頷いた。俺だってオーウェンと同じ男だ。今彼が考えてることくらい簡単に分かる。
ウットリするようなディナーを楽しんだ後、そのままスマートにプロポーズ。返事は勿論OKに決まってる。2人で見つめあってニッコリ笑いキスの1つでもすれば、気分はもう最高潮。その後したくなることと言えば……もう分かるだろ? 俺の紹介した店はそのしたくなることにおあつらえ向きな部屋が着いてくる。これはもう、文句の付けようがないってやつだ。
「いい。良すぎる。よし、場所はそこのお店に決めた!」
「また詳しい日程が分かったら教えてくれ。あんまり直近じゃ無理だろうけど、何時になってもいいよう今から店に話通しておくよ」
「ありがとう、ウルリヒ! 恩にきる!」
「お礼は新婚生活や結婚式で必要なあれそれをうちの店で揃えてくれればそれでいいよ」
「勿論! というか、ノイマン商店以上に質も値段も良くて納期もキッチリ守ってくれるところなんて知らないから、お礼じゃなくてもそのつもりだったさ」
交渉成立。オーウェンが手を差し出してきたので、こちらも手を出してガッシリ握り、そのまま固く握手する。サリーさんのことを考え、2人の明るい未来を思い描くオーウェンの表情は、とても満ち足りていた。いいな。純粋に羨ましい。俺もいつか、ここまで愛し愛される相手を見つけられるのだろうか? いい加減、そろそろ俺も恋人探しを始めてもいいかもしれないな。
そうして俺達は注文したコーヒーが冷めるのにも構わず、2人で顔を突き合せてジックリと今後の計画を立てるのであった。
オーウェンから呼び出されたのは心地よい風の吹くある日の昼下がりの事。場所は彼の職場の近くにあるカフェ。ここは食事が、特にデザートのケーキが美味しいんだ。前々から甘いものが好きなマーゴに食べさせてあげたくて。と、言って笑うオーウェンはもうすっかり仕事着の似合うスマートな大人になった。
昔は周囲から虐げられろくに世話もしてもらえず、皮と骨ばかりのガリガリに痩せ細った小さな体をしていたのに。それが今では恋人からタップリ愛情を注がれ、その恋人に見劣りしないよう身なりを整えることも覚え、どこからどう見ても一端の上等な若者だ。この瞬間にだって、ほら。周囲の客やウエイトレス達が、チラチラとオーウェンの事を気にしているわ。彼女達の私に向ける視線が痛いったらありゃしない。
「マーゴ、呼び出してごめんよ。本当は用事のある俺の方から出向くのが筋なんだろうけど、色々と忙しくて」
「構わないわ。私の魔法にかかれば、どんな場所へもひとっ飛びですもの。最近では拠点を私達の故郷からこちらに移したから、そう手間でもないですしね」
2人共昼ごはんは軽く済ませてしまっていたので、私はケーキと紅茶を、オーウェンはコーヒーを頼んだ。注文した品が来るまではオーウェンとその恋人のサリーの近況を聞く。今日のサリーは仕事らしい。当然ね、平日だもの。オーウェンだって今は少し遅めの昼休憩だけれど、時間が来れば仕事場に戻らなくちゃいけないわ。人に雇われるって大変よね。自然と共に自由に生きてる私には難しい事だわ。尊敬しちゃう。
私の方も、飼ってる黒猫が子猫を産んだとか、新しいご近所さんとお茶をした話だとかをした。オーウェンはその1つ1つを微笑みながら聞いてくれた。そうしていると、直に注文した品々が同時に届く。ウエイトレスにお礼を言って紅茶に口をつけると、香りが良くてとっても美味しい。オーウェンの方もコーヒーを1口飲み込んで満足そうな顔をする。どうやらこのお店は当たりみたいね。ここはオーウェンが同僚に教えてもらったところらしいから、その人に感謝しないと。
「さて、飲み物や食べ物も届いた事ですし、そろそろ本題を話し始めましょうか。今日私を呼んだのは、ここの美味しいケーキを食べさせる為だけって事はないでしょう? 私が思うに、サリーがここに居ないってことはとうとうその時がきたの?」
「いやぁ、流石マーゴ! 話が早くて助かるよ。そうなんだ、こないだ大きな仕事をこなしてボーナス貰ったんだけど、それで遂に目標金額が貯まってね。俺達、式を挙げられるんだよ!」
「まあ! やったわね、オーウェン! おめでとう! ああ、お式には何着ていこうかしら? お祝いの贈り物は? 他にも色々も考えないと」
流石にいつもの私の好きな暗い色合いのドレスじゃ駄目よね? 明るい色合いのものを新しく用意しないと。贈り物は腕によりを掛けて最っ高のものを作らなくっちゃ。魔女の名に恥じなくて大切な友人達に相応しい、特別なものを用意したいわ。この大事な友人達の為に私ができることなら、何だってしてあげなくちゃ!
