悪役令息の結婚相手として、断罪も兼ねて野獣侯爵と悪名高い俺が選ばれましたが、絶対幸せにします!

我利我利亡者

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「んぅっ」
 あ、何これ。キスが止んだと思ったら、なにかアナルに熱くて固い物がくっついてきて、それがそのまま突っついてくる。いや、なにかじゃない。これはきっと、ルカさんのペニスだろう。様子を窺っているのだろうか。ルカさんの手でフワフワにされたアナルは緩んでいて、啄かれる度にその先端が潜り込んだ。俺の体は十分火照っている筈なのに、驚いた事にそれ以上にルカさんのペニスは熱い。その熱で更に存在感が強調されているようで、ブルリと背筋が震えた。
 そうして背後の熱塊にドギマギしていると、その時はやって来る。啄いてきていた熱が唐突にくっついたまま離れなくなり、俺を驚かせないようにかユックリと、そのまま力を込めて推し進めて来た。肉をかきわけるようにして、ルカさんのペニスが俺の中にグブリと潜り込む。
「あぁっ! 熱いの、は、入って、くるうぅ……」
 最初は大丈夫か見る為に入口付近で出たり入ったり。それで平気そうならもう少し差し込んでジックリと。もう少し行けそうだったら、腰も使ってグリグリ馴染ませるように。そうしてちょっとずつちょっとずつ、時間をかけてペニスを進めていく。
 うわぁ、あっつい……。それに、指とは比べ物にならない充足感。中全体が余すことなく刺激されて、その感覚にウットリしてしまう。ただ他人の体の一部を体内に迎え入れているだけで、なんでこんなに気持ちがいいんだ? ローションのせいで中が敏感になっているからか、それともルカさんにシてもらっているからなのか。分からないが、ただひたすらに気持ちがいい。小刻みに揺さぶられる度、意図せず声が漏れる。
「んっ、ふ、う」
「声、出していいですよ」
「で、も……恥ずかし……」
「僕だけしか聞いてませんから……。ね、聞かせて?」
 甘く響く、ルカさんの優しい懇願の声。促すように手で俺の背筋を撫でてくる。感覚が鋭敏になっている今それをやられると、ただでさえ敏感な箇所だから変な反応をしてしまう。うっ、ほら、ヤッパリ。堪らず後ろを少し締め付けてしまった。体の中でルカさんのペニスがリアルに浮かび上がって、俺は涙目になる。背後から少し息を詰める気配がしたし、この締め付けはルカさんにも影響があったみたいだ。
「っ! ……ハァ、今ちょっと締まりましたね」
「ご、ごめんなさ」
「あー、謝らないで。責めてませんから。むしろ気持ちよかったですよ?」
「でも」
「気にしいですね。……じゃあ、気にならないようにしてあげます」
「へ? ……うわぁっ!」
 俺の腰を掴んだルカさんの手に力が籠ったと思ったら、ペニスをグイッと強く押し込んできた。先程とは比にならないくらい深々と刺さるそれ。その過程で、先程見つけられた感じる場所……前立腺を、ゴリッと抉られてしまった。先程指で啄かれる程度でも叫びたい程気持ちのよかったそこを、今度は強く抉られたのだ。当然、快感は先程以上。予想していなかった事もあって、俺は体を大きく跳ねさせプルプル震える。ついでに俺のペニスからは僅かに先走りが迸った。
「あ、や……ルカ、さん。そこ……!」
「どうですか? 気持ちよさで頭がいっぱいになれば、余計なことを気にする余裕もなくなるでしょう?」
「よ、余計なこと、って」
「アルフォンソさんは僕に気持ちよくされる事だけ考えていてください。今この瞬間、それ以外は全部余計なことです」
 言いながらルカさんが俺の前立腺をペニスで突きはじめる。何度も何度も、執拗いくらいに。激しくはせず優しく突いてくれているが、そんな所重点的に刺激されたらひとたまりもない。身体中を巡る激しい快感に、手足がガクガクと大きく震えて脳内が一瞬白む。堪らず俺は、女性のような甲高い悲鳴をあげた。
