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最終章 狂酔編
第286話 悪夢……?
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目が覚める。
硬いものが背中にあたり痛みを感じるが、これは学院の屋上に寝ていたからだった。
「大丈夫?」
上から降ってきたのはキーラの声。
空ではカケラと仲間たちが戦っている。
空を飛べない者たちを飛ばしているのはロイン大将とモック工場長のようで、彼らは地上からの援護に徹していた。
キーラもロイン大将が操作する鉄の鎧によってサポートを受けていて、俺が目を覚ましたのを見つけて学院校舎の屋上へと降りてきたのだった。
攻撃力が高い主戦力は空中に残り、キーラ以外にも続々と俺の目覚めを聞きつけて降りてくる。
「やっとか……やっと……戻ってきた……」
上空では仲間が戦っているが、俺はすぐ起き上がる気になれなかった。
まるで勝者が余韻に浸るかのように、大の字になって屋上の風を感じる。
カケラは律儀に約束を守ったらしい。
無限に続く悪夢を終わらせることと引き替えに、俺は「何でもする」と約束をした。
辛かった……。
「エスト、目覚めたばかりで悪いんだけれど、力を貸して!」
キーラは息を切らしていた。切羽詰まった様子で屈み、寝そべった俺の肩に手を置く。
その瞬間――。
「うああああああっ!」
俺は思わず飛び上がった。
服越しに触られた肩に、凝縮された苦痛の爆弾が爆発したかのようなとてつもない痛みが走り抜けたのだ。
この痛みは、まるでミコスリハン。いや、それ以上だ。ミコスリハンが三回半の摩擦で死に至るなら、これは一回で死ねるほどの苦痛。
しかし俺の体は傷みには弱くも生命力が強く改変されているようで、望まないのに心臓が苦痛に耐えてしまう。
俺は後ろ向きによろけながら歩き、キーラから距離を取る。
すると、何かが背中にぶつかる。その瞬間、背中でも肩と同じに苦痛の爆弾が爆発する。
「どうされましたの?」
ぶつかったのはリーズだった。
手で触られずとも、体のどこかが触れただけで鮮烈な痛みを感じる。
すぐにリーズから離れるも、よろけたところに誰かが立っていた。
「危ない!」
こけそうになった俺をシャイルが抱き留めた。
その瞬間、俺の首から胸にかけて激痛が襲う。
俺はとっさにシャイルを突き飛ばすが、バランスが取れていないのと立つ力も残っていないことが合わさり、前につんのめって倒れる。
その先にあったのは、エアの遺体だった。
改めてエアは死んだのだという認識をさせられるが、いまはそのショックよりも体が感じている苦痛があまりにも大きすぎて思考も感情も動いていない。
ただただ苦痛から逃れたいという感覚だけが俺を支配している。
「うあああああっ!」
俺はエアの上に倒れた。
綺麗に重なるように倒れたので、俺の全身で同時に激痛爆弾が爆発した。
エアの上から動くことができず、俺の体は感電しているかのように激痛の源が流れ込みつづけた。
しばしの間、俺はかつてないほどの苦しみに悶え、そして息絶えた。
硬いものが背中にあたり痛みを感じるが、これは学院の屋上に寝ていたからだった。
「大丈夫?」
上から降ってきたのはキーラの声。
空ではカケラと仲間たちが戦っている。
空を飛べない者たちを飛ばしているのはロイン大将とモック工場長のようで、彼らは地上からの援護に徹していた。
キーラもロイン大将が操作する鉄の鎧によってサポートを受けていて、俺が目を覚ましたのを見つけて学院校舎の屋上へと降りてきたのだった。
攻撃力が高い主戦力は空中に残り、キーラ以外にも続々と俺の目覚めを聞きつけて降りてくる。
「やっとか……やっと……戻ってきた……」
上空では仲間が戦っているが、俺はすぐ起き上がる気になれなかった。
まるで勝者が余韻に浸るかのように、大の字になって屋上の風を感じる。
カケラは律儀に約束を守ったらしい。
無限に続く悪夢を終わらせることと引き替えに、俺は「何でもする」と約束をした。
辛かった……。
「エスト、目覚めたばかりで悪いんだけれど、力を貸して!」
キーラは息を切らしていた。切羽詰まった様子で屈み、寝そべった俺の肩に手を置く。
その瞬間――。
「うああああああっ!」
俺は思わず飛び上がった。
服越しに触られた肩に、凝縮された苦痛の爆弾が爆発したかのようなとてつもない痛みが走り抜けたのだ。
この痛みは、まるでミコスリハン。いや、それ以上だ。ミコスリハンが三回半の摩擦で死に至るなら、これは一回で死ねるほどの苦痛。
しかし俺の体は傷みには弱くも生命力が強く改変されているようで、望まないのに心臓が苦痛に耐えてしまう。
俺は後ろ向きによろけながら歩き、キーラから距離を取る。
すると、何かが背中にぶつかる。その瞬間、背中でも肩と同じに苦痛の爆弾が爆発する。
「どうされましたの?」
ぶつかったのはリーズだった。
手で触られずとも、体のどこかが触れただけで鮮烈な痛みを感じる。
すぐにリーズから離れるも、よろけたところに誰かが立っていた。
「危ない!」
こけそうになった俺をシャイルが抱き留めた。
その瞬間、俺の首から胸にかけて激痛が襲う。
俺はとっさにシャイルを突き飛ばすが、バランスが取れていないのと立つ力も残っていないことが合わさり、前につんのめって倒れる。
その先にあったのは、エアの遺体だった。
改めてエアは死んだのだという認識をさせられるが、いまはそのショックよりも体が感じている苦痛があまりにも大きすぎて思考も感情も動いていない。
ただただ苦痛から逃れたいという感覚だけが俺を支配している。
「うあああああっ!」
俺はエアの上に倒れた。
綺麗に重なるように倒れたので、俺の全身で同時に激痛爆弾が爆発した。
エアの上から動くことができず、俺の体は感電しているかのように激痛の源が流れ込みつづけた。
しばしの間、俺はかつてないほどの苦しみに悶え、そして息絶えた。
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