「フフフッ、それでね、マーゴ。今度サリーをディナーに誘って、改めてプロポーズしようと思っているんだけどね。その時婚約指輪をプレゼントしようと思うんだ。ほら、今つけてるのはただの虫除けのペアリングだろ? 結婚指輪は2人で選ぶとして、婚約指輪はサプライズで贈ろうと思ってるから、サリーの意見は聞けない。それでも最高の婚約指輪を贈りたいと思うのが恋人の常さ。そのアドバイスをマーゴにしてもらいたくて。折角の婚約指輪だから判断の主導権を他人に譲るなんてそんな勿体ないことはするつもりはないけど、独り善がりなものにしない為に少しは他人の意見を取り入れることも必要だろ?」
「あら、それは光栄だわ! でも、いいのかしら。恋人同士の記念のものを親しい仲でも他人に選ばせるのって、そういうの嫌がる人もいるんじゃない?」
「そりゃぁ、恋人が婚約指輪を選ぶのに他人を介入させるのを嫌がる人もいるだろうけど、優しいサリーなら、それも、俺達ととっても仲のいい関係のマーゴが相手なら、問題ないと思うよ」
「そうか、それもそうね。そもそもあなた達、ラブラブ過ぎてそういう疑いが生じる隙もないものね」
私はよく2人の所に遊びに行くけれど、オーウェンとサリーは傍から見ていてとっても生ぬるい気持ちになるくらい好き合ってるわ。倦怠期という概念なんてどこへやら。2人は最初こそ昔の周辺環境の影響で、モジモジとして人前ではあまりイチャイチャしないようにしていたのだけれど、それも過去の話。この国の自由な気風に当てられて、今ではスッカリ熱々バカップル。他人の迷惑にさえならなければ、ズーッと見つめ合って指を絡めて愛を囁きあってるのよね。
「別に結婚指輪も贈るからそんなに長く着けるようなものでもないし、価値は低くてもいいから俺の愛が伝わるような意味合いを持つ石を中石に使った婚約指輪を贈ろうかと思ってるんだけど、どうかな?」
「あら、いいじゃない! それで、精霊と対話をするから自然に詳しい私に助言を求めたのね? 賢い判断だわ。そうね……初めての愛を表す菫青石はどう? 秘めた情熱を表す柘榴石は? 初恋の意味を持つ黄水晶も素敵だわ。ああ、なんだかこっちまでワクワクドキドキしてきちゃった!」
結局、こんな大切で楽しい事がたった1回昼休憩で集まっただけで決まる訳もなく。この日は2人でフワフワと喜びに満ちた会話を交わすだけで終わったのだった。
今日はもうそろそろ店終いだな。窓の外を眺めながらそんなことを思う。帰宅ラッシュの時間も過ぎ客足も途絶え、店の前を歩く人の数も疎らだ。今日はこのまま上がりかな? と、思っていたら、ドアベルが鳴って客が入ってきた。タイミングが悪い。後ちょっとで帰り支度ができたのに。少しガッカリしつつもそんなことおくびにも出さず顔面に笑顔を張りつけ客に向ける。
「いらっしゃいませ。ガーランド宝石店にようこそ」
入ってきた客の姿を見て、表情にこそ出さないものの思わず感嘆の溜め息を吐いた。入店してきたのは若い男だ。上等な服を着て、亜麻色の髪を後ろに撫でつけ、背筋を伸ばして歩くのは、実に堂々たる様子である。だが何よりも目立つのはその顏。煌めく瞳、形のいい唇、スッと通った鼻筋。その全てが完璧なバランスで頭に収まっていた。男はグルッと店内を見渡すと、カウンターに立つ俺の方に真っ直ぐ向かってきた。
「すみません、ウルリヒ・ノイマンさんの紹介で来たのですが」
「ああ、ホークショー様ですね。伺っております。どうぞこちらへ」
近々来るかもとお得意様から聞かされていた客か。カウンターから出て応接スペースへと導く。同僚がお茶の用意をしをしに奥へと引っ込んだのを横目に確認してからホークショー様に向き直って話し始める。
「今回はどのような物をお求めに?」
「実は、恋人にプロポーズするにあたって、婚約指輪を贈りたくて」
「ああ、それはそれは! この度はおめでとうございます」
「有難うございます」
同僚がお茶と茶菓子を持ってきて、はにかむホークショー様の前に置いた。ホークショー様が有難うと微笑みかければ、それだけで同僚はのぼせ上る。元々顔がいい方だからそうなるのは当然だとして、ホークショー様は本当に全身から幸せオーラが溢れ出てて、見てるだけでウットリするような魅力があるんだ。この人と結婚できるなんて、お相手の方は実に幸せ者だな。「ホークショー様の最高の幸せの一助になれるよう、私達スタッフ一同精一杯努力させていただきます」