「ヒィッ──!」
「あー、可愛い。堪んねぇなぁ……」
「あっ、そんな、嘘、こんなの、知らないぃ……!」
 ルカさんに前立腺を抉られる度、甘苦しい快感が電流のように体内を走って、ペニスからはダラダラと先走りが出てシーツを汚す。抜き差しして突かれるとその都度体がバラバラになるんじゃないかと思う程、激しい快楽が体の中を暴れ狂った。
「あぁ、いやっ、わけ、分かんな……!」
「『いや』とか『分かんない』じゃなくて『気持ちいい』って言ってくれませんか?」
「んんっ、ふぅ、気持ち、い……、気持ちいい……!」
「フフッ、よくできました」
「ああーっ!」
 最早声を抑えるとか、抑えないとか、そんな事を気にしていられる余裕はない。ただただルカさんに揺さぶられ、いい所を突かれるだけで一杯一杯だ。体中快感に緩んで力が入らないのに、刺激されるとその衝撃であちこち力んで痙攣してしまう。カクカクと揺れる俺の腰をルカさんが上手く捕まえてくれていなければ、挿入されるのもままならなかった事だろう。
 だが、それ程強い快感を与えられても、俺は達する事ができない。勿論十分に気持ちがいいのだが、だが今1つ物足りず、後1歩というところで登り詰められないのだ。あともう少しで届きそうなのに、それが叶わない。意図せず焦らされているような形になってしまう。とめどない快感に苛まれながらもどうしようもない現状に、俺は善がり狂った。
「ふぅ、ぅ、んん」
「んー、やっぱり未だ後ろだけじゃイけないか。まあ、初めてですしね。しょうがない。でも、このままじゃ辛いだろうし、もうそろそろイかせてあげます」
「ぅ……? っ!? ああぁっ!」
 腰を掴んでいた手が片方外れたと思ったら、それは下へ降りてきて俺のペニスを掴んだ。ネットリと厭らしく絡み付き、コネコネと全体を捏ねくり回してくる。竿を強く抜いて、先端を虐めて、カリを擽って……。そんな事を激しく後ろから突きながらやるのだから、本当にルカさんは器用だ。されてる方は堪ったもんじゃないが。ただでさえ気が触れそうな程の快感を与えられていたのに、そこに更に上乗せされて俺はもう恥も外聞もなく喘いで痙攣する事しかできなくなった。
「ひぃ、あっ、ぁっ!」
「アルフォンソさんてば、折角立派なの持ってるのに、それを誰かに突っ込むんじゃなくて僕にヨシヨシされて気持ちよくなっちゃってますね。これから先誰かに突っ込ませてあげる気はないから、宝の持ち腐れだ」
「んっ、い、意地、悪……。いわ、ないで……!」
「フフッ、ごめんなさい。これじゃあどっちがベッドの上で人をいたぶる趣味があるのか、分かりゃしないですね?」
 お詫びに……。と、ルカさんが俺のペニスを虐める手を更に加速させた。ただでさえ限界が近かったのに、それを更に強められたらもう一溜りもない。俺の内腿が痙攣し、陰嚢が持ち上がっていく。
「やっ、駄目、そんな、あぁんっ!」
「ハァ、ん、僕もそろそろ出そう」
「いゃっ、ふぁ、ん、くぅ──っ!」
「ん──っ!」
 とうとう快感が閾値に達し、その瞬間が訪れる。指先の骨の髄まで痺れるような、激しい性感。あまりの事に跳ねるようにして大きく痙攣する体。衝撃に目玉が裏返って脳の中で何かがバチバチスパークする。俺は後ろを締め付け悲鳴を上げながら勢いよく射精した。
 同時に、ルカさんも低く呻いて身体を震わせる。体内に広がる温かい感覚。それをルカさんは名残で未だ固さの残るペニスを使って塗り込むように馴染ませた。キュウキュウと締め付け絡みつく俺の中に、熱が擦り込まれていく。先程の絶頂が産んだ余波と相まって、蕩けるような心地良さが生まれた。
「ハァー……。もう最っ高。アルフォンソさん、体は辛いとこないですか?」
「だ、大丈夫れす……」
「ありゃ、舌回ってませんね。無茶させちゃいましたか?」
「んんっ、ゴホン……。いえ、全然無茶じゃありません。とっても気持ちよかったです。これはちょっと、慣れてないので変な風になっただけです」
「そうですか、分かりました。でも、後からでもどこか辛くなったら言ってくださいね? 全力でお世話するので」
「有難うございます……」
 自分は体を鍛えているしまだまだ充分若いと思ってたけど、その考えは改めないといけないかもしれない。さっきまでの快感が凄すぎて全く動けなくなってる。指先まで痺れてヘロヘロだ。対するルカさんは元気一杯。キビキビと動いて俺の顔にキスの雨を降らせたり、手早く後始末を始めたりしている。これが、本当の若さか……。
「ルカさん、凄いですね。俺まだそんなに動けないです」
「まあ、受け入れる方が負担大きいですから、仕方ないですよ」
「いやぁ、歳の差がものを言ってるのかもしれません。そういえば、ルカさんは何歳なんですか?」
「僕ですか? 18歳ですよ。アルフォンソさんはお幾つなんですか?」
「えっ!? 18ぃ!?」
 わ、若っ! 俺が27歳だから……9歳差!? ほぼ10歳差じゃん! えっ、て事は学園卒業したて? 卒業して直ぐ結婚? 法的には結婚できるけど、昨今なかなか聞かない速さでの結婚だ。普通学生時代に婚約者が決まっても、短くとも1年は猶予を設けて見聞を広めたり残り少ない独身生活を満喫するものなのに! 俺達が結婚した事情が事情とは言え、随分思いきったんだな。
「お、俺は27歳です。ていうか、あと数ヶ月で28歳……。10歳差……」
「ああ、だからアルフォンソさん大人の余裕で頼り甲斐があるんですね! それなのに体は年の差を感じさせないくらいピッチピチのムッチムチだし、もういいとこ取りじゃないですか! 僕、本当にあなたと結婚できてよかった!」
 そう言うとルカさんは、なんだか目をハートマークにしてメロメロになった表情で俺の胸筋に頬擦りをしてきた。歳の差を気にした様子は全くない。その天真爛漫な様子を見て、お互いの歳の差の事を考えてちょっと卑屈になった自分をちょっと反省する。俺も彼を見習って、もっとおおらかに生きなくては。……いや、でも、10歳差はやっぱり気にするって。
「ていうか、アルフォンソさんの方が歳上なんだから、敬語止めません?」
「それを言ったら俺達もう結婚してるんだから、お互いに止めてもいいんじゃないですか?」
「でも僕、気性が荒いせいか素のまんまだと結構口が悪いから……」
「別に気になりませんから、いいですよ。素のあなたを見られる方が特別感があって嬉しいですし」
「そうですか? それじゃあ、こっからは敬語はなしで! 改めてよろしく!」
「ああ、よろしく」
 手を差し出されたので、こっちも手を差し出して固い握手をする。握った手をブンブン上下に降って、ルカさん……いや、ルカはとっても嬉しそう。性行為をした後の光景としては些か間抜けだが、何だかとっても爽やかな気分だ。心做しか清々しい表情をしているルカを見ていると、体を張った甲斐があったな、と思えた。
「よし、それじゃあ今日はこれくらいにして、後片付けするか」
「えっ? いいのか? 若いしヤリ足りないんじゃ」
「いや、確かに未だちょっと余力はあるけど、後で1人でするから十分だよ。アルフォンソは未だ慣れてないし頑張ったからもう今日は辛いだろ? 伴侶に無理はして欲しくないからいいよ」
「でもなぁ、折角俺が居るんだし……。そうだ、素股しようか? それなら俺の負担は殆どないし、ルカも気持ちよくなれるだろ?」
「でも、うーん……」
「折角結婚したんだから、相手が居るのに1人で抜くなんて虚しいだろ? それに……俺も、ルカが俺で気持ちよくなってくれてるの見たいし」
「ア、アルフォンソ……!」