「こちらの仕事が良ければ引き続きこちらで結婚指輪を頼むことも考えているので、よろしくお願いします」
おお、これは期待に添えるよう頑張らねば。新しい仕事に繋げたいのは勿論、ホークショー様とそのお相手様に自分の仕事で幸せになってもらいたい。ホークショー様の満ち足りた様子を見ていると、心からそう思えたのだ。
「では、早速どのような婚約指輪がいいか、ヒアリングいたしましょうか。ご予算や希望するデザインなどはありますか?」
「予算はこのくらいで、中石と脇石は使いたい物がある程度決まっているので、デザインはそれに合わせて決めていきたいと思っています。何年か前にペアリングを作っているので、サイズも分かっています」
これ見てください、と手渡された紙には、十分な予算額といくつかの宝石の名前、指のサイズが丁寧な字で書かれていた。パートナーに強請られたから仕方なく、とあまり乗り気ではない態度でジュエリーを買いに来る客も多い中、若くともこうまでお相手様のことを考えられるホークショー様はとても立派だ。きっと一生懸命この少なくない予算を貯めて、宝石のことも本気で調べて考えたのだろう。これはなんとしてでも最高の婚約指輪を制作しなくては。
「では、こちらを元に当店のデザイナーがいくつかデザインをお作りいたします。その中から1番気に入ったものをお選びいただいて、そこから更にブラッシュアップしていきましょう」
「分かりました。因みに内側にメッセージは彫り込めますか?」
「ええ、勿論です。なんと彫り込みましょう?」
「ではシンプルに、私から恋人へとイニシャルで彫り込んだ後に、愛を込めて、とでも入れてもらおうかな。あ、私と恋人のイニシャルはこうです」
そう言って懐から取り出したペンで、先程の紙に文字を書き足すホークショー様。俺は紙を受け取り再度そこに書かれた情報を確認して、なくさないように丁寧にしまいこんだ。そこでホークショー様がチラッと時計を見やる。俺も確認してみればそろそろ閉店の時間だ。ホークショー様が来たのがそこそこ遅い時間だったからな。まあ、聞くべき話は聞けたから、もういいだろう。
「閉店ギリギリまで済みません。あまり遅くまで居座ってもご迷惑でしょうし、今日はここら辺で帰ります。次はいつ頃来ればいいですか?」
「そうですね、ではまた1週間程経ってからご来店下さい」
「分かりました。今日は本当に有難うございました。婚約指輪、楽しみにしていますね」
席から立ち上がったホークショー様と握手をし、扉の前まで誘導した。開いた扉を抑えてホークショー様が出やすいようにする。そのまま立ち去るホークショー様に頭を下げて見送ろうとすると、彼は振り返ってそれを押し止めた。何かと思って顔を見れば、先程までの幸せに和らいだ表情が真剣なものに変わっている。軽く驚いて見返すと、ホークショー様はそのまま口を開いた。
「指輪のこと、くれぐれもよろしくお願いしますね。私、恋人には今まで沢山迷惑をかけて、苦労もさせてしまって、しっかりとした結婚だってこっちの都合で遅らせてしまったんです。毎日精一杯愛を伝えて尽くしているつもりだけれど、それは私の自己満足に過ぎません。それでも、今まで色々と我慢させてしまった分、これからはあの人が自分は世界で1番幸せだと感じられるようにしたい。この婚約指輪はその為の第1歩なんです。……指輪、期待してますよ」
これは大変だ。ホークショー様のその言葉に、俺は身が引き締まる思いがした。責任重大とはこの事だろう。文字通りホークショー様の熱い思いが形を成したものとして、婚約指輪を作ることを期待されている。
お祝い用、告白用、記念用。ジュエリーはお客様の様々な思いを込めて作られるものだ。それは時に思い出の礎となり、感情の拠り所にもなる。嵌め込まれた宝石や指輪に使われる貴金属だけでは推し量れない価値が、そこにはあるのだ。改めてこの仕事のやり甲斐を教えられてしまった。
「ええ、ご期待に添えるよう、私達にできる限り最高の仕事をさせていただきます」
「良かった。それじゃあ、また一週間後に」
「お待ちしております」
今度こそ頭を下げてお辞儀をすると、ホークショー様は軽く挨拶をして立ち去って行く。その足取りはどこまでも軽い。その足音を耳にしつつ、総力を上げて彼の切なる願いを込めた婚約指輪を作り上げよう、と決意を新たにするのだった。
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