 別に嘘は言ってない。ちょっと恥ずかしいが、俺は本心を言った。ルカみたいな綺麗な青年が自分みたいなゴツイ大男相手に欲情してくれるのは未だに信じられないところがあるが、なんだかんだ嬉しいんだ。ルカの事を喜ばせてあげたいし、ルカの為なら何だってできるくらいには俺も彼に好意を持っている。現に、今感動した様子で俺の事を見詰めているルカを見つめ返すと、確かな充足感が胸を満たすのが分かった。
「分かった。それじゃあ、お言葉に甘えて、足借りるな。ああ、筋肉でパッツパツに張った太腿……! 見て触ってるだけでもイキそうなのに、これに挟んで擦れるなんて……!」
「本当に俺の体好きなんだなぁ」
「そりゃあもう! 僕は三度の飯よりも筋肉ムキムキの男が好きだと断言できる! 自給自足できるように自分も鍛えてるんだが、体質的に全然逞しくならなくて……。でも、これからはアルフォンソを目一杯可愛がれるようにもっと頑張ろうかな。いつかアルフォンソと騎乗位してみたいし」
「いや、それは止めておきなよ……」
 俺の事騎乗位って。俺の体重いくつだと思ってるんだ。体の殆ど筋肉だから密度が凄くて滅茶苦茶重いのに。怪力で知られるオーガでもかなり頑張らなきゃ無理だぞそんなの。どんな姿形であろうと俺の伴侶殿は美しいと思うが、流石にその美しい顔で体はオーガ並にムキムキなのはちょっとアンバランスだと思う。
「筋肉なら俺のを好きなだけ触らせてあげるから、ルカはそのままでいておくれ。2人ともムキムキになったら、広さ的な意味と耐荷重的な意味で一緒に寝られるベッドがなくなる」
「むぅ、いわれてみればそうだな……。自分に筋肉がついても他人の筋肉の方がよりジックリ観察できていいし、自前の筋肉があっても結果その他人の筋肉から遠ざかるんじゃ意味がない。仕方がない、諦めよう」
「う、うん。そうするといい」
「あ、でも……。アルフォンソは1つ勘違いをしているな」
「へ?」
「確かに僕は筋肉ムキムキの男が好きだ。アルフォンソが好みドンピシャリなのも事実。最初アルフォンソに惹かれたきっかけが筋肉だった事も認めよう。でも、僕はアルフォンソの人柄にも惹かれ始めている。アルフォンソ、結婚が先で順番が逆になってしまったけれど、あなたさえ良ければ僕はこれから2人で愛を育んでいきたい。……どうかな?」
 そんな甘い台詞の締めに、ルカはチュッと優しく俺の指先にキスを落とす。そして上目遣いに俺の目を見た。その視覚的破壊力といったら! この上なく整った顔立ちでそんな表情されると、いっそ暴力だ。堪らない気持ちにさせられる。こっちだってこんな俺と結婚してくれたルカに対して好意を持っているんだし、その気持ちはどんどん育っていってる一方。当然、この申し出を受けない手はない!
「も、勿論だ! ルカみたいな心身共にシッカリしていて素敵な人と、書類上だけでなく気持ちの上でも夫婦になれるなんて、願ってもない事だ!」
「本当か? やったぁ! 有難う、アルフォンソ! 絶対にメロメロに惚れさせてみせるから、覚悟しておいてくれよ!」
「うわっ! ちょっ、ルカ! 擽った、んぅ……」
 飛びついてきたルカが俺の顔に幾つもキスをして、それでは収まらなかったのか唇を奪われる。ルカの舌がアッサリと俺の口内へと侵入し、そのままグチョグチョに掻き回された。ああ、気持ちいい。絶頂したさっきの今ではしたないが、早くも体の奥に熱が灯りそう……。快感で焦点の定まらない俺の瞳を覗き込みながら、ウッソリと笑ったルカが、こう囁いた。
「可愛い僕の旦那様。末長くしようね」
 結局その後、俺とルカは大盛り上がり。紳士の心を持ったルカの強靭な精神力のお陰で最後までは致さなかったが、その代わりと言わんばかりに朝までかなり際どい事をヤリまくったのだった。
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